マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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龍田大社夏越大祓式

2015年01月09日 07時22分42秒 | 三郷町へ
茅の輪潜りがあると知って久しぶりにでかけた龍田大社。

夏越大祓いは平成25年から始めたという。

先代宮司の親父さんは引退されて名誉宮司に、継いだ上田禰宜は今年の4月から正式に宮司になった。

昨年が始めての茅の輪作り。

その年の茅は大和川で採ってきたが、大雨の影響で泥まみれだった。

水洗いするなど奇麗にするには三日間もかかったと話す。

初めてのことなので氏子の支援は二人だった。

茅の輪を作るには丸一日がかりやったと云う。

今年の夏越大祓いは氏子総代に案内されて大勢の氏子らがやってきて作ったのだ。

およそ2m以上にも組立てた茅の輪作りは総代ら11人が支援する作業だったので半日でできあがったと云う。

ちなみに今年の茅の採取地は勢野北口。

宅地造成で運ばれた土に混ざっていた「ヨシ」だと話していた。

予め受け取っていた人形に名前・数え歳を書いて祭祀受付に祓い料千円を授けて参列する。

今年は式典を終えて貰って帰る小型の茅の輪も用意したと云う。

斎場は拝殿前の境内だ。

斎壇には一般参列に用意した人形もあれば、中央に奉書で包んだ二品もある。

中身は見えない。

左側にあるのはキリヌサのようだ。

式典は茅の輪後方に並んだ参拝者に人形、キリヌサを配られて始まった。



始めに大祓えの詞を奏上される。

次は、参列者の人形祓えだ。



人形で患部をなでて、ふっと息を吹きかける。

そしてキリヌサを撒く。

参列者が祓った人形を封に入れて神職に返す。



そのときに気がついたご婦人の姿。

普段着姿のご婦人と若い女性は、なんと三郷の坂本さん親子だった。

二人の女児はやがて巫女職の後継ぎになる子供さんだ。

「こうして村の行事に参列することがとても大切なのです」と坂本さんは話す。

ここで、突如として始まった祓えの作法。

奉書に包んだ桃の木をバキバキと折られたが、写真では判り難い。



次の布切れを引き裂く作法は8回。

水平に構えてぐっと引き裂く。



繰り返し、繰り返し、細くする。

これもまた一瞬の作法である。

呼吸を読み取ることは難しい。



折った桃の木と引き裂いた布切れは参拝者が祓った人形とともに蓆に包みこむ「はらえつもの(祓えつ物)」の儀式である。

大祓えの詞に祓えつ物の儀のことが書かれてあると云う。

祓えつ物は式典を終えてから大和川に流すそうだ。

龍田大社の茅の輪潜りは「はらえつもの」の儀を終えてからである。



茅の輪の正面に立って軽く一礼して潜る。



潜れば左廻りする。

廻って再び正面に立って茅の輪を潜る。



次は右廻り。

ぐるりと旋回して再び正面に立って茅の輪を潜る。

次はもう一度左に廻って正面に立って潜り、まっすぐ神前に進みでて、2礼2拍手、1礼をされて参拝するという作法である。

まずは神職らが「水無月の 夏越しの 祓いする人は 千歳のいのち のぶというなり」の古歌を唱えながら潜る。

参列者の人数は多い。2班に分けての茅の輪潜りは一列終わって次の潜りをする大きな輪になった。

三度潜って本殿に頭を下げる茅の輪は一列になる。

茅の輪潜りはどこでも同じだと思うが、龍田大社は氏子たちがぶつからないように安全柵で仕切りをしていた。

とにかく多い参列者の人数。

2班に分けての茅の輪潜りは一列終わって次の潜りをする大きな輪になる。

2班の先頭はいずれも総代さんらだ。

坂本さんの旦那さんも潜っていた。



後続についた坂本さん親子も潜っていく。

この日は巫女の出仕ではなく、一般氏子としての参列である。

2組が潜るには時間もかかる。

古来より茅には浄化の力あるとされてきた。

特に伊勢地方が有名な蘇民将来に由来する神話である。



茅の輪を潜ることによって心身を清めて無病息災を願うのである。

茅の輪潜りを終えれば拝殿で風鎮祭前祝の参賀に移る。



茅の輪の横の桶に入れた茅は持ち帰って家内安全・無病息災を祈って玄関に飾ると案内されていた。

多くの参賀者は案内を読まれて持ち帰っていった。

(H26. 6.30 EOS40D撮影)