『 正しい言葉は常識に反しているように見えるものである。』
天下の柔弱(ジュウジャク)なものの中で、水より柔弱なものはない。だが、堅く強いものを改めるに、水より勝るものを私は知らない。そして、水に代わるものなどない。弱いものが強いものに勝ち、柔らかいものが剛(カタ)いものに勝つという道理は、天下に知らない者がないが、その道理を実践しうる者はない。
そうであるから聖人は言っている。国の垢を受け入れる者、これが社稷(シャショク・土地と五穀の神)の主といわれる者であり、国の不詳を受け入れる者、これを天下の王というのである、と。
正しい言葉は常識に反しているように見えるものである。 ( 『老子』第七十八章より )
( 「ちょっぴり『老子』」 NO.85 より )