マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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高取町森のイノコ

2009年12月27日 07時43分54秒 | 高取町へ
「イノコの晩に モチの搗かん家は 箸の家建てて 馬のクソで壁塗って ここの嫁はん何時貰う 3月3日の朝貰う 鰯三匹 酒五合 新米藁で祝ぉたろか ペッタンコ ペッタンコ もひとつおまけに ペッタンコ ペッタンコ」と掛け声をかける子供たちは家の門口の地面に藁棒を叩きつける。

収穫が終わって最初の亥の日に行われている高取町森地域のイノコの行事。

かつて子供たちだけで行っていた。

イノコをしたら家の人が祝儀をくれる。



それを先輩が預かってお菓子を買ってくれた。

余ったお金は分けてくれたのだと懐かしそうに話す男性経験者。

そのころは青年団が仕切っていて男の子だけでしていた。

今は子供会の主催行事で女の子も参加するようになった。

昔は土の地面で崩れた藁は自然に帰った。

舗装された地面になったから流れんようになって掃除の箒を持った親が随行する。

環境問題も優しく対応するようになったイノコ行事。



祝儀は駄賃になるので、少なかったら藁に水を浸けて障子にぺっぺっと飛ばして訴えてやったと昔を思い出す男性。

大らかな時代は戻って来ないだろうと笑った。

永明寺前に集まったイノコの子供たちは幼稚園児から小学6年生までの男女。

「イノコの晩です」と呼び鈴を押して声を掛ける。

出てきたお家の人に了解を得てから藁棒叩きを始める。

ご祝儀をいただいたら次の家に走っていく子どもたち。



イノコが始まったばかりだというのに、既に叩かれた藁棒はボロボロになってしまった。

北の端まで行って、森の街道を戻って西の端の家まで。

50軒余りの地区を巡るには相当な時間と体力がいる。

(H21.12. 8 Kiss Digtal N撮影)