『午前4時にパリの夜は明ける』(原題:Les Passagers de la Nuit)
監督:ミカエル・アース
出演:シャルロット・ゲンズブール,キト・レイヨン=リシュテル,ノエ・アビタ,エマニュエル・ベアール,
ティボー・ヴァンソン,ロラン・ポワトルノー,ディディエ・サンドル他
アップリンク京都にて3本ハシゴの2本目。
監督は結構好きだった『アマンダと僕』(2018)のミカエル・アース。
主演は50歳を過ぎても可愛いシャルロット・ゲンズブール。
乳癌を克服した主婦エリザベートだったが、夫は女を作って家を出てしまう。
残されたのは彼女と長女ジュディットと長男マチアス。
養育費を払うつもりは毛頭ない夫のせいで、エリザベートはどう生活すべきかわからない。
仕事を探すといっても、エリザベートに就職経験はなく、ずっと専業主婦。
なんとか見つけたパート先も、まったく仕事ができずに即日クビになる。
そんななか、彼女は長年のファンである深夜のラジオ番組に手紙を送る。
真摯に気持ちを綴った手紙が番組DJを務めるヴァンダの心に響いたらしく、
エリザベートは番組中にリスナーからの電話を受けてヴァンダに繋ぐ仕事にありつく。
ある日、ラジオ局を直接訪ねてきた家出少女タルラが出演。
番組終了後、帰途についたエリザベートは、タルラが外で寝泊まりしていることを知り、
ついつい放っておけずに自宅へと招き入れるのだが……。
映像があまり1980年代っぽいとは思えず、しばし戸惑いました。
街なかのデモやミッテラン大統領が映るのを見て、
そうか、これは回顧のシーンというわけではなく、ずっと1980年代の話なのかと気づく。
その街を知らないのに、ノスタルジーを感じる作品ってあるじゃないですか。
これがまさにそんな感じ。1980年代が私の思い出の年代だからなのでしょうね。
自らの生活すら苦しいのに、家出少女を見捨てられない。
いい子だけれどヤク中で、息子に悪影響を与えていることも明らかなのに。
夫に捨てられて、目の前にある次の恋にもなかなか進めない。
彼女の葛藤が伝わってきて、イライラしつつも見守りたくなりました。
冷ややかでもあり温かくもあるヴァンダ役のエマニュエル・ベアールもよかったです。
反抗してばかりだと思われた娘と息子に救われていた彼女。
パリの夜明け、素敵です。