マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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矢田東明寺地区九月観音講

2009年10月06日 07時26分35秒 | 大和郡山市へ
大和郡山市の矢田丘陵、旧村になる北矢田には北村、中村、東村、横山、東明寺地区それぞれの形式で観音講が続けられている。

従来、観音講の日は17日だったが農事や仕事の都合で集まりにくくなった。

東明寺地区はほぼ第一土曜にしているが村の祭りなどで忙しいときはその日を替える。

10軒からなる観音講は毎月交替する当番の家で営んでいる。

講の宗派は法華経、矢田さんの金剛密教に天理教と念仏は異なるが、それぞれのお家の宗派の応じた形式でお勤めをする。

観音講は食事を済ませた夜のお勤め。

かつてはアブラゲ、ニンジンなどを入れた醤油味のカヤクゴハンにお浸しやおつゆを作って接待していた。

家のこともしなくてはならない、講の接待もしなくてはならない当番は主婦。

食前酒は飲むし、正月の月はそれに田作り、数の子、豆、牛蒡などの正月のごっつぉ三種が伴っていた。

たいへんやからもっと簡単にしようと九ヶ月前にお茶とお菓子の接待に大改正された。

今月の接待当番は東明寺のお寺さん。

お寺さんの宗派と同じ宗派の方が導師となって前に座る。

当番はお経を唱えることなく接待に徹する。

みなさん参らしてもらいましょかと言って席につく。

まずは懺悔文からで次は般若心経。

そのあとが延々と唱えられる西国三十三カ所のご詠歌。

鉦を叩きご婦人の優しい声が流れていく。



23番を終えて一服の休憩でお茶がでる。

お菓子もいただいてしばらくしたら続きが始まった。



東明寺子安地蔵のご詠歌もある番外が続き、最後は観音経に鉦の連打、なむあみだぶつ、なむあみだぶつと手を合わせて今夜のお勤めを終えた。

講中のお一人は「おばあちゃんの形見や、古い本やけど毎月持ってきてる」と差し出されたご詠歌集の本。

最後のページには「二千部の内 和州矢田山南僧坊院住 明治四十四年三月 百味講社世話人中」とある。

およそ100年ほど前に矢田寺で発行されたものだった。

歴史を感じるご詠歌集には「郡山石間印刷」とある。

これは今でも現業の堺町にある石間印判店であろう。

店の名前は印鑑屋になっているが現在でも印刷業もしていると講のご婦人が仰った。

(H21. 9.12 Kiss Digtal N撮影)