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懐かしい映画と音楽と「告発のとき…Lost アニー・レノックス 」

2021-08-12 16:15:01 | 映画と音楽と
 AccuRadio→Love Songs→Romantic songs from unforgetable filmsから、「Lost」は、映画「告発のとき」のエンディング・ロールのBGMで歌われる曲。

 この「告発のとき」は、主人公をトミー・リー・ジョーンズが演じ、その妻としてスーザン・サランドン。刑事としてシャリーズ・セロンというキャスト。戦争はすべてを傷つけるという意味を内包して、戦争を告発した映画と言ってもいい。
 比較的高評価で2007年に公開され、主演のトミー・リー・ジョーンズが第80回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。

 2004年11月軍警察を退役したハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)のもとに、イラク戦争から帰国したハンクの息子マイクが、無断離隊したうえ行方不明であるという連絡を受ける。ハンクが軍警察の経験を生かして真相に迫る。

 その結果は驚愕すべきものだった。息子マイクは、バラバラにされ焼かれて殺されていた。地元警察の女性刑事エミリー・サンダース(シャリーズ・セロン)の協力があって、犯人を確定することができた。それはイラク戦争での仲間だった。

 彼らは悪魔が乗り移ったように、人間性の心を持ってはいなかった。戦場では、極度の緊張から、ドラッグは当たり前だし軍用車での移動も何があっても止まるなという命令が出されている。止まるということは罠にはまるということ。奴らは子供を軍用車の前に出して止めようとする。兵士を皆殺しにするために。したがって子供だからと言って止まりはしない。犬を殺したんだと兵士はうそぶく。人を殺すということに何の抵抗もない。日常茶飯事だからだ。

 いびつな精神状態で、アルコールも入り喧嘩になると見境がない。「マイクを埋めようと思ったけど、腹が減っていて早くレストランに行きたかったからバラバラにして捨てた」と平然と話す。これを聞いたハンクは、怒りどころか茫然自失で言葉も出ない。

 しかし振り返ってみると、イラクから電話で「もう耐えられない」というマイクの悲痛な叫びを、ハンクも自らの軍体験から単に「がんばれ!」と言っただけだった。悔やまれる。

 こうしてアメリカ国民は、困惑して疲弊していく。こういう状況になるのを、アメリカ自身がよくわかっているはずで、日本の尖閣諸島に犠牲を払ってまで守ってはくれない。アメリカは、日米安全保障条約第5条は日本の施政下にある領域に適用されるとの見解を示しているし大統領も同じ見解ではあるが、アメリカ国民の血を流すことはない。

 この映画でもう一つ問題にしているのは、女性に対するパワーハラスメントだ。男の刑事三人がサンダース刑事に対して「寝たから刑事になれたんだろう」と面と向かって言う。それに毅然と対応するサンダース。14年前はこれで済んだが、今なら告訴されるだろう。

 地味で暗い映画だった。それでも心に響くものがあった。この映画を監督したのは、カナダ・オンタリオ州出身の映画監督・脚本家・プロデューサーのポール・ハギスで、クリント・イーストウッドの2004年「ミリオンダラー・ベイビー」、2006年「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」に参加している。

 エンドロールに流れる「Lost」は、1954年12月イギリス、スコットランドのアバディーン生まれのミュージシャン、ユーリズミックスのボーカリストのアニー・レノックスが歌っている。彼女は音楽活動と並行して、フェミニズムやAIDS撲滅などの社会運動にも取り組んでいる。
This is the sound of the planes in the night これは夜の飛行機の音です
Coming out of the darkness and into the light 暗闇から光に向かって
Shining along in the curiously bright 不思議な明るさの中で輝いている
This is the sound of those murderous drums これはその殺人的なドラムの音
Watching the footsteps the twisting of thumbs 足元を見て、親指の動きを見て
Over and over again he recalls we're lost 何度も何度も、私たちは迷っていると思い出す

