どいつもこいつもなっていない道先案内人の対応。
言いたくもない、とんでも案内に立ち往生した。
言いたくもないのだが今後の対応が素晴らしい形になってくれると期待を込めて書くことにした。
場所は橿原市の今井町だ。
まちづくり団体が主導してさまざまな展覧会やイベントを開催する『はならあと』のサテライトエリア。
橿原市の今井町は『はならあと ぷらす』。
公募作家の10組と地域連携プロジェクトの4企画による展覧会を美しい町並みとともに楽しんでもらうという趣向である。
知人の作家さんが展示すると案内状が届いたので車を走らせた。
今井町の会場は点在している。
その会場に行くには車で、と考えていた。
駐車場はどこにあるのか。
ネットをぐぐってみた『はならあと』。
10月22日~10月31日までの期間で展示時間は朝の10時から午後の4時までだ。
「※会期中、インフォメーション(今井まちづくりセンター)にて、アンケートをご記入の方に「 今井まちなみ交流センター 華甍」の駐車無料券をお渡しします。」と表記しているが、駐車場はどこなのか。
その頁の一番下に会場マップがあった。
その右下に描いてあった今井交流センター「華甍」に吹き出し文字で「インフォメーション(今井まちづくりセンター)にて、アンケートをご記入の方に「今井まちなみ交流センター 華甍」の駐車無料券をお渡しします」とある。
その駐車場に行けばアンケ-ト記入があって。
提出することで無料駐車券をくれるのだろうか。
普通、そんなことはあり得ないが、書いてある文字を読めば、駐車場の処に案内人が無料駐車券を渡してくれるように思えた。
その駐車場のアドレスは書いていないからカーナビゲーションにセットはできない。
あとで判ったのだが、インフォメーション(今井まちづくりセンター)は会場の一角であった。
『はならあと』の頁をめくりにめくってアドレスが見つかった。
今井町1-10-9(重要文化財の旧米谷家住宅)をカーナビゲーションにセットして走った。
ある程度まで走ってなぜか教えるカーナビゲーションは畝傍を示す。
このままいけば遠ざかる一方。
入力しなおして戻る。
今井町はとにかく狭い。
昔の寺内町の様相をとどめている極めて稀に残った重要伝統的建造物地区。
何度か訪れているから記憶にある。
狭い街路をカーナビゲーションが指示する通りに到着した場所は民家だった。
その民家前には一般の駐車場があった。
『はならあと』が案内する「今井まちなみ交流センター 華甍」の駐車場ではない。
どこに向かえばいいのかその民家に置いてあった『はならあと ぷらす』マップ。
方角が判らないので街行く人に尋ねた。
その男性は黄色いようなジャケットを着ていた。
たぶんに案内してくれるだろうと思って声をかけた。
指定される駐車場はどう行けば良いのか・・。
こう行って、ああ行ってである。
男性が続けていった。
駐車するにはここへ行って駐車無料券をもらってからにしてください、という。
それなら先にそういうことを云うべし、であろう。
始めて訪れる人はなにをどうしていいのかオロオロする対応の伝え方だ。
そこへ行けばもらえるということでまたもや道案内。
ここをこう行って、あそこを曲がって・・・。
車を停めるにはお寺がある処に若干停められる場所があるから大丈夫と云われた。
大丈夫といわれてもアンケートを書いている時間に通行する車があれば迷惑になるだろうに・・。
そういったが、短時間だから行けます、という。
ぐぐっと廻ってそこに行った。
膨らみ部分はこれかどうか判らないが、すぐ向こうにインフォメーション(今井まちづくりセンター)らしきものがある。
無料駐車券はここで良いのかと聞けば、そうだという。
車はここへ停めてもいいのかと云えば、通行する車はないから、構わないという。
そういう通りにした。無料駐車券をもらうにはアンケートを、と云われて記入していたら、通行する車がクラクション。
予想していたことが発生した。
ここへ停めてくださいと云った和服姿の女性の案内にイライラする。
アンケート記入、車の移動、どちらを優先すればいいのか・・受付をしていた別の和服女性に云えば、車を移動してくださいだ。
