マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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佐田のさなぶり

2015年01月04日 07時07分01秒 | 高取町へ
田植えを終えて村の豊作を祈願する「さなぶり」行事を取材している。

この日に訪れたのはイノコ行事や春日神社のヨミヤ、下宮さんのお祭りを拝見した高取町の佐田である。

二毛作をしていた時代は7月に入ってからであったが、今では6月末の日曜日である。

すべて田植えを終えたら村の豊作を祈願する。

「さなぶり」行事をされる春日神社は束明神古墳がある地だ。

古墳を巡るツアーは大勢の団体客が訪れるが、「春日神社の参拝はしませんな」と云う。

そこに立っていた燈籠には「嘉永四年(1851)二月吉日」の刻印があった。

寄進者は3名。

いずれも「的場」姓である。

年番さんが本殿にお供えをしてローソクを立てる。



集まった村人たちは拝殿前で横一列に並んだ。

総代が前に出て2礼、2拍手、1礼の作法で祭典を終えた。



神職は登場することもなく、ただそれだけである。

20年以上も前は総代の奥さんが炊いたオタフクマメを皿に盛って供えていた。



参拝を終えてオタフクマエを肴に下げたお神酒を飲んでいた直会。

今では豆を炊くこともなく市販のおつまみをいただく直会になった。

場は和やかな雰囲気で盛りあがる。

昨今はイノシシが出没する佐田の里。

直会の最中に鉄砲を持った男性が現れた。

イノシシ撃ちの猟師である。

サツマイモは喰い荒らすし田んぼは穴ぼこだらけ。

アライグマ・・・そんな甘いもんじゃない。

山へ駆けあがっていった猟師は三方から追っているという。

そんな姿を見た村人たちは、鉄砲で追うシシマツリがやってきたと云った。

直会をされていた拝殿。



その場に置いてあった古い消防ポンプに目がとまった。

消防団の庫に置いてあったが手狭になったことから拝殿に移したと云う。

消防ポンプは手押し型、江戸時代後期に各地で採用された「龍吐水」と呼ばれている道具である。

一節によれば享保年間にオランダから輸入されたのが始まりだとか・・・。

これまで奈良市上誓多林や山添村切幡で拝見したことがあるが、佐田の製造会社・年代は判読できかった。

おそらく近代のモノだと思われるが、貴重な民具史料である。

(H26. 6.29 EOS40D撮影)