夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『メリーおばさんのひつじ』

2024年09月14日 | 映画(ま行)
『メリーおばさんのひつじ』(原題:Mary Had a Little Lamb)
監督:ジェイソン・アーバー
出演:メイ・ケリー,クリスティーン・アン・ナイランド,ガストン・アレクサンダー,ジリアン・ブロデリック,
   ハリー・ボックスリー,チャーリー・エスケア,ダニエル・スコット,ロブ・カートリー他
 
絶対、観に行かなくていいやつ。でもこういうのに限ってちょうどいい時間に上映がある。
わざわざ封切り日に行くなんて、私、どうかしてるっちゅうの。イオンシネマ茨木へ。
 
『プー あくまのくまさん』(2023)が批評家に酷評されつつも話題にのぼり、
面白がる若者たちの間でヒットしたからなのでしょうね、二番煎じもいいところのイギリス作品。
 
童謡“メリーさんのひつじ”の起源は知りませんでした。
19世紀前半のアメリカで、をペットとして飼っていた家庭の娘メリーが、
その羊を学校に連れて行ったら大騒ぎになったという実話に基づくとか。
しかし「実話に基づく」とわざわざ書くような話ですかね、これ。
ま、「エジソンが初めて蓄音機に録音した歌」ということですから、凄い歌なのでしょう。
 
本作はそんな童謡をタイトルにしたイギリスのスラッシャーホラー作品です。
ただし、羊を可愛がっているのは少女じゃなくてオバハン。
これも配給はもちろんアルバトロス・フィルム叶井俊太郎魂、健在。
 
20代半ばのカルラは、未解決事件を扱うラジオ番組“カルラの迷宮事件簿”のパーソナリティ
それなりに面白い番組だと自負しているが、このところネタ切れ気味。
案の定上司から呼び出され、番組の打ち切りを示唆される。
現場で支えてくれるスタッフたちのためにも、なんとか存続させたいと悩むカルラ。
 
そんな折、ワープウッズという森で行方不明者が続出しているという情報を手に入れる。
カルラとベテランアシスタントのモナ、レイ、新人のシェリー、
SNSにより広報を担当するリズと彼女が連れ込んだ男マットと共にワープウッズへ。
 
途中、道に迷った一行は、森の奥深くにひっそりと建つ一軒家を発見。
女主人のメリーはカルラたちを温かく迎え入れてくれるが、
何か障害を持っているらしい息子は姿を現さないまま夜を迎える。
 
どこか怪しさを感じるシェリーは、直ちにこの家を出るべきだと主張するが、
怪しさがあるからこそここにとどまるべきだとカルラは考える。
森の夜は怖くて危険だからひと晩泊まるようにとメリーに促されて受け入れる。
 
夜中に起き出したカルラは、ネタを物色しようとこっそりリビングへ。
すると背後から突然メリーに声をかけられて驚くが、メリーは自らの辛い過去について話しはじめる。
これはより面白い番組ができそうだと内心思っていたところ、モナがいなくなって……。
 
番組打ち切りの危機に陥り、拾ったネタを捏造してでも盛り上げようとするカルラ。
捏造するつもりかとスタッフから問われると、捏造ではなく演出だと言い切ります。
こういうことは世の番組の中にあるでしょうね。
 
観る人はほとんどいないでしょうから、この先ネタバレです。
 
メリーおばさんの話はちょっと気の毒ではあるものの、
若かりし頃に遊び歩いていて男と寝まくっていたと話している彼女には同情もできず。
息子は羊の着ぐるみを着ているのかと思ったのに、どうやらそうではない。
レイプされて生まれた子どもが羊でしたって、何!? ないないない。(^^;
 
次々と羊男にぶった切られて殺され、最後に残るのはもちろんカルラで、
襲いかかってきたメリーのことをカルラが殺します。
逃げ出したカルラは森を激走、追いかける羊男。
通りかかった車に乗せてもらってカルラはなんとか逃げる。ここで終わり。
 
ってことは続編あるんですよね。
想像するに、番組のために性懲りもなくカルラが森に戻って羊男と対決か。
だけどもうメリーおばさんいないやん。
あ、「メリーおばさんと羊」じゃなくて「メリーおばさんの羊」だから、羊さえ生きてりゃいいのか。
 
どうする、私!? 次も観に行く!? 観に行ってしまいそうな私自身にドン引きや。(--;
うーむ、『プー』よりは続編を観たくなる話かも。

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『愛に乱暴』

2024年09月13日 | 映画(あ行)
『愛に乱暴』
監督:森ガキ侑大
出演:江口のりこ,小泉孝太郎,馬場ふみか,水間ロン,青木柚,
   斉藤陽一郎,梅沢昌代,西本竜樹,堀井新太,岩瀬亮,風吹ジュン他
 
