夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『LOVE LIFE』

2022年09月25日 | 映画(ら行)
『LOVE LIFE』
監督:深田晃司
出演:木村文乃,永山絢斗,砂田アトム,山崎紘菜,嶋田鉄太,神野三鈴,田口トモロヲ他
 
前述の『ドライビングMissデイジー』を観た後、阪急電車に乗って夙川へ。
ひとりランチで満腹になってから再びTOHOシネマズ西宮へ戻りました。
 
深田晃司監督が矢野顕子の“LOVE LIFE“をモチーフに撮り上げた作品。
この曲からこんなドラマを作り上げるんですね。
昼酒を飲んでいるので眠くなるかと思いましたが、めちゃくちゃ集中できました。
 
ホームレスを支援するNPOで働く妙子(木村文乃)は、
息子の敬太(嶋田鉄太)を連れて市役所の福祉課に勤務する大沢二郎(永山絢斗)と再婚。
 
二郎の両親である誠(田口トモロヲ)と明恵(神野三鈴)が暮らしていた団地の部屋を譲り受け、
その両親は向かいの棟に新たに部屋を購入して住んでいる。
誠は、二郎が離婚歴のある妙子と結婚したことを許さないままだが、
敬太は二郎にすっかり懐き、もとからの親子のような幸せな毎日。
ところがある日、敬太が風呂で足を滑らせ、頭を強打した後に浴槽内で溺れて死亡。

何年も前に失踪して行方不明だった妙子の前夫パク(砂田アトム)が敬太の葬儀に現れる。
パクは韓国籍で聴覚障害者
公園で寝泊まりする彼のことを妙子は放っておけず、世話をしはじめるのだが……。
 
いくつか釈然としないところがあります。
 
二郎は職場につきあっていた女性(山崎紘菜)がいて、彼女と結婚寸前だったのに浮気。
その浮気相手が妙子だったという設定、要りますか。
両親の引越しを手伝いに来ていた先でまた彼女と会うシーンも何なんだか。
山崎紘菜のイメージとかけ離れすぎているから違和感をおぼえるのかも。
それから、妙子の前夫が韓国籍でろう者のホームレスという設定も、必要なのかなぁ。
 
ただ、を亡くして間もない身としては、心に沁みる台詞がいくつかありました。
パクが妙子にかける言葉、「敬太の死を乗り越える必要はない。
忘れて前へ進めと誰かから言われたとしても、忘れてはいけない」。
大切な人が亡くなったとき、その死を乗り越える必要なんてない。
忘れる必要もないし、むしろ忘れてはいけない。
 
好きと思える作品ではありません。でも、心には残りました。

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『ドライビング Miss デイジー』

2022年09月24日 | 映画(た行)
『ドライビングMissデイジー』(原題:Driving Miss Daisy)
監督:ブルース・ベレスフォード
出演:ジェシカ・タンディ,モーガン・フリーマン,ダン・エイクロイド,パティ・ルポーン,
   エスター・ローレ,ジョー・アン・ハヴリラ,ウィリアム・ホール・Jr.他
 
先週の連休中日、ランチを挟んで4本ハシゴすることにして、まずは“午前十時の映画祭12”。
阪急西宮ガーデンズに朝イチに入庫して、TOHOシネマズ西宮へ。
“午前十時の映画祭”って鑑賞料金1,000円だった時期があったかと思うのですが、
今は1,500円するのですね。仕方ないか。
 
1989年の作品で、たぶんDVDでは観たことがあるはずです。
モーガン・フリーマンダン・エイクロイドもあまり知らなかった頃に。
私の中ではモーガン・フリーマンといえばなんといっても『ショーシャンクの空に』(1994)ですから。
ダン・エイクロイドといえば『ブルース・ブラザーズ』(1980)ですが、
1989年にはまだ『ブルース・ブラザーズ』を観ていなかったんじゃあないかなぁ。
 
舞台は1948年の夏、ジョージア州アトランタ
未亡人のデイジーは長く勤めた教職を退き、メイドを雇って一人暮らし。
まだまだ若いと自分では思っていたが、車の運転を誤って廃車にしてしまう。
亡き夫の会社を継いだ息子ブーリーは、もう母親に運転はさせられぬと、
社員の紹介で初老のホークを運転手として雇うのだが……。
 
内容は皆無と言っていいぐらい覚えていませんでした。
でも、いい話だろうと思っていたのです。当時はそう思ったかもしれません。
そうしたら、最初のシーンで胸糞が悪くなる。
 
ジェシカ・タンディ演じるデイジーにイライラが募ることこのうえなし。
自分では人種差別主義者ではない思っているようだけど、黒人への偏見があることは明らか。
メイドも黒人、運転手も黒人、この時代はこんなだったのですね。

それよりもなんともタイムリーで腹立たしかったのは、
自分がハンドル操作を誤って車をぶっ壊したくせして「私は悪くない。車が悪い」。
アクセルとブレーキ踏み間違えておいてよく言うよ。
 
