NHK BS4K 2022/4/16
国境の長いトンネルを抜けると雪国だった。夜の底が白くなった。
ノーベル文学賞を受賞して没後50年、川端康成の名作のあまりにも有名な出だしの部分である。
物語の舞台は新潟県の越後湯沢であるが、メインロケ地は福島県の会津地方、撮影期間が大雪だったので、
雪国の様子と昭和初期の温泉街のひなびた、たたずまいがよく表現されている。
その中で、雪国で暮らす女性、駒子(奈緒)と妻子持ちであるが生への執着が希薄であ文筆家の島村(高橋一生)との
やりとりや会話が、長期間に渡る情景の中に描かれていく。
駒子の三味線での謡いに愛情を感じる島村
温泉場での駒子と島村
長い逗留から都会に戻ろうとする駒子と島村のところに(森田望智)が走り寄ってくる。
そして、「駒ちゃん、早く帰って、行男(高良健吾)さんの様子が変よ」と言う、
行男の幼なじみで、許嫁、とも言われる駒子。
しかし。駒子は帰ろうとしない。「ねえ、すいません、この人を帰して下さい。」
と葉子。「早く帰れよ。馬鹿」と島村。「いや、私は帰らない」と駒子。
降って沸いたような熱い3人のやりとりは、このドラマのミステリー的な要素として後の進行に
大きな影響を与える。
実は、原作に隠された真実は、当初の駅での行男に寄り添う葉子の姿から始まっていたのだった。
演出 渡辺一貴 ディレクター
(了)