仕事帰りにテアトル梅田で2本ハシゴの2本目。
前述の『ボストン1947』の次に。
 
吉田修一の同名小説を森ガキ侑大監督が映画化。
以前は好きでよく読んでいた作家なのに、そういえばとんとご無沙汰しています。
これは読んでみようかなと思う。
 
初瀬桃子(江口のりこ)は夫の真守(小泉孝太郎)と結婚して8年。子どもはいない。
真守の母親・照子(風吹ジュン)が居る実家の敷地内に建つ離れに暮らし、
かつて勤務していた会社のつてで、手作り石鹸教室の講師を週に1度務めている。
これといって何も起こらないが、良くも悪くもない平穏な毎日。
 
……って、これ以上何を書けばいいのかわからない話ですね。(^^;
 
本当に何も起こっていないのに、桃子がどこかくすぶっているのがわかります。
嫁姑の関係は一見悪くないようだけど、姑はなんだかちょっと意地悪。
しかし桃子はそれを口に出すことはなく、姑に頻繁に声をかけ、ゴミ出しもします。
 
夫といえば、桃子にまるで興味なし。
そのことに対しても桃子は不満を言うわけではなく、努めて明るく振る舞います。
帰りが遅くなるかどうかもわからない夫のために食事は必ずつくり、
出張だと聞けばスーツケースにアイロンをピシッとかけたワイシャツを揃える。
 
けれど桃子の言動には不思議なところが見えます。
ピーちゃんって誰よ。猫にピーちゃんという名前も変だろうと思ったら、やっぱり猫じゃない。
桃子が探すピーちゃんがいったい何なのかは終盤までわかりません。
 
日に何度も桃子が除く誰かのSNSは、どうやら夫の浮気相手の奈央(馬場ふみか)のものらしい。
それについて問い詰めもしない桃子ですが、夫と浮気相手が雁首揃えて会いたいと言い出す。
この辺りから桃子の抑えていた気持ちが爆発します。
 
漂う不穏な空気。
わかってくれるのは近所に住むどこかの国から出稼ぎに来ている青年だけ。
放火犯と間違われて逃げた桃子に彼が履き物を差し出すシーンはちょっぴり温かい。
 
人に薦めようとは思わないけれど、妙に心に残る作品でした。
これはやはり江口のりこの力なのか。
 
あのSNSは本当に奈央のものだったのかな。桃子自身のものかもしれません。

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『ボストン1947』

2024年09月13日 | 映画(は行)
『ボストン1947』(英題:Road to Boston)
監督:カン・ジェギュ
出演:ハ・ジョンウ,イム・シワン,ペ・ソンウ,パク・ウンビン,キム・サンホ他
 
仕事帰りに車を走らせ、テアトル梅田へ。2本ハシゴの1本目。
 
監督は『シュリ』(1999)や『チャンス商会 初恋を探して』(2015)のカン・ジェギュ。
 
1936年、ベルリンオリンピックが開催され、マラソン金メダルと銅メダルに輝いたのは朝鮮人の2選手。
しかし、当時の朝鮮は日本の統治下にあったため、彼らは日本代表として記録される。
金メダルを受賞したソン・ギジョン(ハ・ジョンウ)は、おおっぴらには不満を唱えなかったものの、
表彰台で日章旗を隠す仕草をしていたことを非難され、引退を余儀なくされる。
 
それから10年以上が経過し、いまだ破られぬ世界記録を持つギジョンを称え、
彼の名前を冠したマラソン大会が開かれるが、当のギジョンはまるでやる気なし。
 
困窮する生活のために仕事を掛け持ちする青年ソ・ユンボク(イム・シワン)は、
優勝すれば賞金が出るというガセネタに釣られて出場、見事1位となるが、
賞金は出ないわ、ギジョンは酒の匂いをさせて会場に来るわで憮然。
 
一方、銅メダル受賞者のナム・スンニョン(ペ・ソンウ)は若手選手を育てるべく、
マラソンの指導者として現場に出続けているばかりか、自らもまだ走っていた。
ギジョンを監督とするチームでボストンマラソンに参加しようと熱意を持って誘ってくる。
 
気乗りせずも、太極旗を胸に出場したい想いがこみ上げてきて、
ギジョンはスンニョンと共にユンボクをボストンへ連れて行こうと考える。
しかしボストンで受け入れてくれる人間や出場のための保証金の工面に困り……。
 
反日感情あらわな作品ならばちょっとツライとも思っていましたが、そこまでではありません。
朝鮮人としてオリンピックに出ることが叶わなかった事実が述べられているだけ。
 
戦争が終わり、ようやく自分たちは自分たちとして走れると思ったのに、
ボストンに渡ってみれば、用意されていたユニフォームの胸には星条旗
朝鮮は独立国ではなくて難民国だから、朝鮮としての出場は認められないと言われるんですね。
 
それを翻させるためにギジョンとスンニョンは打って出ます。
無事太極旗を胸に走れることになり、ユンボクが素晴らしい走りを見せる。
もともと彼のマラソンは独学。
走力がついたのは、母親のために祠の供え物を盗みに行っていたおかげというのは嘘か誠か。
神様は怒らない、見捨てない。
 