当然だろう。
通り過ぎる車は2台。
なんとかせーよ、と言いたげな運転手の顔が見えた。
記入場所に戻って継続する。
すべてを記入したら、これは交換券なので無料駐車券と交換してください、という。
えっ、である。案内はどうなっているんだ。
そんなことはどこにも書いていなかった。
この場所を案内した男性もそういうシステムになっていることを伝えていない。
私はいったいどうしたらいいのだ。
車を駐車場に停めずに次の行先を指示する2番目に登場した和服姿の女性は云った。
駐車場に停めて、ここ今井まちづくりセンターに戻ってもらって、ここをこうして次の通りにある反対側の場所を示して・・・。
なんでそんなに大回りをしなければならないのか・・・。
女性がいうにはいろんな展示会場を見てもらうように案内している、という。
そんなアホな、である。
この時の時間帯は午後3時を過ぎていた。
迫ってくる展示時間。
駐車場は停めなきゃならんのに大回りをせよ、という大胆な案内にあきれかえってモノも云えないが、そういうわけにはいかない。
あんた何を考えてまんねんやっ、である。
先に無料駐車券に交換しておけば、残り時間を気にしなくとも安心して拝見できるでしょうに。
イライラに切れそう・・。
切れそうどころか爆発させたのは何回目。
指定された駐車場はタイムパーキング。
駐車カードを手にして知人が展示する会場に向かった。
無料駐車券を発行する時間帯は午後の5時まで。
展示会場の締め時間より遅い。
余裕時間は十分に確保できる。
そう判断できたから展示を見ることにしたのだが、こんなことも『はならあと ぷらす』の頁には書いてあったのだろうか・・・。
到着した時間は午後4時20分。
会場で知人をお会いした。
積もる話しに時間の経過が早い。
もうしわけないが、退出時間は午後4時を過ぎた15分だった。
展示会場を出ようとしたときに1番目に応対した和服女性がいた。
交換場所はどこかと聞けば、一緒に連れていってあげる、という。
それなら安心できる。
そう思って付いていったが、そこは午後5時までだからゆっくり・・・、と思ったが、その女性は午後4時半で閉まる、という。
時間がないし、その件はどうでもいいから、急いでください、という。
そうなんだ、無料駐車の交換券に書いてあった午後5時までじゃあなく、4時半が正しいのだ、と思った。
そこは『はならあと ぷらす』のマップにあった「景観支援センター(橿原市生涯学習部今井町並保存整備事務所)」であるが、交換して無料駐車券を発行するとはちっとも書いていない。
いったいここの案内はどうなっているのだ。
しかも、だ。ガイドマップの表記についてこうしておけばいいのではと伝えたら、私らなんぼ言っても聞いてくれないとグチまで零す始末。
この人もアンケートに書いて・・・、と云ったことに愕然とした。
和服女性は私を施設にここです、といって戻っていった。
職員は意図を掴んで無料駐車券を手渡すが、どう使用するのか説明をしない。
なんと無頓着のことか。
私が7年半も務めた施設でも同じように無料駐車券を手渡していたが、必ず一言を添えて伝えていた。
「お手持ちの駐車券を出口の機械に挿入して、次に無料駐車券を入れてください」、と伝えていた。
始めて利用する人は使い方も始めて。
機械に挿入することすら始めてという人も少なくない。
手渡したときにだいたいの人は不安そうな顔をする。
そのときに添えてあげる詞でどれほど救われるか。
たまに、無料駐車券を入れたらよろしいですね、という人もおられる。
そこで伝えるのは入庫するときに時間が判らなかったら、アカンでしょと伝える。
勤めていた施設で手渡す無料駐車券は2種類あった。
施設の利用時間に応じて2時間券か、30分券になる。
入庫したときの時間は駐車券に印字してある。
施設の利用はそれだけでも判断できる。
つまりは無駄な無料駐車券を遣わせないためにある。
そういうこともあって、入庫した時間が判らないと駐車場のシステムが成り立たんでしょ、というわけだ。
これらの説明は利用者に勉強していただくためにもしていた。