We're lost 迷っている
We're lost 迷っている
Tell me the story 'bout when u were young 若い頃の話を聞かせて
I want to hear it again もう一度聞きたい
Even the parts where the hero gets stung 主人公が刺されるところも

I want to savor it 味わいたい
I want to play it again もう一度プレイしたい
This is the sound of a baby's first breaths 赤ちゃんの最初の呼吸の音
The dying footsteps 消えゆく足音
The touching of flesh 肉体に触れるということ
To hold in your memory あなたの記憶に残るように
To keep by your chest 胸のそばに置いておきたい

We're lost
We're lost
We're lost

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懐かしい映画と音楽と「トップガン…Take My Breath Away ベルリン」

2021-08-09 15:28:36 | 映画と音楽と
 トム・クルーズがトップ・スターに躍り出た1986年の映画「トップガン」の挿入歌の一つ。
 邦題を「愛は吐息のように」とされた「Take My Breath Away」は、シングルチャート1位を記録、アカデミー賞歌曲賞を受賞している。

 映画「トップガン」は、1969年3月に創立されたアメリカ海軍戦闘機兵器学校で、トップパイロットを目指すパイロット、ピート・ミッチェル(トム・クルーズ)の栄光と挫折、それに恋を描いてヒットした。

 F-14トムキャットを操り大空を駆け巡る爽快感を満喫した記憶がある。とはいっても細部はほとんど忘れていたが、アマゾン・プライムで再視聴したら、35年も前の作品とはいいながら、まだまだ鮮度は落ちていなかった。

 恋人役にケリー・マクギリス。撮影当時、トム・クルーズ24歳、ケリー・マクギリス29歳。この「Take My Breath Away」を直訳すると、「私の息の根を止める」「息をのむ」でトム・クルーズとケリー・マクギリスが愛し合う場面で使われている。なんだか意味深な気がする。

 ちなみに「トップガン」の続編が「トップガン・マーベリック」として新型コロナの影響で延び延びになっていて、ようやく2021年11月に公開予定となっている。

 アメリカ、カリフォルニア州オレンジ郡出身のバンド「ベルリン」による「Take My Breath Away」を聴いてみましょう。なお、このバンドは現在も活躍中。

Watching every motion  すべての動きを見る
in my foolish lover's game 私の愚かな恋人ゲームで
On this endless ocean  この果てしない海の上で
finally lovers know no shame 恋人たちは恥を知らない
Turning and returning  振り返っては戻り
to some secret place inside 心の中の秘密の場所へ
Watching in slow motion スローモーションで見ていると
as you turn around and say あなたが振り返って言うように
Take my breath away 息を止めて
Take my breath away 息をのんで

Watching I keep waiting  見ている私は待ち続ける
still anticipating love 愛を期待しながら
Never hesitating  戸惑うことなく
to become the fated ones 運命の人になるために
Turning and returning  振り返っては戻り
to some secret place to hide どこか秘密の場所に隠れるために
Watching in slow motion  スローモーションで見ていると
as you turn to me and say あなたが私に向かって言うように
Take my breath away 息を止めて

Through the hourglass I saw you 砂時計の向こうにあなたが見えた
in time you slipped away 時間の中であなたは消えていった
When the mirror crashed I called you  鏡が壊れたとき、私はあなたを呼んだ
and turned to hear you say 振り返ってあなたの言葉を聞いた

If only for today I am unafraid 今日だけは怖いもの知らずでいたい
Take my breath away 息を止めて
Take my breath away 息をのんで

Watching every motion  すべての動きを見る
in this foolish lover's game この愚かな恋人ゲームで
Haunted by the notion  考えに取り憑かれて
somewhere there's a love in flames どこかで愛が燃えているような
Turning and returning 振り返っては戻り
to some secret place inside 心の中の秘密の場所へ
Watching in slow motion スローモーションで見ていると
as you turn to me and say あなたが私に向かって言うように
Take my breath away 息をのんで
My love, take my breath away 愛は吐息のように