ダン・エイクロイド演じるブーリーはこの親に育てていられながらマトモ。
同族企業に生まれながら、親の威を借りることもない。
誠実な商売で会社を続けて行こうとしています。
そして母親に手を焼きながらも見放したり責めたりせず、最善の方法を探っている。
 
デイジーに酷いことを言われても笑い飛ばすホーク。
でも時折耐え難くなってボソッとつぶやきます。
「白人はこれだから」とか「鍵持ってたのはアナタでしょ」とか。もっと言い返せ〜。
 
本作は第62回アカデミー賞で作品賞と主演女優賞を受賞しています。
モーガン・フリーマンは主演男優賞にノミネートされたものの受賞は逃す。
 絶賛された作品ですが、今観るといかにも「白人の贖罪を示すために存在している作品」ではないですか。

ところで、本作の音楽はハンス・ジマーが担当しています。
『トップガン』×『トップガン マーヴェリック』も担当したジマーだと思うと、へ~っ。

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『帰ってきた宮田バスターズ(株)』

2022年09月23日 | 映画(か行)
『帰ってきた宮田バスターズ(株)』
監督:坂田敦哉
出演:渡部直也,大須みづほ,佐田淳,ユミコテラダンス,山本愛生,栗原駿,水野祐樹,宮崎美子他
 
ダッチワイフの映画をシアターセブンで観た後は、上階の第七藝術劇場でこれ。
本作も舞台挨拶付きの回を鑑賞しました。
 
2019年に製作された20分の短編『宮田バスターズ(株)』が話題になり、
クラウドファンディングで資金を集めて翌年『宮田バスターズ(株) 大長編』を製作。
さらにそれを再編集したのが本作なのだそうです。
 
坂田敦哉監督は1999年生まれ。ってついこの間やん!などと私は思ってしまうのですが、
ホンマについこの間でしょ。若っ。嘘みたい。楽しい。
 
宮田バスターズ株式会社。
宇宙生物が飛来して事故が多発する今、電話一本で駆けつけてくれる宇宙生物駆除専門の会社。
社長のミヤタ以下5人の社員は業務に明け暮れる毎日を過ごしていたが、
最近は駆除作業に伴う器物破損が問題視されて苦情も寄せられるように。
とあるコンサルティング会社が光線銃なるものを発売し、宮田バスターズへの駆除依頼が激減するのだが……。
 
手作り感いっぱいです。憎めない作品ではあります。
ただ、思ったよりも笑えるシーンは少なくて、ちょっと残念。
最初の短編のインパクトが強かったので、面白くしようという思いが空回りしちゃった感。
力が入りすぎたのかもしれません。
 
手作りと聞くと、ついつい『JUNK HEAD』(2017)と比べてしまう。
あのマニアックさはないために、ちょこっとしたシーンもグロくて雑に思えてしまいます。
 
楽しんで作っている気持ちは伝わってきますから、今後も応援したい。

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『HYODO 八潮秘宝館ラブドール戦記』

2022年09月22日 | 映画(は行)
『HYODO 八潮秘宝館ラブドール戦記』
監督:福田光睦
 
数週間前、ラヲタの友人からLINEが来ました。「この映画、気になるから観てきて」って。
んなもん自分で観に行きゃええやんって思うでしょ。
でもこのラヲタの友人は1カ月のラーメン食杯数を私の劇場映画鑑賞本数と競っていて、
しかも友人の圧勝なんです。1カ月にラーメン40杯とかって、正気かよ(笑)。
私も1カ月に映画を40本観たことはあるけれど、毎月なんてとても無理。
友人に敬意を表し、映画は私にまかせてもらうことにしました。
 
しかし、友人がこの映画を気にしている理由がわからない。
いったいどういう映画かもわからなくて、私はどこに注目すればよいのかを尋ねたら、
「ラヲタの中に、ラーメン食べに行くときに必ず人形を2体連れている人がいる。
その人がツイートしてる映画」とのこと。
うーむ、謎だらけやけど、なんか面白そうじゃあないか。行ってみよう。
 
阪急電車十三へと向かいました。
上映開始までまだ時間があったので、どこで時間をつぶそうかと思いつつ
十三栄町商店街を歩いていたら、前方を歩く人の小脇に見えるよ、人形が。
もしかしてこの人がそうか!?と後ろ姿を写メして友人に送ったら「たぶんそう」。
 
この方は上映前にラーメンを食べに行かれた模様です。
どうせならついていって私もラーメン食べればよかったけど、さすがに後をつける勇気はなく。
 
さて、シアターセブンにて上映です。
舞台挨拶付きの回をオンラインで予約したら、図らずも私が一番乗り。
別にそんなに張りきってないって。(^^;
私が確保したのはいちばん後方の通路ぎわの席。3つ前の席にその人。
探偵にでもなった気分でしたが、なんのこたぁない、出演者のうちのおひとりだったのです。
これまたビックリ。
 