施設にとってではなく、利用者のためを、と思って説明していた。
それがサービスだと思っている。
単に券を渡す、のではなく、利用者の気持ちにそって優しく話してあげるのをモットーにしてきた。
おかげさんで仕事を離れた5年も経った今でも町ですれ違うときの私に声をかけてくれる人もいる。
昨日もそういう人に出会った。
ありがたいことだと思っている。
えーかげんな案内がリピータどころか、二度とその人は今井町に来なくなるだろう。
私はそう思ったことを事務室から出てきた上司にも伝えた。
展示会場に来られた男性にこういった経緯を話したら、アンケートに書けばよかったのに、という。
それは書いても無駄とは言い難いが、受け取った人、読んだ人は真剣に取り組まない。
頭のなかに若干の記憶は残るが、いずれは消えていく。
アンケートは絶えず人の見えるところに貼りだすのが効果的だ、と思っている。
大手のスーパーではクレームアンケートを入口付近で張り出しているケースがある。
で、そこには会社としてこのような対応をさせていただきました、とある。
それを読めば、会社の姿勢がよくわかる。
従業員の姿勢も判る。
挨拶だけではなく真心のこもった対応がリピータを呼び込む。
そんな今井町にしていきたいと云った上司。
研修も教育もしていきたいと云ったが、あえて否定した。
その対応は机上教育でしょ、である。
観光客という客は100人おれば100人とも異なる理由をもってここへ来たわけだ。
目的も思いも皆違う多様性がある。
教育・研修はありきたり。
マニュアル通りの対応では想定どおりにいかない。
100人とも違うのだから対応は100。
いや、100以上の対応が求められる。
それを習得するには無理がある。
早期に身につけなければ客は2度と来ない。
チャンスは客と直に応対するときに発揮しなければならない。
実践型の研修が必要だ。
研修と云わずに、案内する人は自ら進んで町行く人に声をかける。
かけるのはだれでもいいということではない。
動き、表情をみれば困っているかどうかすぐ判る。
例えば観光マップをもってウロウロしているか、あっちやこっちを見ている人だ。
行先が見えないとか、行き方が判らないとか・・・。
声をかけてもらうだけで救われるのである。
サラリーマン時代の十数年間。
毎年入社する新人研修に携わっていた
。間作った手引きやレジメは翌年には使わなかった。
入社する新人の反応が毎年違うのである。
人が替われば研修方法も替える。
おかげさんでその十数年間に関わった新人さんに教えられたと今でも感謝している。
そういうことではないでしょうか、と云えば、その通りと返された。
是非とも今後の今井町を見ていただきたい。
物理的施設の充実ではなく、ソフト面の向上を考えていきたいと話してくれた。
導入部の案内でリピータが増えてば今井町もさらなる発展をする。
職員の思いは私の思いと同じ。
その状態になるよう陰ながら応援することを誓い合って今井町を離れた。
振り返って再見した『はならあと』の頁にサポーターカテゴリがある。
サポーターは開催期間中の受付や作品の見守りに来場者の誘導、説明、ガイドブックの販売など。
今井町会場を案内するまちづくり団体は「今井町町並み保存会」。
市の外郭団体なのか、NPO団体なのか存じないが、駐車場および無料駐車券の発行に関して案内がぞんざいであったことが残念に思えて仕方がない。
そんなことがあってようやく知人の作家さんがお披露目していた会場に着いた。
玄関口の向こうに染物の暖簾がある。
これは作家さんの染めであろう。
雰囲気が素敵で吸い込まれるように入っていく。
もっと近づけば思った通りの暖簾。
玄関表に掛けて迎えるのも良かろうと思うと、そのときは思ったが帰宅して映像見れば、裏でないとできない効果があると知ったのだ。
さすが、である。
座敷に数点の作品を展示している。
藍染を主体にした作品は光を巧妙にあてることで不思議な空間を映し出す。
赤は赤なりの温かさ。
青は青で静寂さを醸し出す。
ぐだぐだあったここまでの辿り着くプロセスがすうっと消えていった。
良い作品に出合えてほんま、良かった。
