『先生を流産させる会』
監督:内藤瑛亮
出演:宮田亜紀,小林香織,高良弥夢,竹森菜々瀬,相場涼乃他
前述の『隣る人』とハシゴ。
なんともおどろおどろしいタイトルですが、これが実在の事件を基にしているなんて。
62分の中編作品ながら、重量感たっぷり。
郊外の女子中学校で1年生を担当する教師サワコは妊娠4カ月。
廃墟と化したラブホを隠れ家としている仲良し5人グループ。
リーダー格であるミヅキは、「サワコってセックスしたのかな」と言う。
「妊娠したんだから、したに決まってるじゃない」と笑う4人。
「キモくない?」とミヅキ。「うん、なんかわかる。キモいよ」。
そして、“先生を流産させる会”を結成する。
冒頭のシーンからして衝撃的。
滑り台の上から生き物を地面に叩きつけるミヅキ。
それを眺めて笑う4人と冷ややかなミヅキの姿に背筋がぞわ~っ。
理科の実験中、薬剤をひそかに回収して毒を盛る準備。
椅子のネジをゆるめてひっくり返らせる用意も。
陰湿きわまりない工作に悪寒が走りつづけます。
サワコを悩ませる問題はこれらだけのみならず、グループのひとり、フミホの母親。
何かと言えば電話をかけてきてキャンキャン怒鳴り、
サワコがフミホらを平手打ちしたさいには学校に乗り込んできます。
また、そんなモンペに対して平謝りするだけの上司。
悪魔的な美少女ミヅキ以外は、容姿的に目立たない少女ばかりで、
ミヅキに引きずられているようにも見えますが、
憧れの男性教諭からプール掃除を頼まれれば、あっさりミヅキに手を振ります。
実際の事件は男子生徒たちが起こしたものだったそうですが、
設定を女子に変えることで、オンナの怖さがまじまじと。
『桐島、部活やめるってよ』にも「オンナって怖い」という台詞がありましたね。
サワコは冷静沈着に物事に対応する教師というわけではありません。
衝動的に生徒をひっぱくし、「バカバカ、バカば~っか」と毒づきます。
「そうよ、女って気持ち悪いものなのよ」と言い、
「赤ちゃんを殺されたら、殺した人を殺す」と断言します。
けれどもサワコが咄嗟に取った行動は、そんな言葉とは正反対のこと。
『告白』(2010)のほうがスッキリする気もしましたが、
観賞後の気分が悪くなかったのは自分でも意外でした。
教育的に圧倒的に正しく、なおかつ綺麗事過ぎないところが凄い。
『死刑弁護人』の安田さんが、
「誰にでも更生の可能性がある」とおっしゃっていました。
私にはそうは思えません。でも、そうならばいいなとは思います。
いなかったことにはできないの。
これが彼女の心に伝わることを祈るのみ。
監督:内藤瑛亮
出演:宮田亜紀,小林香織,高良弥夢,竹森菜々瀬,相場涼乃他
前述の『隣る人』とハシゴ。
なんともおどろおどろしいタイトルですが、これが実在の事件を基にしているなんて。
62分の中編作品ながら、重量感たっぷり。
郊外の女子中学校で1年生を担当する教師サワコは妊娠4カ月。
廃墟と化したラブホを隠れ家としている仲良し5人グループ。
リーダー格であるミヅキは、「サワコってセックスしたのかな」と言う。
「妊娠したんだから、したに決まってるじゃない」と笑う4人。
「キモくない?」とミヅキ。「うん、なんかわかる。キモいよ」。
そして、“先生を流産させる会”を結成する。
冒頭のシーンからして衝撃的。
滑り台の上から生き物を地面に叩きつけるミヅキ。
それを眺めて笑う4人と冷ややかなミヅキの姿に背筋がぞわ~っ。
理科の実験中、薬剤をひそかに回収して毒を盛る準備。
椅子のネジをゆるめてひっくり返らせる用意も。
陰湿きわまりない工作に悪寒が走りつづけます。
サワコを悩ませる問題はこれらだけのみならず、グループのひとり、フミホの母親。
何かと言えば電話をかけてきてキャンキャン怒鳴り、
サワコがフミホらを平手打ちしたさいには学校に乗り込んできます。
また、そんなモンペに対して平謝りするだけの上司。
悪魔的な美少女ミヅキ以外は、容姿的に目立たない少女ばかりで、
ミヅキに引きずられているようにも見えますが、
憧れの男性教諭からプール掃除を頼まれれば、あっさりミヅキに手を振ります。
実際の事件は男子生徒たちが起こしたものだったそうですが、
設定を女子に変えることで、オンナの怖さがまじまじと。
『桐島、部活やめるってよ』にも「オンナって怖い」という台詞がありましたね。
サワコは冷静沈着に物事に対応する教師というわけではありません。
衝動的に生徒をひっぱくし、「バカバカ、バカば~っか」と毒づきます。
「そうよ、女って気持ち悪いものなのよ」と言い、
「赤ちゃんを殺されたら、殺した人を殺す」と断言します。
けれどもサワコが咄嗟に取った行動は、そんな言葉とは正反対のこと。
『告白』(2010)のほうがスッキリする気もしましたが、
観賞後の気分が悪くなかったのは自分でも意外でした。
教育的に圧倒的に正しく、なおかつ綺麗事過ぎないところが凄い。
『死刑弁護人』の安田さんが、
「誰にでも更生の可能性がある」とおっしゃっていました。
私にはそうは思えません。でも、そうならばいいなとは思います。
いなかったことにはできないの。
これが彼女の心に伝わることを祈るのみ。