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今年は欠席通知が多くなり、参加は5人になった十津川遊び。
男ばかりの5人も初めてだが、これまでの記録を塗り替える最低人数になったことも初めてである。
平成16年は男性4人に女性が2人の6人だった。
平成15年は11人。
平成17年は14人。
平成18年は16人。
平成19年は12人。
平成20年は8人。
平成21年は14人。
平成22年は16人。
平成23年は11人。
平成24年は10人。
平成25年も10人だった。
仕事の都合で参加できない人もおられるが、子供が大きくなって中学校ともなればクラブや入学試験などで遊びどころではない。
毎年上昇する年齢で若手の人たちも定年迎えが増えつつある。
親の介護で自宅を離れることも難しくなった。
案内状を通知して欠席の連絡を拝読してそういう時代を迎えたと思った十津川遊びも今年で31回目。
初めて十津川に出かけたのは40年も前。
まだ二十歳過ぎだった。
そのときは車でなく奈良交通を利用するバス旅だった。
奈良駅だったか、それとも八木駅だったか記憶は飛んでいるが、五條バスセンターで乗り換えたことを覚えている和歌山新宮駅行きの路線バス。
乗車率は高かった。
当時勤務していた会社で三交替勤務をしていた。
前日は夜勤だった。
仕事を終えて始発バス停留所に向かった。
そこには若手SVが2人。
SVをアシストするOPの4人が待っていた。
夜勤帰りなのに目が覚める。
バス旅道中は長時間。
十津川に向かう道路は砂利道で乾燥した砂埃が舞っていた。
トンネルも少ない曲がりくねった道は細い道。
車酔いする人にとってはたぶん無理だろう。
乗車するお客さんは多く座席は満席だった。
席を譲った若手は立って吊り革持ちで延々と向かう先は風屋停留所。
そこから歩いて到着した民宿が津川さんだった。
昼は過ぎていたと思う。
民宿の昼食は冷やしソーメンだった。
民宿の下に流れる川は滝川。
ピチピチと光る魚が泳いでいた。
エサを投入して釣りをしてみるが、いっこうにアタリがない。
それもそのはず、魚は鮎だった。
釣りが好きなめんめんが気にいった民宿。
数年間の夏旅はここにしていた。
その後は参加メンバーも増えて信州まで出かけたことがある。
もっぺんあそこに行きたいという気持ちが高ぶって、再び滝川へとなった十津川遊び。
初期は記録を残していないので、明白ではないが、今回で31回目を迎えるこになった。
7月半ばに民宿津川に予約電話をかけたが、そのときは参加人数は確定していない。
たぶんいつもより人数が少なくなるようだと伝えておいた。
その後の8月9日。
台風11号の影響で大雨になった。
各地で被害が発生しているニュース報道。
そのころの参加人数はわずか4人。
取りやめの決断が迫ってきた。
通信不能だった一人から参加すると連絡があった。決行である。
例年ならば花火もするが子供はいない。
おっさんばかりでは不要である。
食事の内容・分量は大幅に変更せざるを得ない。
食材などは事前に準備するのだが気乗りしない。
人数が確定した旨、民宿津川に連絡した8月20日。
電話口で話す滝川の状況は悲惨だった。
お盆前の11日。
台風11号による影響で、十津川の栗平地区にあった土砂ダムの仮排水路が損壊して大水になったと云う。
重機も押し流される濁流で生きた心地がしなかったと話していた住民の声。
民宿のねえちゃんらは大阪に避難していたが、住民は公民館に避難していたと云う。
気象庁発表の降雨量は475ミリ。
おっとろしい雨量である。
そのような状況で、せっかく復活した鮎もまたあかんようになったと電話口で話す。
で、滝川はどうなのか。
13日の国交省の情報によれば立ち入り調査が不能な現状であると知らせていた。
笹の滝へも行けなくなった昨年よりまだ手前の土砂ダム決壊。
栗平地区の砂防ダム工事を早急に進めるとあった。
福知山といい、広島といい、豪雨によって甚大な被害がでているが、滝川集落には影響ないということだ。
例年と違う様相は電話口では判らない。
行ってみてから判断するとした。
さて、食材は何にするかである。
高取町の住民に貰ったシシ肉がある。
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1本はすき焼きにして家族3人で食べたが、脂がのってとても美味しかった。
こんなに美味しいシシ肉は持っていってみんなに食べてもらおうと思った。
なんせでかい一本なので、5人でも食べきらんような量である。
残すかもと考えて半分に切ってもっていくことにした。
例年なら乾麺を茹でてぶっかけうどん。
余ったうどんはゴーヤを入れてゴーヤうどんチャンプルーにしていた。
5人であればうどんでお腹が膨れる。
そう思ってうどんをチェンジして、乾麺は食べやすいソーメンにした。
冷やしソーメンで残りをゴーヤチャンプルソーメンにする考えだ。
たまたま貰った1本のゴーヤを持っていくことにする。
食材の買出しは出発する二日前。
4品の簡単料理を買ってきた。
