JAZZ最中

考えてみればJAZZばかり聞いてきた。いまもJAZZ最中。

みごとミンガス Reincarnation of a lovebird/P・ Cianaglini

2009-07-22 21:05:29 | 聞いてますCDいいと思う


イタリアのJAZZの現状、ハードバップを新たに展開しなおすことから、新たな音の展開を生み出しているようで、驚きを感じています。
そんな活況のなか、すべてをフォローできないので選んだのが昨日と今日のこの2枚でした。
イタリアの場合同じメンバーが交差することが多いのですが、この2枚もずいぶん交差しています。
ハイファイブでベース引いている人がリーダーですが、この人ピアノのLussuとはLtc trioを組んでいます。
ゲストのJavier Girottoもボッソとのラテンプロジェクトや「Sea in side」とかTango Negroなどでずいぶん会っている人です。
その人たちがなんとチャールズ・ミンガスに取り組んだアルバムです。
ハードバップをイタリア流に料理している彼らがミンガスをどう扱うのでしょうか。

JAZZを聴き始めたころ、すでに偉大だった人たちを学ぶために、ベストアルバムからスタートしました。プレステッジのマイルスとかロリンズとかですが、アトランテックのミンガスもその一枚でした。



[LP]

イタリアの若者たちがミンガスのお勉強をするなら、最近部屋でLPが簡単に聴けるようになったこちらも、久しぶりにミンガスをお勉強しました。
このアルバムの曲、日本語のタイトルのほうがなぜかしっくり思い出す凄い曲のあつまりです。

THE BEST OF CHARLIE MINGUS

1 直立猿人
2 ハイチ人の戦闘の歌
3 水曜の夜の祈りの集い
4 原爆許すまじ
5 ジャッキーの肖像
6 真夜中の12時

1曲目“直立猿人”これだけで当時のJAZZ喫茶が蘇る、懐かしいマクリーンのフレーズ、ベースのラインも地から強い、激しい音とリズムのなか美しいテナーが入ります。
2曲目“”ベースソロから始りリズムを刻み始めるとドラムスとトロンボーンがリズムに加わり、うねりのなか激しい戦いの雄たけびになだれ込んでいきます。
このような感じでA面B面、日本題のような激しい主張がびっしり詰まったアルバムです。
ミンガス久しぶりに聴いても、そこで発生している強烈な個性はウーン50年以上たっているのに何も変わりません。
ホーンも入れて作るリズムと激しいアンサンブル、ソリストの個性的な音とフレーズ、中に艶のあるホーンのソロが挟まれたながら展開する強い主張というのがミンガスの感じでした。

さてここからは新しいイタリアのミンガスに対してのアルバムです。記事の題を「みごとミンガス」にしましたが、これは見事にミンガスを再現したかというとそうではありません。(題が ウソジャン )
Ltcトリオのピアニストはどちらかというと軽快、軽いという印象が強く、マル・ウォルドンとは違う方向ですし、アルトの人もマクリーンやジョン・ハンディみたいに強くはありません。リーダーのCiancagliniからしてそれほど線が太くはありません。
ゲスト扱いのバリトンのGirottoが汚れ役のようにちょっとダーティーな音色で個性を作ります。
だから題の見事という言葉はぴったりとしませんが、「みごとミンガス」とは考えた語呂がいいので止められませんでした。
ただ見事と言い切ることができるものがあります。それがテナーのMax Ionata。
5曲目“Nostalgia In Time Square”ラテンタッチのリズムでアルトのソロの後、イオナータは美しい音色でインテリジェンス溢れるソロフレーズの連続で、とてもくクールです。
一緒に買った彼のリーダーアルバムもなかなかですが、充分練ったという意味ではこのソロが凄いと思います。
このアルバムのサウンドはというと4曲目、アルトのスローなバラッドから始りホーンのアンサンブルでリズムを作っていくところやアルトのソロのバックにベースのラインを聞かせるのは、ソフトではありながらもミンガスの作り方です。
7曲目バリトンがリズムを刻み始め、インリズムでアルトのテナーのハーモニーが加わるとアルトが別テーマで乗っていくというミンガスサウンド、ここでもイオーナータのテナーソロが冴えわたります。
10曲目は改めてお勉強した“Haitian Fight Song”ベースのソロから始まるのは同じですが、その後のアンサンブルはソフトに、戦いの歌ではなく、曲そのものの美しさのカラーを作っている感じです。この曲とても美しい流れなのです。
目標がまるでべつなので、これはこれで良い、今聴くならば実はこちらです。
このアルバム、ミンガスを個性を再現しようというものではなく、ミンガスの曲とサウンド作りを利用して、自分たちのコンテンポラリーを目指すもの、そのひたむきさがつたわってとても爽やかにおもうアルバムでした。

Reincarnation of a lovebird / Pietrol Cianaglini

Pietro Ciancaglini: (double bass)
Daniele Tittarelli: (alto sax)
Max Ionata: (tenor sax)
Pietro Lussu: (piano)
Walter Paoli: (drums)
Javier Girotto: (baritone sax # 2, 3, 7, 8)
2009年2月9,10日 録音

1. So Long Eric
2. Canon
3. Balarm
4. Reincarnation Of A Lovebird
5. Nostalgia In Time Square
6. Freedom
7. Moanin’
8. Jelly Roll
9. Homage
10. Haitian Fight Song

コメント (2)
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