(H28.10.24 SB932SH撮影)
言いたくもない、とんでも案内に立ち往生した。
言いたくもないのだが今後の対応が素晴らしい形になってくれると期待を込めて書くことにした。
場所は橿原市の今井町だ。
まちづくり団体が主導してさまざまな展覧会やイベントを開催する『はならあと』のサテライトエリア。
橿原市の今井町は『はならあと ぷらす』。
公募作家の10組と地域連携プロジェクトの4企画による展覧会を美しい町並みとともに楽しんでもらうという趣向である。
知人の作家さんが展示すると案内状が届いたので車を走らせた。
今井町の会場は点在している。
その会場に行くには車で、と考えていた。
駐車場はどこにあるのか。
ネットをぐぐってみた『はならあと』。
10月22日~10月31日までの期間で展示時間は朝の10時から午後の4時までだ。
「※会期中、インフォメーション(今井まちづくりセンター)にて、アンケートをご記入の方に「 今井まちなみ交流センター 華甍」の駐車無料券をお渡しします。」と表記しているが、駐車場はどこなのか。
その頁の一番下に会場マップがあった。
その右下に描いてあった今井交流センター「華甍」に吹き出し文字で「インフォメーション(今井まちづくりセンター)にて、アンケートをご記入の方に「今井まちなみ交流センター 華甍」の駐車無料券をお渡しします」とある。
その駐車場に行けばアンケ-ト記入があって。
提出することで無料駐車券をくれるのだろうか。
普通、そんなことはあり得ないが、書いてある文字を読めば、駐車場の処に案内人が無料駐車券を渡してくれるように思えた。
その駐車場のアドレスは書いていないからカーナビゲーションにセットはできない。
あとで判ったのだが、インフォメーション(今井まちづくりセンター)は会場の一角であった。
『はならあと』の頁をめくりにめくってアドレスが見つかった。
今井町1-10-9(重要文化財の旧米谷家住宅)をカーナビゲーションにセットして走った。
ある程度まで走ってなぜか教えるカーナビゲーションは畝傍を示す。
このままいけば遠ざかる一方。
入力しなおして戻る。
今井町はとにかく狭い。
昔の寺内町の様相をとどめている極めて稀に残った重要伝統的建造物地区。
何度か訪れているから記憶にある。
狭い街路をカーナビゲーションが指示する通りに到着した場所は民家だった。
その民家前には一般の駐車場があった。
『はならあと』が案内する「今井まちなみ交流センター 華甍」の駐車場ではない。
どこに向かえばいいのかその民家に置いてあった『はならあと ぷらす』マップ。
方角が判らないので街行く人に尋ねた。
その男性は黄色いようなジャケットを着ていた。
たぶんに案内してくれるだろうと思って声をかけた。
指定される駐車場はどう行けば良いのか・・。
こう行って、ああ行ってである。
男性が続けていった。
駐車するにはここへ行って駐車無料券をもらってからにしてください、という。
それなら先にそういうことを云うべし、であろう。
始めて訪れる人はなにをどうしていいのかオロオロする対応の伝え方だ。
そこへ行けばもらえるということでまたもや道案内。
ここをこう行って、あそこを曲がって・・・。
車を停めるにはお寺がある処に若干停められる場所があるから大丈夫と云われた。
大丈夫といわれてもアンケートを書いている時間に通行する車があれば迷惑になるだろうに・・。
そういったが、短時間だから行けます、という。
ぐぐっと廻ってそこに行った。
膨らみ部分はこれかどうか判らないが、すぐ向こうにインフォメーション(今井まちづくりセンター)らしきものがある。
無料駐車券はここで良いのかと聞けば、そうだという。
車はここへ停めてもいいのかと云えば、通行する車はないから、構わないという。
そういう通りにした。無料駐車券をもらうにはアンケートを、と云われて記入していたら、通行する車がクラクション。
予想していたことが発生した。
ここへ停めてくださいと云った和服姿の女性の案内にイライラする。
アンケート記入、車の移動、どちらを優先すればいいのか・・受付をしていた別の和服女性に云えば、車を移動してくださいだ。