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モヤシ・ひき肉を入れて作る麻婆春雨。
エリンギを入れて作るエリンギの春雨炒め。
春雨ばかりやんかと云われそうだが、お腹に堪えないからそれでいいのだ。
ピーマンと豚肉を入れて作るチャプチェも買った。
これもまた春雨の一種である唐麺(タンミョン)。
春雨よりも強く歯ごたえを感じる麺だ。
春雨は緑豆やジャガイモ・サツマイモデンプンが原料で食べやすい。
麺ばかりではと思う人もあるので、蒟蒻・ヒジキの炒り煮も買ったお手軽セットである。
それだけじゃ足らんやろと思って翌日も買出し。
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モヤシを入れて作るもやしのねぎ味噌炒めも揃えた。
魚肉バーガーは我が家の必需品。
野菜炒めするも良しやし、厚めに切ってフライパン焼きも良しである。
肉餃子もフライパンでできる。
あらびきスパイス焼きの鶏肉やあらびきウインナーも買った。
そうそう忘れてはならないエサも要る。
生食用のイクラはアマゴ釣りのエサに欠かせない。
野菜は簡単料理に間に合わせるピーマン、モヤシ、キャベツ、エリンギ。ニンジンは切るのがめんどくさいというわけではないが、分量から考えて多くは要らない。
そう思って袋入りのカット野菜を買った。
豚肉は切り落としだ。
2パックで540g。
妥当な量だと思うが、買ってきた品物を見たか-さんが云った。
「そんなに買って食べきれるんか」と問われた。
食材は揃ったが、料理をするには鍋・器・箸、カップにコンロなどがある。
蔵出ししたいつもの道具を詰め込んでできあがりではなく、他にもある。
出汁、塩、胡椒、油、生姜、山葵などは我が家の残り物だ。
出発地は我が家。
そこへAさんを乗せたUさんが車でやってくる。
ガソリン代を節約しようと1台を提案したが、Uさんの事情によって2台で行くことになった。
出発時間は朝8時10分。
目指すは大和高田駅だ。
この日の道路はすいすい状態。
詰まることなく8時半には早々と着いた広陵町の安倍。
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スーパーセンターいずみや近くのコンビニで小休止。
電車でやってくるUさんに電話をすれば、まだ八木駅だと云う。
特急、急行列車の時間待ちだと云う。
時間調整して大和高田駅で合流した時間は8時53分。
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予定していた時間より7分も早かった。
御所、そして五條・吉野川を渡って旧西吉野・旧大塔村を走り抜ける。
大阪からやってくるSさんと待ち合わせる場は「吉野路大塔」の道の駅。
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なんと10時9分に着いた。
大和高田から道の駅まで1時間20分。
今年はむちゃくちゃ早いのである。
道の駅には大きな看板で旧大塔村の観光資源を案内している。
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県無形民俗文化財指定の伝統行事である阪本の「阪本踊り」や篠原の「篠原踊り」が書いてあるが、現在は実施されていない。
「阪本踊り」は平成23年以降中断中。
「篠原踊り」は平成23年に発生した宇井の崖崩れや高齢化によって踊り手が5人になったことから平成26年からは中断せざるを得ない状況になっていたが、存続に向けて踊り手を一般募集され練習に入ったと7月21日付けの奈良新聞が伝えていた。
トイレ休憩を済ませて10時15分に再出発した5人はいつもの陸路で滝川を目指す。
民宿津川に着いたのは11時8分。
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これもまた早くなった。
毎年お世話になっているから顔馴染み。
元気な顔をみせてくれる。
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欠かせない手土産を渡して、明日の食材を預かってもらう。
詰め込んだ今年の分量は少ない。
軽くなったものだ。
滝川の様相を拝見すれば、川岸にたくさんの木が流れ着いていた。
滝川に下りる場をどこにするかノロノロ運転で走る林道。
栗平川が合流する橋を渡る。
水位はそれほどではないが、泥色になった河である。
ここから上流が土砂ダム決壊地。
工事が始まっているようだ。
ひとまず目指した内原。
いつも利用させてもらっているトイレがある処である。
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そこには「全面通行止 これより6.5キロ先 崩土及び路肩決壊にため全面通行止 笹の滝には行けません」とある。
それより先の奥里には昨年あった通行止めのゲートは外されていた。
笹の滝には行けないが、どこまで行けるかである。
狭い林道をそろそろ走る。
カーブミラー越しに見えた大きな車体。