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海外テレビドラマ「警部補ジョアン・ペーテルス シーズン1The Break」2016年Netflix

2020-03-24 15:59:38 | 映画と音楽と
 ベルギー、アルデンヌ地方の人口数千人と言われる町ハイデルフェルドを流れるスモア川から、19歳のアフリカ人ドリス(ジェレミー・ザグバ)の遺体が発見される。
 アフリカからやってきてハイデルフェルド・フットボール・クラブのサッカー選手としての夢を抱いていた。

 その捜査を担当するのはジョアン・ペーテルス警部補(ヨアン・ブラン)。このジョアン・ペーテルス警部補も心に闇を抱えている。どうやら都会の警察でペーテルスが判断を誤って妻の刑事も部下も失った事件が原因のようなのだ。

 それを逃れるように生まれ故郷のハイデルフェルドの警察に職を求めた。森林や牧場に囲まれたこの町に娘カミール(ソフィー・ブライア)と移り住んだが、金のないサッカー・チーム、怪しげなコーチ、頭がいかれているとしか思えない外交官の息子、村長の奔放な娘、ナチス崇拝のアパートの大家、そして中国人はサッカー・チームを狙う。

 ペーテルスは、幼馴染のイネス(アンヌ・コエサン)と親しくなる。容疑者は、浮かぶがすぐに消える。そして思いもしない恐ろしい結末が待つ。陰鬱な雰囲気のドラマだ。

 村長の息子と殺されたドリスが面白い会話をする。村長の息子「フランスの女がいい。ベルギーの女は太ももが太い」確かに息子の村長の母親も太ももはでかい。

 トヨタのRV車がめずらしいこの地方、家も平屋で広い部屋がありプールまである。ベルギーは、九州ほどの広さで、人口約1100万人、一人当たりGDP約48,000ドル。日本は45,000ドル、たった3.000ドルの差だがベルギーには豊かさを感じる。日本は貧困率が世界の上位らしいので、それが原因かもしれない。世界第3位の経済大国と言われる割には、住宅の質が見劣りする。
 出演の俳優たち、美男美女でなく、その辺にいる人たちという感じだった。

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海外テレビドラマ「リバー~刑事リバー 死者と共に生きる」2015年Netflix

2020-03-20 16:45:38 | 映画と音楽と
 リバー刑事を演じたのは、スウェーデン生まれの出演当時65歳ステラン・スカルスガルド。身長2メートルという長身、スーツとネクタイ姿は見栄えがする。

 ドラマは、パートナーの女性刑事スティーヴィー(ニコラ・ウォーカー)とドライブスルーでハンバーガーを買うところから始まる。車の中でお互い軽口を叩くが、スティーヴィーは殺されていて他人からはリバー刑事だけが見える。

 エンジン・スターターを捻るとラジオから、ティナ・チャールズが歌う「愛の輝きI Love to Love」が流れる。ティナ・チャールズは、1954年生まれで1976年に「I Love to Love」がNo1ヒットとなった。その曲に合わせてスティーヴィーも歌う。

 リバーは、スティーヴィー殺害の犯人を追う。ときどき現れるのが、スティーヴィーだし、リバーが追いかけてベランダから飛び降りて死んだ容疑者の亡霊などが出てくる。

 警察署内でも問題視され精神科医ロサ(ジョージナ・リッチ)の診断を受ける。6話から構成されアメリカ映画のような派手さはないが、イギリスの味とでも言える落ち着きのドラマだ。

 ラスト近くティナ・チャールズの「I Love to Love」に合わせてディスコ・ダンスを踊るステラン・スカルスガルドとニコラ・ウォーカーが楽しい。2メートルの身長ながら軽やかな動きを見せる。

 最後に抱き寄せ「I love you」と言う。彼女が生きているときに言いたかったが、手遅れかもしれないがきっと彼女は分かってくれる。これでこれからの人生、彼女とともに送れる。これはラブ・ストーリーでもある。
   

