マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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柏木町のとんど

2013年05月10日 08時30分16秒 | 大和郡山市へ
穏やかな朝を迎えた大和郡山市の柏木町。

霜が降りた田んぼに野の鳥たちが騒ぎだす。

天空を舞いあがるヒバリがピーチク、ピーチクと羽ばたきながら降りようともしない。

ずんぐりむっくり栄養満点のツグミは地面をキョロキョロ。

いずれも獲物を求める姿に春近し。

素盞嗚神社東側の田んぼの空き地に設えたとんどは大きい。

高さが5mで直径も5mぐらいであろうか。

朝日が昇りだして田んぼの降り霜も光っている。

夜明け前の西の空にはまだ月が残っている。

しばらくすれば朝日が昇りだす。

田んぼに設えたとんど辺りに朝霞がたちこめる。



気持ちの良い朝を迎えた。

竹を組んだ中心部の土台は神社境内にあった樹木を伐採した木材だ。

護摩壇のように組んだと話す。

例年は竹、笹、藁束であったが今年は特別だと云う。

倒れないように割った竹で周囲を縛ったとんどは前月の27日に設えた村の三役。

以前はもっと大きいとんどであったと云う。

かつてのとんど場は神社下の四ツ辻であった。

「今から思えばえらい処でしていたものだ」と思い出される。

柏木町のとんどは昔も今も2月1日。

二ノ正月のとんどは朝7時に火点けをしていた。

子供が学校に行く前にいち早く点けていたが、今では1時間遅れの8時になった。

かつては子供が各家を巡ってとんどのシバを分けて貰っていた。

シバは藁束や竹だったそうだ。



とんど組みをするのも火を点けるのも村役。

柏木町のとんどは自治会運営で行われている。

他所のような人だかりもなく淡々とされた火点け。

今年の恵方の南南東から点けていく。

風もない穏やかなこの日も天空めがけて火が一直線のように昇っていく。



朝の冷気がとんど周りを白く染める。

昔は学校に出かける子供が「早よせー」と云うて大人を急かしたそうだが一人も現れない。

子供の頃には竹に挿してモチを焼いていたと話す役員たち。

竹の先に書き初めの習字の書をつけて燃やしていたそうだ。



服忌の家は宮さんに参ることはできない。

とんどにおいても来ることはできないと話す。

昨年のとんどは宮さんにあった太鼓台を燃やした。

昭和10年に村の婦人たち4人が寄進した太鼓台は担ぐことは一度もなかった。

マツリには境内に置いたが子供らは太鼓を打たなかった。

当時も今も変わらず10数軒の旧村集落。

村の人数は増えなかった。

新町住居は増えたものの、今後も担ぐことはないだろうと無用の太鼓台は宮司にお祓いをして貰って燃やしたと話す。

(H25. 2. 1 EOS40D撮影)