ダンプカーである。
これまで見たこともない大きなダンプカーである。
上手な運転で除けてくれた運転手の目が光っている。
もう少し走ってみれば、ダンプカーが停まっていた。
運転手に問われた行き先。
その場は崩れた土砂を運ぶダンプカーの回転地。
入ることはできないと云う。
僅かな場所で反転して戻った。
ここなら安心して停められる内原のトイレ処。
何台も行き交うダンプカーの休憩場であった。
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お聞きすれば一日に5往復もする土運びは土曜日も働いておられたそうだ。
私たちの食事処の設営はこの場。
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12時ジャストだった。
とにかくお腹が空いた。
簡単料理を始めるには水が要る。
トイレ脇に設置してある蛇口に供給されているのは井戸水。
というよりもポンプで汲みあげる谷川水だ。
大鍋に入れて湯を沸かす。
ソーメンを湯がくのである。
うどんなら10分もかかるが、ソーメンであれば1分半から2分間。
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あっという間である。
その間にさばいたシシ肉。
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冷凍していたが溶けて柔らかくなっていたから包丁が入り難いとAさんが云う。
フライパンで焼くが、下味はと問えばまだやった。
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今なら間に合う下味は塩と胡椒。
あらびき胡椒も入れて焼いたシシ肉はとろけるな甘さで肉汁がじゅうじゅう湧いてくる。
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柔らかくて旨みのあるシシ肉は大評判。
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あっという間になくなった。
茹でたソーメンは透明カップに入れたみつかん追いかつお汁でいただく。
生姜、山葵はお好み次第。
買ってきた刻みネギも入れていただく。
この日の風屋測候所が伝えた気温は29.9度。
涼しい風が通りぬける内原であるが、日差しはキツイ。
もみのりをぶっかけた冷たいソーメンが喉を潤して箸が止まらない。
おかわりは茹でたソーメン。
ザルに盛ったソーメンが消えた。
食べている最中もプライパン料理が続く。
買ってきたトップバリューのウインナーソーセージ。
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ただ焼くだけだ。焦げ目がついたらできあがり。
ぷっちっと感で味わえる。
中身の種をとったピーマン。
カットされたニンジン、キャベツにモヤシを入れて作る麻婆春雨。
何かが足らない。
商品袋に書いてあったひき肉。
それは二つのパックで買った豚肩切り落としを包丁で細切れにするつもりだった。
確かに詰め込んだと思っていたが見当たらない。
はっと思い出した。
2パックとも民宿津川に預けたんだった。
明日は2倍食べさしてあげるわといっても納得いかない友人たち。
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仕方なく食べた麻婆春雨は美味いやん。
春雨の量は少ないが野菜がカバーしてくれる。
次の簡単料理はエリンギの春雨炒め。
春雨料理が続くのである。
適度に切ったピーマンを入れる。
もう一つの野菜はエリンギ。
肝心かなめのエリンギがない。
見当たらないのである。
そういえば冷蔵庫から取り出した記憶がない。
エリンギは自宅に忘れてきたんだ。
仕方ないからたまたま冷蔵庫にあったエノキを持ってきたことに気がつく。
それでいいんじゃないのというわけだ。
根の部分をざくっと切って、適度に手でさばく。
ばさばさ入れて混ぜる。
半分に分けたカット野菜も入れて炒める。
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できあがる寸前に春雨を入れる。
これもまた美味しくいただくお手軽料理。
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もう一品作ろうかといっても回答なし。
お腹が満腹になったのだ。
いつのまにかダンプカーが動いていたことも知らずに、ゆったり寛ぐ内原に集落がある。
山間村落の景観に見惚れていた時間帯は15時。
川に下ろうという声で動き出す。
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エサと竿を持って歩いていく集落には橋が架かっていた。
川原を見渡せば一人の鮎釣り師がいた。
釣れている様子は見られない。
どこから下りられるのか。
探してみる。
畑の間の道をつたって下りた3人。
