マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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額田部北町棚ケ崎地蔵講の数珠繰り

2013年12月27日 09時17分00秒 | 大和郡山市へ
13組の人たちが数珠繰りをしていると聞いてやってきた大和郡山市の額田部北町。

公民館の前にある児童公園。

そこには地蔵尊が祭られている。

その地蔵さんは「棚ケ崎(たながさき)」という名前がついていると自治会長が云う。

今では東池を埋め立てた児童公園に佇んでいるが、かつては民家傍にあったと話す。

道路を拡張した際に移された地は旧公民館であった。

「その後も、あっちへいったり、こっちへと、ようやく落ち着いてここへ来ましたんや」と住民が話す時期は30数年前らしい。

どこでも大概の地蔵さんはそういう具合に移動する。

棚ケ崎の地蔵さんの前で数珠繰りをされるのは、13組垣内中の48戸の地蔵講。

戦前に造立されたと云う地蔵尊の証しは、百万遍大念珠を納めている講箱に墨書されていた「昭和拾九年8月23日新調 額田部北方棚ケ崎 地蔵講」が示す。

戦後になって地蔵さんの祠を新調したようだ。

それを示すのは御供を供える板である。

それには「昭和25年8月23日新調」とあり、在地21人の協力者の名が記されている。

御膳と呼ばれるお供えは五椀。

洗い米・小豆椀、瓜を盛った椀、シイタケ・コンブ・ホーヤドーフを盛った椀、麩の椀に茶葉の椀はいずれも生御膳である。

御膳の前にも数々の御供がある。

瓜、茄子、薩摩芋、梨、林檎、葡萄にシイタケ・コンブ・コーヤドーフ・カンピョウ・カツオ粉などである。

例年に倣って当番さんが供えた。

お花を飾って、ローソク・線香に火を灯す。

子供も交えて参列する数珠繰りは輪になった。

この年は16人が集まった。

始めに地蔵尊に向かって法要をする融通寺住職。



輪に入らず手を合わせる婦人も居る。

いつもなら西日が射して暑い地蔵盆の日。

この日の雲行きは怪しい。

一昨年、昨年とも突然の雨に見舞われた。

大急ぎで場を移したのは公民館だった。

近くにできた施設があるのもありがたい。



何回繰り返すか、数珠繰りの回数を数える人はいない。

法要を終えた住職は輪中の人らに向かって鉦を叩く。

数取りは住職が手にしたお数珠である。

11回で「そろそろ終わろう」と云って終えた数珠繰り。

結局のところ、回数は何回であったのか判らないが、おそらく20数回。

なんとか雨も降らずで、笑みが零れた。



数珠繰りを終えれば、ありがたいことに子供も背中を丸めての身体堅固。

一人、一人が重さを感じる大念珠である。

地蔵盆は夕方にされる地域が最も多い。

18時、19時、20時よりも遅い時間帯に営みをされる地域もある。

それらが終わる頃の20時過ぎ。

突風が吹き荒れる大雨になった。

無事に終わったのだろうか。

翌日も雨が降り続ける。

24日に地蔵盆もされる処がある。

どのように対応したのか気にかかる。

(H25. 8.23 EOS40D撮影)