
ラース・ヤンソン・トリオの新作は、前作がストリングスが重要な部分を占めていたので、本当に久しぶりの感じです。あまりに久しぶりなので、その間の時が失われて、ファーストインプレョンはちょっと戸惑いを感じました。
それでも何度か聴くうちに、だんだんと蘇ってくるラースとの時間。
私の、どうしようもない雑事やクレームに押し流されてしまって、時の刻み方の変な癖が体に染み付いてしまっている日常。
そんな時間感覚で聴き始めましたが、だんだんと失われていたラースの時の刻み方を思い出し、ラースにはラースに必要な時のすごし方があることを悟りました。
そうすると、その時をすごしていることが、シャングリラの中にあるような感覚がに包まれます。
1曲目、戸惑ったのが意外とラースの音が明るい、お孫さんも出来て明るい感じに向いているのでしょうか、それはそれでうれしいことです、あわせてドラムスが軽快になった感じも受けます。一般的な北欧アルバムと少し違った感じがあります。
2曲目ラースのたどる音階は確かな始まりで、それにリズムを加えてこれも明るい面を感じます。
3曲目は落ち着いたラースの雰囲気で、これで落ち着きました。これからの夏、北欧はとても良い季節なのでしょうが、“MIDSUMMER ”良いところだけが音で伝わります。
4曲目落ち着いた“SILJAN WALTZ”はシンシア湖で書いた曲だそうですが、ラースのブライトな音がこのアルバムでは増えているように思います。幸せが付いているのです。
タイトルになった曲はこれまでのラースの、もうひとつテンポを落とした感じの、派手さを廃して失われた時を求めた演奏です。
6曲目“SIMPLE SONG SIMPLE LIFE”はラースのカントリーハウスにあるスケッチブックに書かれていた曲とあります。でも私は聴くと、どうしてもあの“Hope”を思い浮かべてしまいます。とてもフレーズがにています。
7曲目、フリーなところもありますが、フレーズと音をきいていれば特に問題ありません。
9曲目ラースの音の魅力は昔からあるのですが、今回のアルバムでは、ブライトという色が加わった感じがします。
10曲、今までのラースの雰囲気を漂わせた曲調、ストレートなピアノのフレーズが凄い。
11曲目はフリー系の曲で、ちょっと異質の感はあります。これだったらもっと思い切ったインプロヴィゼーションを入れたほうが面白い。
そしてアフリカのリズムを取りいれた曲、ちょっとチックの感じあり、ラース音が少し軽くなているのです。
最後の曲は“HILDA”はお孫さんの名前だそうですが、これはいつものラース、ハーモニーに包まれた、すっきりしたフレージング、輝く音色、まねの出来ない総合的な曲調、やはりラースの時があったのです。
最初に時の問題を話題にしてしまいましたが、私たちは時進み方の感覚をコントロールできているのでしょうか。
ラースを久しぶりにきいたら、自分の関わっている時と、ラースの音楽の時との違いに気がつきました。
大切のしている音楽を聴くときには、自分の特別な時感覚を確保して、その世界に入れば、そこがシャングリラです。
In search of lost Time / Lars Jansson
Lars Jansson(p)
Christian Spering(b)
Anders Kjellberg(ds)
1. THERE IS A BUTTERFLY IN MY ROOM
2. AT-ONE-MENT
3. MIDSUMMER
4. SILJAN WALTZ
5. IN SEARCH OF LOST TIME
6. SIMPLE SONG SIMPLE LIFE
7. ONE HAND CLAPPING
8. FISHERMAN
9. GOD'S DELAYS ARE NOT GOD'S DENIALS
10. A RARE ITALIAN BIRD
11. WHERE IS THE BLUES 4
12. GODS WHO SHIT
13. NEW ROOM
14. HILDA