魚がおらんというが、橋の上から見ていた私にははっきりと魚影は見える。
黒さ、大きさ、泳ぎ方からおそらくウグイであろう。
うじょうじょ泳いでいるが下りる気はしない。
渦を巻いていたところに泳いでいた魚。
遠目であるが間違いなくアマゴである。
泳ぎ方が違うのであるし、僅かに見えた側面に特有の文様があった。
うろうろしている間に小雨模様。
身体も冷えてきた。
そうだ、温泉に行こう、である。
食事のあと方づけは終わっている。
食事を済ませたころに掛かった携帯電話。
ここはソフトバッンクでも繋がるのである。
写友人からの相談電話であった。
写真にタイトルなどを県立民俗博物館に提出したが、仲間から一言あったそうだ。
それに悩んだ件を伝えてきた。
たしかにその意見は本人は悩まれるが、言われた通りにしなさいと伝えた。
そうこうしているうちに4人が方づけてくれたのである。
指示をしなくともかって知ったる十津川遊び。
テキパキと収納し終わっていたのだ。
小雨だった雨はやがて本降りになった。
滝川を下って本流に沿った国道を走る。
道路は滑りやすくなっている。
やがて着いた昴の郷。
丁度16時だった。
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ここで浸かる温泉は源泉かけ流しの宿のホテル昴。
民宿津川でもらった優待券を渡せば800円のところを500円になる。
300円の割引は助かる。
ホテル昴の湯加減がお気に入り。
内風呂、外風呂で汗を流して滝に打たれる。
長湯出来る人が羨ましい。
20分浸かってロビーで休む。
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天井を見上げれば美しくキャンドルライトが輝いていた。
のんびりとした寛ぎタイムは騒がしい下界を忘れて、1時間20分も滞在した。
民宿に戻った時間は18時前。
到着すれば部屋割りだ。
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SさんとAさんは大のいびきかき。
部屋はいくらでもあるというのでいびき組は一人一部屋に割り当てる。
残った3人は10帖の大部屋。
3人でも広すぎる。
夕食は18時20分。
なんか例年と違うようなメニューである。
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鍋はシシ肉のすき鍋だが、中華麺がある。
これは初めてだ。
ハクサイ、タマネギ、ニンジン、シイタケ、エノキのてんこ盛り。
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シシ肉は脂身が多いが赤身もある。
見るからに美味そうなシシ肉は出汁で埋まった鍋に入れる。
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野菜はあと回しだ。
脂が浮いてきた鍋に浮かぶシシ肉の脂身にごっくん。
見た目以上に美味いのである。
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鍋には極上色の生卵に浸けてよばれる。
ぐつぐつ煮込む鍋に野菜も入れた。
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そういやネギやアゲサンもあったんだ。
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テーブルに運ばれたのは鍋だけでなく、ゼンマイ、イモ、ニンジン、シイタケで煮込んだ煮しめもあれば、焼きナス、タコとワカメの酢もの、ナス・キュウリ・高菜の漬物もある。
食べきれるんだろうかと思った矢先に運ばれたカツオのタタキ。
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刻んだミョウガにシソの葉。
ぽん酢に浸してある。
おろした生姜でいただくカツオのタタキは美味すぎる。
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料理はそれで終わることなく、シカ肉の唐揚げに野菜の天ぷら盛りも運ばれた。
例年より豪華になった感じだと思っていたら、まだあった。
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鮎の塩焼きである。
絶滅したわけではなかったのだ。
宴の料理に口が弾む。
やっと飲めたビールは適当に冷蔵庫から持ちだす。
1本増え、2本増える空瓶。
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途中経過が判らなくなるほど飲んだ。
こうして津川の夜は更けていく21時。
饒舌にしゃべっていたAさんが消えた。
眼覚めに聞いた前夜の記憶がないという。
フルーツにアイスもあったデザートも記憶にないようだ。
Aさんが寝込んだあとも飲み続ける瓶ビールは11本。
少なくなったものだ。