当然だろう。
通り過ぎる車は2台。
なんとかせーよ、と言いたげな運転手の顔が見えた。
記入場所に戻って継続する。
すべてを記入したら、これは交換券なので無料駐車券と交換してください、という。
えっ、である。案内はどうなっているんだ。
そんなことはどこにも書いていなかった。
この場所を案内した男性もそういうシステムになっていることを伝えていない。
私はいったいどうしたらいいのだ。
車を駐車場に停めずに次の行先を指示する2番目に登場した和服姿の女性は云った。
駐車場に停めて、ここ今井まちづくりセンターに戻ってもらって、ここをこうして次の通りにある反対側の場所を示して・・・。
なんでそんなに大回りをしなければならないのか・・・。
女性がいうにはいろんな展示会場を見てもらうように案内している、という。
そんなアホな、である。
この時の時間帯は午後3時を過ぎていた。
迫ってくる展示時間。
駐車場は停めなきゃならんのに大回りをせよ、という大胆な案内にあきれかえってモノも云えないが、そういうわけにはいかない。
あんた何を考えてまんねんやっ、である。
先に無料駐車券に交換しておけば、残り時間を気にしなくとも安心して拝見できるでしょうに。
イライラに切れそう・・。
切れそうどころか爆発させたのは何回目。
指定された駐車場はタイムパーキング。
駐車カードを手にして知人が展示する会場に向かった。
無料駐車券を発行する時間帯は午後の5時まで。
展示会場の締め時間より遅い。
余裕時間は十分に確保できる。
そう判断できたから展示を見ることにしたのだが、こんなことも『はならあと ぷらす』の頁には書いてあったのだろうか・・・。
到着した時間は午後4時20分。
会場で知人をお会いした。
積もる話しに時間の経過が早い。
もうしわけないが、退出時間は午後4時を過ぎた15分だった。
展示会場を出ようとしたときに1番目に応対した和服女性がいた。
交換場所はどこかと聞けば、一緒に連れていってあげる、という。
それなら安心できる。
そう思って付いていったが、そこは午後5時までだからゆっくり・・・、と思ったが、その女性は午後4時半で閉まる、という。
時間がないし、その件はどうでもいいから、急いでください、という。
そうなんだ、無料駐車の交換券に書いてあった午後5時までじゃあなく、4時半が正しいのだ、と思った。
そこは『はならあと ぷらす』のマップにあった「景観支援センター(橿原市生涯学習部今井町並保存整備事務所)」であるが、交換して無料駐車券を発行するとはちっとも書いていない。
いったいここの案内はどうなっているのだ。
しかも、だ。ガイドマップの表記についてこうしておけばいいのではと伝えたら、私らなんぼ言っても聞いてくれないとグチまで零す始末。
この人もアンケートに書いて・・・、と云ったことに愕然とした。
和服女性は私を施設にここです、といって戻っていった。
職員は意図を掴んで無料駐車券を手渡すが、どう使用するのか説明をしない。
なんと無頓着のことか。
私が7年半も務めた施設でも同じように無料駐車券を手渡していたが、必ず一言を添えて伝えていた。
「お手持ちの駐車券を出口の機械に挿入して、次に無料駐車券を入れてください」、と伝えていた。
始めて利用する人は使い方も始めて。
機械に挿入することすら始めてという人も少なくない。
手渡したときにだいたいの人は不安そうな顔をする。
そのときに添えてあげる詞でどれほど救われるか。
たまに、無料駐車券を入れたらよろしいですね、という人もおられる。
そこで伝えるのは入庫するときに時間が判らなかったら、アカンでしょと伝える。
勤めていた施設で手渡す無料駐車券は2種類あった。
施設の利用時間に応じて2時間券か、30分券になる。
入庫したときの時間は駐車券に印字してある。
施設の利用はそれだけでも判断できる。
つまりは無駄な無料駐車券を遣わせないためにある。
そういうこともあって、入庫した時間が判らないと駐車場のシステムが成り立たんでしょ、というわけだ。
これらの説明は利用者に勉強していただくためにもしていた。
施設にとってではなく、利用者のためを、と思って説明していた。