 
それでは、ティナ・チャールズの「I Love to Love」を聴いてみましょう。
 
監督
リチャード・ラクストン、ティム・ファイウェル、ジョシカ・ホッブス

キャストス
テラン・スカルスガルド1951年6月スウェーデン生まれ。

ニコラ・ウォーカー1970年5月イギリス生まれ。

ジョージナ・リッチ出自未詳


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海外テレビドラマ「コミンスキー・メソッド」2018年Netflix

2020-03-15 16:27:16 | 映画と音楽と
 ヒトは70歳を過ぎるころから頻繁に死を意識し始める。身辺がそのようになってくる。親戚や友人の死、最もつらいのが伴侶の死でそれが一層死が身近に思えてくる。

 このドラマで描かれる高齢者は一見恵まれているように見える。それは物質的に恵まれているのであって、精神的には金持ちもそうでない人も共通の悩みを抱えている。

 元俳優で今は演技指導のスクールを運営するサンディ・コミンスキー(マイケル・ダグラス)74歳。彼にはスクールの雑事を受け持つ独身の娘ミインディ(サラ・ベイカー)がいる。

 サンディの親友ノーマン・ニューランダー(アラン・アーキン)84歳は、エージェント会社を経営している。かつてノーマンには、サンディを俳優として成功させた実績がある。そういういきさつもあって、今では唯一の親友という関係なのだ。

 ノーマンの直近の悩みは妻の死だ。葬儀にはバーブラ・ストライザンド(本人ではない。それらしき装いの男らしい)が歌う1974年「追憶The Way We Were」が悲しみを増幅させる。
想い出は私の心の隅を照らす
遠い日の記憶は淡い水彩画
笑顔で写っていた忘れかけた写真
お互いに微笑みあった
遠い日の想い出

その頃はとても純粋でいられたの
それとも そう思い込んでいただけかしら
チャンスがあったら もう一度やり直せるかしら?
ね。~どう…できるかしら?
想い出は…美しくそれでいて
辛い想い出は ただ忘れたいだけ
そう笑いながら 思い出すでしょう
いつでも思い出せるわ
私たちの遠い日の想い出を
遠い日の想い出を

 これを聴きながらノーマンは涙ぐむ。慰めるサンディ。サンディも離婚して今は独身。二人とも悩みを持っている。サンディは、前立腺がんと肺がん。前立腺がんは、進行が遅いし薬物注射でPSA値が抑えられる。肺がんはちょっと厄介で行く末はシーズン3に委ねられる。

 ノーマンには、奔放な娘と険悪な状態が続くが、やっと和解の目途が見え始める。そんな悩みを抱えながら、サンディが持つ1970年代頃だろうと思えるベンツ(ドアを開けるとき鍵穴にキーを差し込んでいる)にノーマンを乗せたり、ノーマンはトヨタのレクサスのハンドルを握る。信号待ちしていたミニバンにあわや追突、自動ブレーキが利いて事なきを得た。(これトヨタも制作費を出してPRかな)

 「なんでこんなところに止まってるんだ!」とノーマン。「信号で止まっているんだよ」とサンディ。高齢者は往々にして自己中心になる。これが高齢者の欠点だろう。何かいい方法がないか。それがあるんだよね。

 どういうわけか、昔の恋人や付き合っていた女性が現れるんだ。サンディには、リサ(ナンシー・トラヴィス)57歳、ノーマンにはマデリン(ジェーン・セイモア)67歳。いずれも17歳違い。17歳から20歳という年齢差が高齢男性にはいいかもしれない。悩みは尽きないが、興味の湧く女性が身近にいることの幸せはまた格別。このドラマ、シーズン2までだが、シーズン3もあるようなのだ。

 年を重ねるごとに一つひとつ共鳴できる高齢者向きのドラマなのだ。高齢者向きと言っても爺むさくはない。ノーマンはいつもスーツにネクタイ、サンディはくだけた洗練されたスタイルで老いぼれてはいない。カッコいい高齢者と言える。

 それに付け加えれば、演技スクールの生徒の魅力的な若い女性。サンディは、そんな若い人に囲まれている幸せ者だ。




 それではノーマンが泣きたくなるほどいい曲「追憶」をバーブラ・ストライザンドでどうぞ!