(H26. 8.30 SB932SH撮影)
(H26. 8.30 EOS40D撮影)
男ばかりの5人も初めてだが、これまでの記録を塗り替える最低人数になったことも初めてである。
平成16年は男性4人に女性が2人の6人だった。
平成15年は11人。
平成17年は14人。
平成18年は16人。
平成19年は12人。
平成20年は8人。
平成21年は14人。
平成22年は16人。
平成23年は11人。
平成24年は10人。
平成25年も10人だった。
仕事の都合で参加できない人もおられるが、子供が大きくなって中学校ともなればクラブや入学試験などで遊びどころではない。
毎年上昇する年齢で若手の人たちも定年迎えが増えつつある。
親の介護で自宅を離れることも難しくなった。
案内状を通知して欠席の連絡を拝読してそういう時代を迎えたと思った十津川遊びも今年で31回目。
初めて十津川に出かけたのは40年も前。
まだ二十歳過ぎだった。
そのときは車でなく奈良交通を利用するバス旅だった。
奈良駅だったか、それとも八木駅だったか記憶は飛んでいるが、五條バスセンターで乗り換えたことを覚えている和歌山新宮駅行きの路線バス。
乗車率は高かった。
当時勤務していた会社で三交替勤務をしていた。
前日は夜勤だった。
仕事を終えて始発バス停留所に向かった。
そこには若手SVが2人。
SVをアシストするOPの4人が待っていた。
夜勤帰りなのに目が覚める。
バス旅道中は長時間。
十津川に向かう道路は砂利道で乾燥した砂埃が舞っていた。
トンネルも少ない曲がりくねった道は細い道。
車酔いする人にとってはたぶん無理だろう。
乗車するお客さんは多く座席は満席だった。
席を譲った若手は立って吊り革持ちで延々と向かう先は風屋停留所。
そこから歩いて到着した民宿が津川さんだった。
昼は過ぎていたと思う。
民宿の昼食は冷やしソーメンだった。
民宿の下に流れる川は滝川。
ピチピチと光る魚が泳いでいた。
エサを投入して釣りをしてみるが、いっこうにアタリがない。
それもそのはず、魚は鮎だった。
釣りが好きなめんめんが気にいった民宿。
数年間の夏旅はここにしていた。
その後は参加メンバーも増えて信州まで出かけたことがある。
もっぺんあそこに行きたいという気持ちが高ぶって、再び滝川へとなった十津川遊び。
初期は記録を残していないので、明白ではないが、今回で31回目を迎えるこになった。
7月半ばに民宿津川に予約電話をかけたが、そのときは参加人数は確定していない。
たぶんいつもより人数が少なくなるようだと伝えておいた。
その後の8月9日。
台風11号の影響で大雨になった。
各地で被害が発生しているニュース報道。
そのころの参加人数はわずか4人。
取りやめの決断が迫ってきた。
通信不能だった一人から参加すると連絡があった。決行である。
例年ならば花火もするが子供はいない。
おっさんばかりでは不要である。
食事の内容・分量は大幅に変更せざるを得ない。
食材などは事前に準備するのだが気乗りしない。
人数が確定した旨、民宿津川に連絡した8月20日。
電話口で話す滝川の状況は悲惨だった。
お盆前の11日。
台風11号による影響で、十津川の栗平地区にあった土砂ダムの仮排水路が損壊して大水になったと云う。
重機も押し流される濁流で生きた心地がしなかったと話していた住民の声。
民宿のねえちゃんらは大阪に避難していたが、住民は公民館に避難していたと云う。
気象庁発表の降雨量は475ミリ。
おっとろしい雨量である。
そのような状況で、せっかく復活した鮎もまたあかんようになったと電話口で話す。
で、滝川はどうなのか。
13日の国交省の情報によれば立ち入り調査が不能な現状であると知らせていた。
笹の滝へも行けなくなった昨年よりまだ手前の土砂ダム決壊。
栗平地区の砂防ダム工事を早急に進めるとあった。
福知山といい、広島といい、豪雨によって甚大な被害がでているが、滝川集落には影響ないということだ。
例年と違う様相は電話口では判らない。
行ってみてから判断するとした。
さて、食材は何にするかである。
高取町の住民に貰ったシシ肉がある。
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1本はすき焼きにして家族3人で食べたが、脂がのってとても美味しかった。
こんなに美味しいシシ肉は持っていってみんなに食べてもらおうと思った。
なんせでかい一本なので、5人でも食べきらんような量である。
残すかもと考えて半分に切ってもっていくことにした。
例年なら乾麺を茹でてぶっかけうどん。
余ったうどんはゴーヤを入れてゴーヤうどんチャンプルーにしていた。
5人であればうどんでお腹が膨れる。
そう思ってうどんをチェンジして、乾麺は食べやすいソーメンにした。
冷やしソーメンで残りをゴーヤチャンプルソーメンにする考えだ。
たまたま貰った1本のゴーヤを持っていくことにする。
食材の買出しは出発する二日前。
4品の簡単料理を買ってきた。
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モヤシ・ひき肉を入れて作る麻婆春雨。