よその国の人間を無理やり自分の国の人間にするなんてとんでもないことだと改めて思う。
それを望んでいるのならまだしも、決してそうではないのだから。
 
同監督の『シュリ』のデジタルリマスター版も今日から公開です。

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『Re:ゼロから始める異世界生活 劇場型悪意』

2024年09月12日 | 映画(さ行)
『Re:ゼロから始める異世界生活 劇場型悪意』
監督:篠原正寛
声の出演:小林裕介,高橋李依,新井里美,岡本信彦,天崎滉平他
 
イオンシネマ茨木にて、前述の『カミノフデ 怪獣たちのいる島』の次に。
 
スルーしようかと思っていましたが、
が本作関連のアイテムをオンラインクレーンゲームで釣り上げていたのを思い出し、
どんなアニメなのか観ておこうと思いました。
弟がこのアニメ自体を観ていたかどうかは疑問なのですけれど。
薦められたこともないので、たぶん興味はなかったと思われます。
 
原作は長月達平のライトノベルで、2016年にTVアニメとして第1期の放送スタート。
本作は来月からの放送開始に先立ち、第3期の第1話90分スペシャルを劇場で公開するというもの。
 
観に行ってみたものの、どういう設定なのだかほとんどわからんやぁないかい。
主人公はナツキ・スバルという少年で、エミリアというお姫様の護衛なんすかね、これ。
で、ナツキがかわいがっている少女がベアトリス。
 
登場人物にはこういう「かたまり」がいくつかあり、
姫様、護衛、幼女というセットに私には見えます。
なぜにこういうことになったのかさっぱりわからず、
原作を読むなりTVアニメ版を観るなりしないと話について行くのは無理。
 
最後に登場するシリウス・ロマネコンティなる包帯ぐるぐる巻きの女性は何者ですか。
彼女の姿が異様で恐ろしく、その声もうるさすぎて耳を塞ぎたくなるほど。
おどろおどろしいシーンで終わるので、この先はちょっと気になります。
 
けれど、来月第3期から観たところで何もわからないと思うのです。
かといって第1期と第2期25話ずつ観る時間はつくれない。
こうして老後に観ようと思うものが増えて行くのでした。

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『カミノフデ 怪獣たちのいる島』

2024年09月12日 | 映画(か行)
『カミノフデ 怪獣たちのいる島』
総監督:村瀬継蔵
出演:鈴木梨央,楢原嵩琉,町田政則,馬越琢己,吉田羽花,樋口真嗣,笠井信輔,
   春日勇斗,塚本このみ,柳澤花,釈由美子,斎藤工,佐野史郎他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
原作者で総監督も務める村瀬継蔵は来月89歳の誕生日を迎える特撮界のレジェンド。
20歳そこそこで北海道から上京して東宝へ入社、特殊美術を担当したそうな。
1970(昭和45)年の万博では「太陽の塔」内の“生命の樹”にくっつけられた恐竜の造形も担当。
この人なくしては日本の特撮は語れないというぐらいの人のようです。
 
そんな彼に敬意を表し、本作のHPには山崎貴監督がコメントを寄せ、
“進撃の巨人”シリーズの樋口真嗣監督が役者として出演。斎藤工も友情出演を果たしています。
 
特殊美術造形家・時宮健三(佐野史郎)が亡くなり、お別れ会と称して作品の展覧会が開催される。
健三の孫・朱莉(あかり)(鈴木梨央)には厳しかった祖父の印象しかなく、
山ほどある祖父の作品もこれで片付けられるではないかと言うと、母親の優子(釈由美子)が少し寂しげに笑う。
優子の腕には大きな傷痕があり、あれもきっと健三のせいでできた傷に違いないと朱莉は思っている。
 
朱莉が会場をぶらついていると、同級生・城戸卓也(楢原嵩琉)の姿が。
卓也は大の特撮ファンらしく、崇拝していた時宮健三の孫が朱莉だと知って大興奮。
ふたりで話していると、健三の古くからの知人だという男性・穂積(斎藤工)が声をかけてくる。
 
穂積によれば、健三は『神の筆』という映画を企画していたらしい。
そのプロットのメモを渡された朱莉と卓也は、急に光に包まれて、映画の世界に紛れ込んでしまう。
こうなる前に穂積が朱莉にかけた言葉を思い返してみると、神の筆を探してほしいということ、
そしてもしそれができなければ世界は消滅してしまうということ。
世界を救えるのは朱莉しかいないと知らされ、朱莉と卓也は戸惑いながらも行動を開始するのだが……。
 
今の時代の特撮と比較すると、そりゃもうなんというのかチャチい。
恐竜なんかの動きもビミョーなのですが、CGを駆使した絵とは異なり、なんだかぬくもりがあります。
昔の怪獣映画の空気が漂っていて憎めません。
子どもの頃に観た“ウルトラマン”とか“仮面ライダー”、“超人バロム・1”、“キカイダー”など、
次々と思い出して懐かしい気持ちがこみ上げてきます。
 
だからってすごく面白かったかと言われるとそこまでは。
ただ、前日途中退場したTHE 3名様Ω これってフツーに事件じゃね?!よりは確実に大画面で観るべき作品です。
途中で帰りたくもなりませんでしたし。(^^;

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