企画
チャック・ロリー1952年10月ニューヨーク、ロングアイランド生まれ。

キャスト
マイケル・ダグラス1944年9月ニュージャージー州生まれ。1987年「ウォール街」でアカデミー賞主演男優賞受賞。

アラン・アーキン1934年3月ニューヨーク生まれ。2006年「リトル・ミス・サンシャイン」でアカデミー賞助演男優賞受賞。

サラ・ベイカー出自未詳 

ナンシー・トラヴィス1961年9月ニューヨーク生まれ。

ジェーン・セイモア1951年2月イギリス、生まれ



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海外テレビドラマ「ゴッドレス神の消えた町」2017年Netflix7話完結のリミテッドシリーズ

2020-03-08 16:27:37 | 映画と音楽と
 壮絶な女の戦いの西部劇。ニューメキシコ州ラ・ベル。鉱山の町ラ・ベルは、崩落事故により男たちのほとんどが犠牲になった。残された女たちは途方に暮れる。そんな女たちを助けるという口実の偽善者が表れる。その偽善者が派遣する用心棒たちが町を牛耳り女を手籠めにする。

 町はずれの荒野で野生馬の牧場を営むアリス・フレッチャー(ミシェル・ドッカリー)のところへ、無法者のロイ・グッド(ジャック・オコンネル)が転がり込む。ロイ・グッドは無法者の育ての親フランク・グリフィン(ジェフ・ダニエルズ)から、大金を盗んで逃げ出したのだ。怒り狂うフランク。

 フランク・グリフィンは、30人の部下を従えて皆殺しをいとわない悪党。その悪党を追う連邦保安官ジョン・クック(サム・ウォーターストン)。

 町を守る保安官ビル・マクニュー(スクート・マクネイリー)と助手ホワイティー・ウィン(トーマス・サングスター)。ビル・マクニューの妹メアリー・アグネス・マクニュー(メリット・ウェヴァー)が陰で兄を助ける形になっている。メアリーは、男装でガンファイトも助手のホワイティーの腕を上回る。

 ロイ・グッドを追ってフランク・グリフィンがラ・ベルの町に近付く。騙され虐げられた女たちが立ち上がる。女の持つライフルの銃口は、建物の二階から無法者を待ち構える。

 完全な勧善懲悪劇であるが、ニューメキシコ州サンタフェで撮影され、雄大な大自然と疾走する馬の美しさに魅了された。30頭の馬が川を渡渉する水しぶきは圧倒的だったし、平原を横切るショットも砂塵を巻き上げながらの怒涛の疾走もいい。

 人間の方はというと、個性的な俳優揃いで大自然や馬に引けを取らない。1960年フロリダ生まれの脚本家・映画監督・プロデューサーのスコット・フランクによる。ロサンゼルス・タイム紙は、ハリウッドで最高の脚本家の一人と絶賛している。




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映画「トゥルー・ストーリー」2015年

2020-02-28 16:12:52 | 映画と音楽と
 記事を捏造したとしてニューヨーク・タイムズを解雇された敏腕記者マイケル・フィンケル(ジョナ・ヒル)の実話物語。

 新聞記者の命ともいえる真実の記事を捏造したとあれば、新聞界や出版界からすべて敬遠される。希望の持てない日々を雪深い故郷で送っているとき、地方紙の記者から電話で問い合わせが来る。

 「クリスチャン・ロンゴの件で、あなたに話を聞きたい」突然の話で戸惑いながら、ネットで調べてみると家族4人を殺した殺人犯だと分かる。しかも、逮捕時には自分の名前ニューヨーク・タイムズのマイケル・フィンケルと名乗っていたという。

