
2012年度で選んだ年間ベストのトップ3枚のうちの1枚はエンリコの「Permutation」だったから(ちなみに後の2枚は「LIBERATANGO IN TOKYO / NAOKO TERAI & RICHARD GALLIANO」と「Alter Ego / Yaron Herman」だった。)新しいアルバムはもちろん即買だけれど、前作でスコット・コリーとアントニオ・サンチェスがすばらしいのでメンバーをみて一寸残念な気がしないでもないけれど、それもVillage Vangerdとなるとモチアンだったのかもと不満はありません。
1曲目、モンクの“ I mean you ”から始まるところなど、いかにもクラブにいる感じで、そして多彩に叩くのがポール・モチアンなのは感慨深い。リー・コニッツやメルドーとのバートランドのECMのライブ録音は2009年11月で素晴らしかった。
この録音が翌年で、ほとんど最後、いまのところWINTER&WINTERからの「The Windmills Of Your Mind」が9月録音で最後かもしれません。
2曲目オリジナルはエンリコらしい優美なはじまりから、マーク・ジョンソンがベースの一節を弾くと、フッとビル・エバンスがヴィレッジ・ヴァンガードをよぎるののです。
3曲目はちょっと沈んだ感じで淡くバラッド。
4曲目、マイファニーのテーマを変奏させながら、マークのベース・ソロは好みが分かれるところでしょうか、その後のエンリコのピアノソロが良い、インプロの醍醐味です。
5曲目も落ち着いた感じで優雅なピアノ・フレーズ、クラシカルな感じでこのように弾くのは、エンリコが群をぬいているのでないでしょうか。
6曲目、インプロから入るいかにもジャジーなフレーズはリー・コニッツの曲。
7曲目、ロモンチックで内省的な曲はエンリコのオリジナル、オリジナルが一寸沈んだ内省的な曲で間にJAZZの香り強いものは挟んだ編集なのでしょうか。
ところが最後がニーノ・ロータの「甘い生活」イタリアンに甘くいくのかと思ったらそうは演らない、アグレッシブなインター・プレーをベースにクラシックに行って、ラグに飛んで、ファンタジックな映画の中に入ったような、アメリカの人はこんなのが好きなのかもしれません。
なんといってもポール・モチアンとヴィレッジ・ヴァンガード、いずれにしてもこの組み合わせは最後の演奏でしょう。
LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD / ENRICO PIERANUNZI
Enrico Pieranunzi(p)
Marc Johnson(b)
Paul Motian(ds)
2010年7月7日, 8日録音 NY ヴィッレッジ・ヴァンガード
1. I mean you (Thelonious Monk)
2. Tales from the unexpected (Enrico Pieranunzi)
3. Pensive fragments (Enrico Pieranunzi)
4. My funny Valentine (Richard Rodgers - Lorenz Hart)
5. Fellini's waltz (Enrico Pieranunzi)
6. Subconscious Lee (Lee Konitz)
7. Unless they love you (Enrico Pieranunzi)
8. La dolce vita (Nino Rota)