それがサービスだと思っている。
単に券を渡す、のではなく、利用者の気持ちにそって優しく話してあげるのをモットーにしてきた。
おかげさんで仕事を離れた5年も経った今でも町ですれ違うときの私に声をかけてくれる人もいる。
昨日もそういう人に出会った。
ありがたいことだと思っている。
えーかげんな案内がリピータどころか、二度とその人は今井町に来なくなるだろう。
私はそう思ったことを事務室から出てきた上司にも伝えた。
展示会場に来られた男性にこういった経緯を話したら、アンケートに書けばよかったのに、という。
それは書いても無駄とは言い難いが、受け取った人、読んだ人は真剣に取り組まない。
頭のなかに若干の記憶は残るが、いずれは消えていく。
アンケートは絶えず人の見えるところに貼りだすのが効果的だ、と思っている。
大手のスーパーではクレームアンケートを入口付近で張り出しているケースがある。
で、そこには会社としてこのような対応をさせていただきました、とある。
それを読めば、会社の姿勢がよくわかる。
従業員の姿勢も判る。
挨拶だけではなく真心のこもった対応がリピータを呼び込む。
そんな今井町にしていきたいと云った上司。
研修も教育もしていきたいと云ったが、あえて否定した。
その対応は机上教育でしょ、である。
観光客という客は100人おれば100人とも異なる理由をもってここへ来たわけだ。
目的も思いも皆違う多様性がある。
教育・研修はありきたり。
マニュアル通りの対応では想定どおりにいかない。
100人とも違うのだから対応は100。
いや、100以上の対応が求められる。
それを習得するには無理がある。
早期に身につけなければ客は2度と来ない。
チャンスは客と直に応対するときに発揮しなければならない。
実践型の研修が必要だ。
研修と云わずに、案内する人は自ら進んで町行く人に声をかける。
かけるのはだれでもいいということではない。
動き、表情をみれば困っているかどうかすぐ判る。
例えば観光マップをもってウロウロしているか、あっちやこっちを見ている人だ。
行先が見えないとか、行き方が判らないとか・・・。
声をかけてもらうだけで救われるのである。
サラリーマン時代の十数年間。
毎年入社する新人研修に携わっていた
。間作った手引きやレジメは翌年には使わなかった。
入社する新人の反応が毎年違うのである。
人が替われば研修方法も替える。
おかげさんでその十数年間に関わった新人さんに教えられたと今でも感謝している。
そういうことではないでしょうか、と云えば、その通りと返された。
是非とも今後の今井町を見ていただきたい。
物理的施設の充実ではなく、ソフト面の向上を考えていきたいと話してくれた。
導入部の案内でリピータが増えてば今井町もさらなる発展をする。
職員の思いは私の思いと同じ。
その状態になるよう陰ながら応援することを誓い合って今井町を離れた。
振り返って再見した『はならあと』の頁にサポーターカテゴリがある。
サポーターは開催期間中の受付や作品の見守りに来場者の誘導、説明、ガイドブックの販売など。
今井町会場を案内するまちづくり団体は「今井町町並み保存会」。
市の外郭団体なのか、NPO団体なのか存じないが、駐車場および無料駐車券の発行に関して案内がぞんざいであったことが残念に思えて仕方がない。
そんなことがあってようやく知人の作家さんがお披露目していた会場に着いた。
玄関口の向こうに染物の暖簾がある。
これは作家さんの染めであろう。
雰囲気が素敵で吸い込まれるように入っていく。
もっと近づけば思った通りの暖簾。
玄関表に掛けて迎えるのも良かろうと思うと、そのときは思ったが帰宅して映像見れば、裏でないとできない効果があると知ったのだ。
さすが、である。
座敷に数点の作品を展示している。
藍染を主体にした作品は光を巧妙にあてることで不思議な空間を映し出す。
赤は赤なりの温かさ。
青は青で静寂さを醸し出す。
ぐだぐだあったここまでの辿り着くプロセスがすうっと消えていった。
良い作品に出合えてほんま、良かった。
(H28.10.24 SB932SH撮影)