 興味を持ったマイケルは、クリスチャン・ロンゴに手紙を書き、郡刑務所で面会する。クリスは模範囚として扱われ態度も穏やかで説得力のある話し方をする。
 クリスは「テレビ局や新聞社からオファーがあるが、すべて君に託すよ。君の文章のファンだから。文章の書きかたも教えてくれ」

 クリスはザラ紙に自身の物語を書き上げていく。面会室で文章についてのアドヴァイス。「23頁、”妻は僕がわざとクビになったと言うがやりたくなくはなかった”とあるが、これは二重否定だ。これでは弱い。”やりたかった仕事だ”と書いたほうがいい」

 この二重否定というのは「~ないない」の連続のことで、特にビジネス文章では避けたほうがいい。一例として「締め切りに間に合わないこともない」を「締め切りに間に合う」とすべきとある。

 「二重否定」というこの言葉が、のちの裁判所でクリスの口から発せられマイケルにショックを与える。無罪を信じていたマイケルにとって、クリスが司法取引で有罪を認めたことが、クリスの説明が曖昧なものだったと証明したからだ。

 クリスの文章をもとにマイケルは原稿を練り上げる。曲がりなりにもクリスチャン・ロンゴについての出版は完結した。書店でのセールス・トークの後、読者との交流で「あなたは出版という果実を得たが、失ったものは何ですか?」という趣旨の質問があった。マイケルは凍りつき呆然とたたずむ。

 マイケルの失ったものは、矜持とか尊厳ではないだろうか。記事の捏造はまさにプライドを傷つけることだし、家族四人を殺した殺人犯の伝記を書くという三流の物書きになり下がったわけだ。

 頭の切れる殺人犯だが、演じるジェームズ・フランコがよくやっているが、切れ味鋭いナイフのようなシャープさがなかった。こういうワルについては、イギリスのドラマ「ライン・オブ・デューティ」で見せた悪徳警部役のキーリー・ホーズを今は思い出す。観ていて腹が立つくらい憎々しい演技だった。




監督
ルパート・グールド1972年イギリス、ロンドン生まれ

キャスト
ジョナ・ヒル1983年12月カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。2011年と2013年にアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。

ジェームズ・フランコ1978年4月カリフォルニア州生まれ。2010年「127時間」でアカデミー賞主演男優賞にノミネート。

フェリシティ・ジョーンズ1983年10月イギリス、イングランド、バーミンガム生まれ。2014年「博士と彼女のセオリー」でアカデミー賞主演女優賞にノミネート。
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映画と音楽と「SPレコードの新譜紹介番組S盤アワー」2

2020-01-25 16:48:47 | 映画と音楽と
 前回に続きDISC2にも16曲中4曲がエルビス・プレスリー。エディット・ピアフ「愛の讃歌」、グレン・ミラー・オーケストラ「ムーンライト・セレナーデ」、ナット・キング・コール「トゥ・ヤング」でこれらはわたしの好きな曲。

 「太陽はひとりぼっち」という曲がある。1962年アラン・ドロンとモニカ・ヴィッティ共演の映画「太陽はひとりぼっち」の主題歌である。曲そのものはそれほどいいとは思わない。

 アラン・ドロンは25歳のとき、1960年「太陽がいっぱい」で注目の存在になった。ハンサムなヤツはいっぱいいるが、アラン・ドロンの美貌はどこか影があって不思議な魅力がある。こういう男は女性にもてるのだろう、4人の有名女優やモデルと浮名を流した。今年85歳。すでに若き日の面影が失せている。みんなそうなる。 とすればハンサムな男もそうでない男も、終局はもとの姿が崩れみんな一緒になるということで、そうでない男の私は一安心。

 1950年にリリースされた「愛の讃歌」は、2007年映画「エディット・ピアフ~愛の讃歌」としてマリオン・コティヤールがアカデミー賞主演女優を受賞した。

 それでは、「太陽がいっぱい」をニーノ・ロータで、「愛の讃歌」を越路吹雪で、「トゥ・ヤング」は、ナット・キング・コールでどうぞ!