エリンギを入れて作るエリンギの春雨炒め。
春雨ばかりやんかと云われそうだが、お腹に堪えないからそれでいいのだ。
ピーマンと豚肉を入れて作るチャプチェも買った。
これもまた春雨の一種である唐麺(タンミョン)。
春雨よりも強く歯ごたえを感じる麺だ。
春雨は緑豆やジャガイモ・サツマイモデンプンが原料で食べやすい。
麺ばかりではと思う人もあるので、蒟蒻・ヒジキの炒り煮も買ったお手軽セットである。
それだけじゃ足らんやろと思って翌日も買出し。
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モヤシを入れて作るもやしのねぎ味噌炒めも揃えた。
魚肉バーガーは我が家の必需品。
野菜炒めするも良しやし、厚めに切ってフライパン焼きも良しである。
肉餃子もフライパンでできる。
あらびきスパイス焼きの鶏肉やあらびきウインナーも買った。
そうそう忘れてはならないエサも要る。
生食用のイクラはアマゴ釣りのエサに欠かせない。
野菜は簡単料理に間に合わせるピーマン、モヤシ、キャベツ、エリンギ。ニンジンは切るのがめんどくさいというわけではないが、分量から考えて多くは要らない。
そう思って袋入りのカット野菜を買った。
豚肉は切り落としだ。
2パックで540g。
妥当な量だと思うが、買ってきた品物を見たか-さんが云った。
「そんなに買って食べきれるんか」と問われた。
食材は揃ったが、料理をするには鍋・器・箸、カップにコンロなどがある。
蔵出ししたいつもの道具を詰め込んでできあがりではなく、他にもある。
出汁、塩、胡椒、油、生姜、山葵などは我が家の残り物だ。
出発地は我が家。
そこへAさんを乗せたUさんが車でやってくる。
ガソリン代を節約しようと1台を提案したが、Uさんの事情によって2台で行くことになった。
出発時間は朝8時10分。
目指すは大和高田駅だ。
この日の道路はすいすい状態。
詰まることなく8時半には早々と着いた広陵町の安倍。
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スーパーセンターいずみや近くのコンビニで小休止。
電車でやってくるUさんに電話をすれば、まだ八木駅だと云う。
特急、急行列車の時間待ちだと云う。
時間調整して大和高田駅で合流した時間は8時53分。
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予定していた時間より7分も早かった。
御所、そして五條・吉野川を渡って旧西吉野・旧大塔村を走り抜ける。
大阪からやってくるSさんと待ち合わせる場は「吉野路大塔」の道の駅。
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なんと10時9分に着いた。
大和高田から道の駅まで1時間20分。
今年はむちゃくちゃ早いのである。
道の駅には大きな看板で旧大塔村の観光資源を案内している。
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県無形民俗文化財指定の伝統行事である阪本の「阪本踊り」や篠原の「篠原踊り」が書いてあるが、現在は実施されていない。
「阪本踊り」は平成23年以降中断中。
「篠原踊り」は平成23年に発生した宇井の崖崩れや高齢化によって踊り手が5人になったことから平成26年からは中断せざるを得ない状況になっていたが、存続に向けて踊り手を一般募集され練習に入ったと7月21日付けの奈良新聞が伝えていた。
トイレ休憩を済ませて10時15分に再出発した5人はいつもの陸路で滝川を目指す。
民宿津川に着いたのは11時8分。
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これもまた早くなった。
毎年お世話になっているから顔馴染み。
元気な顔をみせてくれる。
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欠かせない手土産を渡して、明日の食材を預かってもらう。
詰め込んだ今年の分量は少ない。
軽くなったものだ。
滝川の様相を拝見すれば、川岸にたくさんの木が流れ着いていた。
滝川に下りる場をどこにするかノロノロ運転で走る林道。
栗平川が合流する橋を渡る。
水位はそれほどではないが、泥色になった河である。
ここから上流が土砂ダム決壊地。
工事が始まっているようだ。
ひとまず目指した内原。
いつも利用させてもらっているトイレがある処である。
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そこには「全面通行止 これより6.5キロ先 崩土及び路肩決壊にため全面通行止 笹の滝には行けません」とある。
それより先の奥里には昨年あった通行止めのゲートは外されていた。
笹の滝には行けないが、どこまで行けるかである。
狭い林道をそろそろ走る。
カーブミラー越しに見えた大きな車体。
ダンプカーである。
これまで見たこともない大きなダンプカーである。
