JAZZ最中

考えてみればJAZZばかり聞いてきた。いまもJAZZ最中。

前衛の継承 AVANTGARDE Buenos Aires

2013-04-17 22:38:20 | 聞いてますCDおすすめ


タンゴのアルバムは演奏者をまるでしらないから、ハズレでも喪失感のない中古で面白そうなものを買っている。
JAZZの方が3枚だけだったので、インスト中心みたいなジャケの新譜を買ってみました。これが大正解でした。
キケ・シネシというギタリストとバルテル・カストロというバンドネオンの人が中心の新しいプロジェクトだそうで、2012年のアルバムです。

1曲目ギターの爪弾きと高いバンドネオンの音が静かに忍びよって始まります。ベースのアルコの音もうつくしい。ドラムスも切れがあって演奏者各人がそれぞれ力を発揮するバンドだと感じます。
2曲目バンドネオンのソロから始まって続けてギターのソロそれぞれかなりインプロ色が強いソロ、ベースソロなどは音が良い、もうこれはJAZZと呼ぶべきだと思う。



フォントが読みずらいので気が付かなかったけれど2と3がつながった曲で“ Berliner tanguismo”という曲名のイントロと合奏で、4つの同じ構成を4人が順繰りにソロのイントロを付ける演奏でした。
ジャケには2,3と書かれていますが、盤の記録は同一になっているので、最初ここにとまどったわけで解って納得です。
ですから次が4曲目表示のギターのソロから、フリーインプロへ、アルコベースのフレーズはこれはジャズを演奏する人でも一目するであろうフリー・アプローチ、驚いたのでサービスで写真を増やしました。



このグループ、名前が「アバンギャルド・ブエノス・アイレス」(キャ、カッコイイ)だそうで、ギター・のキケ・シネシという人はエンヤでチャーリー・マリアーノなどとも一緒に録音した人だそうです。
バンドネオンの人もおなじみの、パブロ・シーグレルと一緒に演奏している人でした。

6曲目はちょっとフォーク的な明るいタンゴ
78が今度はパーカションのイントロから始まってギターとバンドネオンのインタープレー、この同一名の4曲を中心に5曲を散らした演奏でとても意図的に作られたアルバムなのです。
ですから9曲目はピアソラの曲でオーソドックスなスタイルの演奏です。
10、11はベースがイントロのソロ、アルコとピッチカートを組み合わせたソロはお見事としか言いようがない。もはやタンゴをきいているという気分ではありません。
12曲目はなんと曲名も“Impro for Vitto”で4名の共作になっていますから、完全即興だとおもわれます。

昔アバンギャルドと言って一世を風靡したあの文化名がブエノス・アイレスでバンド名になっていることをうれしく感じます。
前衛と書くと一寸誤解されそうなのですが、聞いていてとても楽しく、聞きやすい音楽になっています。
ブエノス・アイレスに舞い降りたアバンギャルドは昔日本にあったアバンギャルドとは違って、ノートにも書かれているように、それはあくまでブエノス・アイレスの血がなせるもの、タンゴ演奏の先鋭であるのです。
パブロ・シーグレルに持っていた不満が一気に解消しました。

それが最後の曲にも表現されて、自由な演奏形態でありながら、哀愁あるメロディ、深いアルコの低重音、前衛の方法も精神ブエノス・アイレスで息づくのです。


AVANTGARDE Buenos Aires

AVANTGARDE BUENOS AIRES

Quique Sinesi (guitar)
Horacio Hurtado (bass)
Walther Castro (bandoneon)
Facundo Barreyra (drums, percussion)

1. Entre suenos
2. Intro Berliner tanguismo III
3. Berliner tanguismo III
4. Intro Berliner tanguismo I
5. Berliner tanguismo I
6. Hojas de Abril
7. Intro Berliner tanguismo II
8. Berliner tanguismo II
9. Revirado
10. Intro Berliner tanguismo IV
11. Berliner tanguismo IV
12. Impro for Vitto
13. Ramon


コメント
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