東京・目黒で昨年7月、介護していた夫(当時79)を殴って死なせたとして、傷害致死の罪に問われた妻(71)の裁判員裁判の判決が25日、東京地裁であり、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役4年)を言い渡した。
公判で明らかになったのは、約50年前に大手銀行員の夫と結婚。夫の退職後も生活に不自由することはなかった。ところが昨年2月、胃がんなどの手術をした夫は介護が必要な状態になる。
介護の苦労もあったのか思い出したのは、1979年、夫は45歳、妻は36歳だった。夫はゴルフだと言って、よく泊まりがけで出かけた。ある日、夫の名刺入れから女性の写真を見つけた。夫の職場前で待つと、20歳ぐらいの女性と一緒に出てきた。夫は不倫を認め、謝罪した。
夫はこれで一件落着と思ったのか、夫婦で思い出話をするうちに夫はこの不倫について、女性と旅行に行ったなどと話した。
「妻としては、一番聞きたくないことでした」と述懐している。そしてカウンセリングを受けて「もっと夫に頼って、甘えれば良かった」「お互いに本心をぶつけ合う機会だったのに、逃してしまった」と綴ったという。
私はこの女性に同情するし執行猶予がついてよかったとも思う。夫はあまりにも配慮が足りない。不倫に時効はないと肝に銘ずるべきだ。それに名刺入れに女性の写真というのも不用心すぎる。
逆の立場で妻が浮気をしゃあしゃあと話せばどんな気持ちになるのか推測できるはずだ。そして裁判員裁判でなければ、この執行猶予がついたのかどうかとも思う。
というのも裁判員を務めた実家で母親が父親を介護する20代の女性は「母も不満がたまっているかもしれない。自分も改めて家族を見つめ直そうと思う」。
補充裁判員を務めた男性(34)は「身近に起こりうると感じた。家族でコミュニケーションをとり、不満をためないことが大切と感じた」と話した。
こういう裁判員の冷静な判断が有効だったのは疑いない。そう妻には不満がたまっていたんだ。夫婦喧嘩も子供の手前セーブしたらしいから本音をぶつけ合う機会がなかった。夫婦喧嘩を大いにやるべし。喧嘩は本音の発露だから。それに精神衛生上も非常によろしい。