上手な運転で除けてくれた運転手の目が光っている。
もう少し走ってみれば、ダンプカーが停まっていた。
運転手に問われた行き先。
その場は崩れた土砂を運ぶダンプカーの回転地。
入ることはできないと云う。
僅かな場所で反転して戻った。
ここなら安心して停められる内原のトイレ処。
何台も行き交うダンプカーの休憩場であった。
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お聞きすれば一日に5往復もする土運びは土曜日も働いておられたそうだ。
私たちの食事処の設営はこの場。
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12時ジャストだった。
とにかくお腹が空いた。
簡単料理を始めるには水が要る。
トイレ脇に設置してある蛇口に供給されているのは井戸水。
というよりもポンプで汲みあげる谷川水だ。
大鍋に入れて湯を沸かす。
ソーメンを湯がくのである。
うどんなら10分もかかるが、ソーメンであれば1分半から2分間。
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あっという間である。
その間にさばいたシシ肉。
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冷凍していたが溶けて柔らかくなっていたから包丁が入り難いとAさんが云う。
フライパンで焼くが、下味はと問えばまだやった。
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今なら間に合う下味は塩と胡椒。
あらびき胡椒も入れて焼いたシシ肉はとろけるな甘さで肉汁がじゅうじゅう湧いてくる。
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柔らかくて旨みのあるシシ肉は大評判。
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あっという間になくなった。
茹でたソーメンは透明カップに入れたみつかん追いかつお汁でいただく。
生姜、山葵はお好み次第。
買ってきた刻みネギも入れていただく。
この日の風屋測候所が伝えた気温は29.9度。
涼しい風が通りぬける内原であるが、日差しはキツイ。
もみのりをぶっかけた冷たいソーメンが喉を潤して箸が止まらない。
おかわりは茹でたソーメン。
ザルに盛ったソーメンが消えた。
食べている最中もプライパン料理が続く。
買ってきたトップバリューのウインナーソーセージ。
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ただ焼くだけだ。焦げ目がついたらできあがり。
ぷっちっと感で味わえる。
中身の種をとったピーマン。
カットされたニンジン、キャベツにモヤシを入れて作る麻婆春雨。
何かが足らない。
商品袋に書いてあったひき肉。
それは二つのパックで買った豚肩切り落としを包丁で細切れにするつもりだった。
確かに詰め込んだと思っていたが見当たらない。
はっと思い出した。
2パックとも民宿津川に預けたんだった。
明日は2倍食べさしてあげるわといっても納得いかない友人たち。
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仕方なく食べた麻婆春雨は美味いやん。
春雨の量は少ないが野菜がカバーしてくれる。
次の簡単料理はエリンギの春雨炒め。
春雨料理が続くのである。
適度に切ったピーマンを入れる。
もう一つの野菜はエリンギ。
肝心かなめのエリンギがない。
見当たらないのである。
そういえば冷蔵庫から取り出した記憶がない。
エリンギは自宅に忘れてきたんだ。
仕方ないからたまたま冷蔵庫にあったエノキを持ってきたことに気がつく。
それでいいんじゃないのというわけだ。
根の部分をざくっと切って、適度に手でさばく。
ばさばさ入れて混ぜる。
半分に分けたカット野菜も入れて炒める。
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できあがる寸前に春雨を入れる。
これもまた美味しくいただくお手軽料理。
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もう一品作ろうかといっても回答なし。
お腹が満腹になったのだ。
いつのまにかダンプカーが動いていたことも知らずに、ゆったり寛ぐ内原に集落がある。
山間村落の景観に見惚れていた時間帯は15時。
川に下ろうという声で動き出す。
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エサと竿を持って歩いていく集落には橋が架かっていた。
川原を見渡せば一人の鮎釣り師がいた。
釣れている様子は見られない。
どこから下りられるのか。
探してみる。
畑の間の道をつたって下りた3人。
魚がおらんというが、橋の上から見ていた私にははっきりと魚影は見える。