とても変なドキュメンタリーです。皆さんに話せる内容でもありません。
だってラブドール、つまりダッチワイフ愛好者の話ですから。
 
埼玉県八潮市の中古住宅を購入した兵頭喜貴さん。
そこで自分のラブドールのコレクションを披露することを思いつきます。
世界唯一のラブドール専門博物館としてフリーペーパーなどでも紹介され、
コロナ前は海外からも実に多くの観光客が押し寄せたそうです。
 
ダッチワイフの映画はそう珍しくはありません。私がすぐに思いつくだけでも3本。
『ラースと、その彼女』(2007)、『空気人形』(2009)、『ロマンスドール』(2019)。
でも全部フィクションだったから、ドキュメンタリーはこれが初めて。
 
映像作家でもあるらしい兵頭さん。
本作には廃墟で人形とセックスする姿を自撮りした映像も登場します。
それがちっともエロくないというのか滑稽で、劇場内には笑い声が飛ぶ。
肌の質感とか、よくできた人形ではあるけれど、所詮人形は人形。
腕や足はでろーんと動かない様子が可笑しくて、確かに笑ってしまう。
 
『ロマンスドール』は高橋一生がダッチワイフを作る職人役で、製作過程がわかりましたが、
本作ではダッチワイフの手入れの仕方がわかります。
 
病に冒されて今は男としての機能がまったく働かなくなってしまったという兵頭さんは、
もう人形相手にセックスすることはない。ただ大切にするだけ。
お風呂に入れて、天瓜粉(って今言いますかね?)を丁寧に塗る。
巨乳とは到底言えない大きさの胸に粉をはたき、このぐらいの胸の大きさがいちばんいいと言う。
手にきっちり収まるぐらいかな。
 
そして私が本作を観るきっかけとなった「人形を2体連れた人」は人形仲間らしく、
いつも持ち歩いていらっしゃる人形とは別の、等身大の人形が部屋にある。
彼のブログに付いているカウンターは、訪問者の数ではなくて自分が人形とセックスした回数だとか。
んなもんは見たくも聞きたくもないけれど、
ひきこもりで、生身の人間にはなかなか心を開けなくて、でもこの人形たちがいれば、
人形を通してさまざまなものが見える。虫眼鏡のような役割を果たしている。
人形が自分の目となり耳となってくれるという話は少しだけ切なくなりました。少しだけですよ。
 
まぁ、イケメンでもなんでもない人(かどうかは関係ない!?)のこういう趣味を見せられるのは、
好奇心が勝らなければ不快なだけかもしれません。
私としては、こういう機会がなければ知り得なかったダッチワイフの使い方がわかって面白かったです。
ただ気持ちいいことを想像して買い求めたら、手入れが意外に大変で挫折する人が多いことも知りました(笑)。
 
どんなものも大事にしなくちゃいけないってことですね。(^^)

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『トップガン』×『トップガン マーヴェリック』連続上映に行く。

2022年09月21日 | 映画(た行)
各地でおこなわれている『トップガン』×『トップガン マーヴェリック』連続上映。
時間的にちょうどよかった塚口サンサン劇場で鑑賞しました。

『トップガン マーヴェリック』については21回目まで書きました。
その後22回目に109シネマズ大阪エキスポシティにて4DX吹替版を観たので、
今回は23回目になります。
『トップガン』を観たのは1986年の公開時だから、36年ぶりです。
 
『トップガン』は映画自体には思い入れがありません。
むしろ聴き倒したサントラのほうに思い入れがある。
おそらく部屋を探せばカセットテープが出てくると思います。
 
36年ぶりに観て、『トップガン マーヴェリック』にこれほどまでに前作へのオマージュというのか、
意識したシーンや台詞があることに驚きました。
マーヴェリックの無謀さに最初に激怒する上官がどちらもハゲなのはオマージュではないでしょうが(笑)、
ケイン少将役のエド・ハリス、前作のジャーディアン中佐役のジェームズ・トルカン、両方素敵なハゲです。
 
ハングマンのことを男らしくないやつみたいに言うけれど、
なんだ最初は自分も同じようなことをしていたんじゃあないか(笑)。
そしてマーヴェリックは何も考えずに動くのは昔からのことかと思っていたら、
そうでしたか、グースの死後はやはり動けずにいたのですね。
 
前作の出演者が今どういう風貌に変化しているのか調べると面白い。
トム・クルーズのように今のほうが断然カッコイイ人は稀でしょうけど。
いや〜、これぐらい若いときのトム・クルーズはどうでもいいです。
お呼びがかからなかったケリー・マクギリスは気の毒だけど仕方がない。
今の彼に見合うくらいの容姿を保ち続けていなければならないとは酷な話。
 
いちばん気になるのは、『トップガン』では「マーベリック」だったことでしょうかね。
そういえば昔は「B」も「V」も全部バビブベボの表記だった気がします。
 
てなことは本当にどうでもよくて、ただやっぱり私は『トップガン マーヴェリック』が好き。
だから、11月に発売のDVDやらブルーレイやらもセットは要りません。
マーヴェリックのほうだけ購入します。たぶん特典異なる3点ぐらい。(^O^;

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