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映画と音楽と「懐かしのS盤アワー」から 1

2020-01-20 18:14:15 | 映画と音楽と

 1952年から1969年を洋画と洋楽が大好きで過ごした人たちにとって、深夜に放送される新譜紹介番組「S盤アワー」を懐かしく思い起こすのではないでしょうか。ペレス・プラード楽団の「エル・マンボ」のBGMに重ねて、当時の日本ビクターの社員だった帆足まり子のぬくもりのある声にほっとしたものだ。

 そのS盤アワーCD10枚組160曲の新聞広告。DISC 1の16曲にはエルビス・プレスリーの6曲で最多、アラン・ラッドとジャック・パランスの決闘をクライマックスに正義が勝ちを収める映画「シェーン」の主題曲「遥かなる山の呼び声」をヴィクター・ヤング・オーケストラで、グレン・ミラーは「真珠の首飾り」、そして多くの家庭に受け入れられたエディ・フィッシャーが歌う「オー・マイ・パパ」などが並ぶ。

 ところでS盤とは何か。今では全く見ることが出来ないシロモノ。78回転のレコードで、とにかくもろい。落としたり踏んだりすれば粉々になる。細かい溝が刻まれているその破片で、鉛筆の芯を尖らせた記憶がある。それをSPレコード(Standard Playing)と言い、1950年後半まで生産された。今のLPレコードぐらいの大きさで片面1曲しか入らない。再生するには蓄音機という機械が必要。レコードの溝に落とす針は、竹製を使っていたが金属製もあった。なんともカビの生えたお話。

 ウィキペディアにはこんな記述がある。「日本武道館の近くに昭和館があるが、日本で発売されたSPレコードを体系的に蒐集・整理・保管し、いつでも検索・視聴可能にしようとするプロジェクトが政府主導で進められつつある」という。

 映画「シェーン」の悪役ジャック・パランスが印象的だった。アルコールを飲まないでブリキのコップに入れたコーヒーをチビリチビリと飲む。


 映画「グレン・ミラー物語」に劇的に登場する「真珠の首飾り」。グレン・ミラー独特のスタイル、「キラー・ディラー・スタイル」を生み出した。ビッグ・バンドの編成で通常のサックス・セクションの5人(アルト2本、テナー2本、バリトン1本)のうちリード(一番高音のパート)もしくはセカンド(2番目のパート)もアルト・サックスの代わりにクラリネットで1オクターブ高い音で演奏すると甘美な独特のサウンドが醸し出される。(ネットから引用)

 このスタイルは偶然の産物で、映画でも触れられるがトランペット奏者が唇を切ったために、代わりにクラリネットを使ったところ出来たのがこのキラー・ディラー・スタイルなのだ。このグレン・ミラー・オーケストラは現在でも存在し、去年も日本ツアーで来日している。


 次にエディ・フィッシャー。1950年代を代表する歌手で、数百万枚の売り上げを記録する。女性関係が派手でデビー・レイノルズ、エリザベス・テイラー、コニー・スティーヴンスらと結婚・離婚を繰り返し4人の子供に恵まれた。その中のデビー・レイノルズとの間に生まれたキャリー・フィッシャーは、女優で脚本家。しかし、ドラッグに手を出していてそのせいで60歳のとき心臓発作で亡くなっている。その一家の運命を見ていると、残る人の人生も分からないとつくづく思う。父親エディ・フィッシャーの温かい歌声の「オー・マイ・パパ」が寂しく感じる。

それでは、「S盤アワー」の出だしを聴いてください。

グレン・ミラーの「真珠の首飾り」

エディ・フィッシャーの「オー・マイ・パパ」をどうぞ!

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