黒さ、大きさ、泳ぎ方からおそらくウグイであろう。
うじょうじょ泳いでいるが下りる気はしない。
渦を巻いていたところに泳いでいた魚。
遠目であるが間違いなくアマゴである。
泳ぎ方が違うのであるし、僅かに見えた側面に特有の文様があった。
うろうろしている間に小雨模様。
身体も冷えてきた。
そうだ、温泉に行こう、である。
食事のあと方づけは終わっている。
食事を済ませたころに掛かった携帯電話。
ここはソフトバッンクでも繋がるのである。
写友人からの相談電話であった。
写真にタイトルなどを県立民俗博物館に提出したが、仲間から一言あったそうだ。
それに悩んだ件を伝えてきた。
たしかにその意見は本人は悩まれるが、言われた通りにしなさいと伝えた。
そうこうしているうちに4人が方づけてくれたのである。
指示をしなくともかって知ったる十津川遊び。
テキパキと収納し終わっていたのだ。
小雨だった雨はやがて本降りになった。
滝川を下って本流に沿った国道を走る。
道路は滑りやすくなっている。
やがて着いた昴の郷。
丁度16時だった。
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ここで浸かる温泉は源泉かけ流しの宿のホテル昴。
民宿津川でもらった優待券を渡せば800円のところを500円になる。
300円の割引は助かる。
ホテル昴の湯加減がお気に入り。
内風呂、外風呂で汗を流して滝に打たれる。
長湯出来る人が羨ましい。
20分浸かってロビーで休む。
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天井を見上げれば美しくキャンドルライトが輝いていた。
のんびりとした寛ぎタイムは騒がしい下界を忘れて、1時間20分も滞在した。
民宿に戻った時間は18時前。
到着すれば部屋割りだ。
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SさんとAさんは大のいびきかき。
部屋はいくらでもあるというのでいびき組は一人一部屋に割り当てる。
残った3人は10帖の大部屋。
3人でも広すぎる。
夕食は18時20分。
なんか例年と違うようなメニューである。
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鍋はシシ肉のすき鍋だが、中華麺がある。
これは初めてだ。
ハクサイ、タマネギ、ニンジン、シイタケ、エノキのてんこ盛り。
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シシ肉は脂身が多いが赤身もある。
見るからに美味そうなシシ肉は出汁で埋まった鍋に入れる。
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野菜はあと回しだ。
脂が浮いてきた鍋に浮かぶシシ肉の脂身にごっくん。
見た目以上に美味いのである。
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鍋には極上色の生卵に浸けてよばれる。
ぐつぐつ煮込む鍋に野菜も入れた。
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そういやネギやアゲサンもあったんだ。
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テーブルに運ばれたのは鍋だけでなく、ゼンマイ、イモ、ニンジン、シイタケで煮込んだ煮しめもあれば、焼きナス、タコとワカメの酢もの、ナス・キュウリ・高菜の漬物もある。
食べきれるんだろうかと思った矢先に運ばれたカツオのタタキ。
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刻んだミョウガにシソの葉。
ぽん酢に浸してある。
おろした生姜でいただくカツオのタタキは美味すぎる。
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料理はそれで終わることなく、シカ肉の唐揚げに野菜の天ぷら盛りも運ばれた。
例年より豪華になった感じだと思っていたら、まだあった。
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鮎の塩焼きである。
絶滅したわけではなかったのだ。
宴の料理に口が弾む。
やっと飲めたビールは適当に冷蔵庫から持ちだす。
1本増え、2本増える空瓶。
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途中経過が判らなくなるほど飲んだ。
こうして津川の夜は更けていく21時。
饒舌にしゃべっていたAさんが消えた。
眼覚めに聞いた前夜の記憶がないという。
フルーツにアイスもあったデザートも記憶にないようだ。
Aさんが寝込んだあとも飲み続ける瓶ビールは11本。
少なくなったものだ。
(H26. 8.30 SB932SH撮影)
(H26. 8.30 EOS40D撮影)