『鍵泥棒のメソッド』
監督:内田けんじ
出演:堺雅人,香川照之,広末涼子,荒川良々,森口瑤子,
小山田サユリ,木野花,小野武彦他
この間の日曜日、ひょこっと1本だけ観る時間ができたので、
家から最も近いシネコンにて。
ずっと、広末涼子が苦手でした。
すんごく可愛いとは思うけれど、あの笑顔がどうも駄目。
映画でもドラマでもCMでも何かのインタビューでも、
あの笑顔を観るたびに、ホンマは何を考えてるんやろと疑い、
でもこの笑顔になら騙されてもいいとみんな思うんやろなぁって。
本作の広末涼子は笑いません。
そうしたら、めちゃくちゃイイじゃないですか。
これまでの彼女の出演作のうち、本作の彼女がいちばん好き。
こっちの彼女になら騙されてもええぞ。
そもそも広末涼子が苦手なのに、本作をどうしても観たかったのは、
『運命じゃない人』(2004)の監督だから。
結論から言って、あの「幸せなヤラレタ感」に比べると負けますが、
この監督の作品は『アフタースクール』(2008)にしてもそう、
必ずとびっきり幸せなラストが待っています。
売れない役者の桜井武史、35歳。ある日、自殺に失敗。
財布の中には全財産の千円ちょっとと近所の銭湯のサービス券。
ひとっ風呂浴びるかと銭湯へ出向くと、やけに分厚い財布の男を発見。
羨ましげな目で眺めてみたところでどうにもならない。
ところが、あとから浴場へ入ってきたその男が、
石鹸で足を滑らせて派手に転倒。頭を打って動かない。
ほかの客たちが心配そうに様子を窺うなか、
桜井は咄嗟にこっそり、その男が手首に巻き付けていたロッカーの鍵と
自分が持っていたロッカーの鍵を取り替える。
救急車で運ばれた男は病院で目を覚ますが、一時的な記憶喪失に。
何も思い出せず、所持品から自分のことを桜井だと思い込む。
困り果てていたところを某雑誌の編集長を務める水嶋香苗が救う。
一方、ホンモノの桜井は、男が持っていた鍵から車を探し当てる。
所持品から判明した住所に向かえば、なんとも豪華なマンションが。
山崎という名前だと思われたその男は、いくつもの名前を使い分けているらしい。
しかも、誰も顔は見たことがない伝説の殺し屋コンドウでもあると判明して……。
主演は一応堺雅人ではありますが、恐るべし、香川照之。
コンドウのときの彼と、桜井のときの彼の演技のギャップに笑わされっぱなし。
性格の根っこの部分である几帳面さはどちらのときも持ちつづけているけれど、
それがどういう面で活かされるかは、まず「器」があって、
その「器」によって人間は変わることもあるのかも……なんて思ったりして。
彼の生真面目さは、桜井のときには役者として開花する助けとなり、
また、香苗は彼のその生真面目さに「努力の人」として好意を持ちます。
コンドウとしての意識を取り戻してからも絶品。
オタオタする堺雅人演じるホンモノの桜井とのコンビが傑作です。
笑わない広末涼子は、まだ相手もいないのに訳あって結婚を急ぐ34歳。
ニコッともしない彼女と、その彼女に普通に対応する部下たちは、
オフビートな笑いを誘い、これも傑作。
ちょうどこの日、小学生とおぼしき男の子がお母さんに連れられて観に来ていました。
彼の笑いっぷりがまた見事で、釣られて笑うことしばしば。
小学生男子をも虜にするこの作品、いま思い出してもニタニタ可笑しい。
前述の『青い塩』では、2作では好き嫌いは判断できないけどと言いましたが、
内田けんじ監督、『運命じゃない人』以来、私はアナタがだぁい好きです。
監督:内田けんじ
出演:堺雅人,香川照之,広末涼子,荒川良々,森口瑤子,
小山田サユリ,木野花,小野武彦他
この間の日曜日、ひょこっと1本だけ観る時間ができたので、
家から最も近いシネコンにて。
ずっと、広末涼子が苦手でした。
すんごく可愛いとは思うけれど、あの笑顔がどうも駄目。
映画でもドラマでもCMでも何かのインタビューでも、
あの笑顔を観るたびに、ホンマは何を考えてるんやろと疑い、
でもこの笑顔になら騙されてもいいとみんな思うんやろなぁって。
本作の広末涼子は笑いません。
そうしたら、めちゃくちゃイイじゃないですか。
これまでの彼女の出演作のうち、本作の彼女がいちばん好き。
こっちの彼女になら騙されてもええぞ。
そもそも広末涼子が苦手なのに、本作をどうしても観たかったのは、
『運命じゃない人』(2004)の監督だから。
結論から言って、あの「幸せなヤラレタ感」に比べると負けますが、
この監督の作品は『アフタースクール』(2008)にしてもそう、
必ずとびっきり幸せなラストが待っています。
売れない役者の桜井武史、35歳。ある日、自殺に失敗。
財布の中には全財産の千円ちょっとと近所の銭湯のサービス券。
ひとっ風呂浴びるかと銭湯へ出向くと、やけに分厚い財布の男を発見。
羨ましげな目で眺めてみたところでどうにもならない。
ところが、あとから浴場へ入ってきたその男が、
石鹸で足を滑らせて派手に転倒。頭を打って動かない。
ほかの客たちが心配そうに様子を窺うなか、
桜井は咄嗟にこっそり、その男が手首に巻き付けていたロッカーの鍵と
自分が持っていたロッカーの鍵を取り替える。
救急車で運ばれた男は病院で目を覚ますが、一時的な記憶喪失に。
何も思い出せず、所持品から自分のことを桜井だと思い込む。
困り果てていたところを某雑誌の編集長を務める水嶋香苗が救う。
一方、ホンモノの桜井は、男が持っていた鍵から車を探し当てる。
所持品から判明した住所に向かえば、なんとも豪華なマンションが。
山崎という名前だと思われたその男は、いくつもの名前を使い分けているらしい。
しかも、誰も顔は見たことがない伝説の殺し屋コンドウでもあると判明して……。
主演は一応堺雅人ではありますが、恐るべし、香川照之。
コンドウのときの彼と、桜井のときの彼の演技のギャップに笑わされっぱなし。
性格の根っこの部分である几帳面さはどちらのときも持ちつづけているけれど、
それがどういう面で活かされるかは、まず「器」があって、
その「器」によって人間は変わることもあるのかも……なんて思ったりして。
彼の生真面目さは、桜井のときには役者として開花する助けとなり、
また、香苗は彼のその生真面目さに「努力の人」として好意を持ちます。
コンドウとしての意識を取り戻してからも絶品。
オタオタする堺雅人演じるホンモノの桜井とのコンビが傑作です。
笑わない広末涼子は、まだ相手もいないのに訳あって結婚を急ぐ34歳。
ニコッともしない彼女と、その彼女に普通に対応する部下たちは、
オフビートな笑いを誘い、これも傑作。
ちょうどこの日、小学生とおぼしき男の子がお母さんに連れられて観に来ていました。
彼の笑いっぷりがまた見事で、釣られて笑うことしばしば。
小学生男子をも虜にするこの作品、いま思い出してもニタニタ可笑しい。
前述の『青い塩』では、2作では好き嫌いは判断できないけどと言いましたが、
内田けんじ監督、『運命じゃない人』以来、私はアナタがだぁい好きです。