マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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上吐田の大とんど

2013年05月26日 08時28分01秒 | 川西町へ
川西町上吐田の大とんどは雨天であっても決行される。

前年のとんど組みは雪が降って積もった。

とんど組みする竹の伐採、運搬にひと苦労したと一昨年に勤めたトーヤが話す。

この日は夜半から降った雨は朝になっても止まない。

公民館の公園に設えた大とんどの場は水分を含んで歩くこともままならない。

上吐田の大とんどは2月15日と決まっている。

かつて新暦にしてはどうかと1月15日に行った。

昭和26年頃のことだ。

その年には南の吐田で火事になった。

6軒もの屋敷が焼けたと話す宮十人衆。

そんなことがあったから旧暦の小正月の15日にしているという。

北吐田では1月15日であった。

子供会が執行していたとんどは少子化の波を受けて中断に至った。

もしかとすればだが、北吐田も旧暦であったかも知れない。

このように旧暦正月の小正月に行っていたとされる地は大和郡山市矢田町の中村。

住民の話によればかつては2月15日であった。

正月も過ぎて節分を過ぎればとんどの日も忘れてしまう。

それならと1月15日に日程を替えたという。

とんどの実施日には1月31日、2月1日、2日がある。

大和郡山市内では矢田町小南町丹後庄町が31日。

1日に筒井町、新庄町本村、豊浦町がある。

天理市の嘉幡町でも1日だったと聞いたことがある。

2日には番条町井戸野町、稗田町、美濃庄町、新庄町鉾立がある。

奈良市の池田町でも2日であるようだ。

これらは2月を二ノ正月と云って2月を二度目の正月として考えていたようだ。

奈良県内では1月14日の夕刻から翌朝の15日にとんどをしている地域が圧倒的に多いが、上吐田などのように2月になって行われる地域も判ってきた。

当地以外でも同じような考え方をもって実行されている地域はまだまだあるのではないだろうか。

火を最初に点けるのは施主であるトーヤの役目。

藁束に火を点けて恵方の方角から火を点ける。

今年は南南東だ。

「昔からそうしている」という。

点いた火を貰って藁束に火を点けるのが宮十人衆・五人衆。

とんど周りに火を点ける。



雨が降っても焼けていくとんど。

瞬く間に広がるとんどの火。

そんな様子を見にきた村人たちのほとんどが婦人である。

傘をさす日になったが村の行事をひと目見ようとやってきた。

瞬く間に燃え上がる大きなとんど。



ほぼ1時間で終えた。

見届けた婦人たちは戻っていくが講中は公民館で直会。

とんど組みの日もそうしている。

春はまだ遠からじ。

数時間後には雨がみぞれになって雪へと変わった。

(H25. 2.15 EOS40D撮影)