夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『青い塩』

2012年09月18日 | 映画(あ行)
『青い塩』(英題:Hindsight)
監督:イ・ヒョンスン
出演:ソン・ガンホ,シン・セギョン,チョン・ジョンミョン,
   イ・ジョンヒョク,キム・ミンジュン,ユン・ヨジョン他

2011年の韓国作品。レンタル新作です。
もともと寡作の監督で、日本公開の前作は10年以上前の『イルマーレ』(2001)。
この2作だけではなんとも言えないけれど、かなり好きかも。

ソウルの伝説的ヤクザだったドゥホン。
今はその世界から足を洗い、ヤクザ仲間とも上手くつきあいながら、
母親の故郷プサンで穏やかな日々を送っている。

しかしその頃ソウルでは、ドゥホンがかつて所属していた組の長が死亡。
死にぎわにドゥホンの名前を口にしたことから、
組長はドゥホンを後継者として指名するつもりだったのだと誰もが推察する。

そんなことになっているとはつゆ知らず、
ドゥホンは何を思ったかいそいそと料理教室に通い出す。
いずれ自分がシェフとなって、店を出すのが夢らしい。

料理教室に新しく入ってきた若い女性セビン。
可愛くも無愛想な彼女だが、料理の腕は抜群。
ドゥホンは彼女のことが気になって、時折ちょっかいを出す。

実は彼女は元射撃選手で、ライフル使いの達人。
不運な事故に遭って重傷を負ったうえに借金まで。
競技生活をあきらめざるを得ず、裏社会の便利屋を引き受けている。
彼女はドゥホンの動向を探るために闇組織に雇われていた。

自宅と料理教室の行き来以外、怪しい動きはまったくないオジサン。
セビンはドゥホンのことをそう報告するが、
ドゥホンに生きていられては困る者がいるようだ。
ドゥホンを殺せとの命令をセビンは受けるのだが……。

むさ苦しいオジサンと若くてカワイイ女性。
またしてもオッサンの妄想が入りそうなストーリーですが、
そんな下心はまったくなしに見えるドゥホンがめっちゃイイ。
下心なしなのに、ドゥホンの弟分で寡黙なところがやたらかっこいいエックが、
なぜか兄貴が若い女性を気に懸けていることを知り、
マジメに「援助交際はいけません」と言うところが笑えます。

涙まで消してしまいそうな塩味強めが好きだと言いつつも、
セビンがドゥホンにつくるのは、塩を上手く効かせた優しい味の料理。
彼女が立ち去ったあと、食卓に残された鍋をつつくエックに向かって、
料理には人柄が出ると言うドゥホン。
「こんな料理をつくる子に、俺を殺せると思うか」。

ハードボイルドで絶望的な展開のあとに待っているのは、
これ以上にないハッピーエンド。
ないやろ~という気はしますが、幸せに終わるに越したことはないですから。

こんなんもありなのか?と笑ったのは、海辺の食堂。
「セ~ルフ!」と言っておばちゃんから渡される鍋。
棚に並べられた食材から勝手に好きなものを選び、「サザエが少ないよ」とセビン。
おばちゃんは「サザエだけだね?」と海女姿で夜の海へいきなりドボン。
衝撃的でワロた。

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