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映画「人生はシネマティック!」人生の1時間半を捧げたくなる映画を作りたい

2018-05-26 10:39:51 | 映画

             
 「人生の1時間半を捧げたくなる映画を作りたい」と言うのは、情報省映画局の特別顧問トム・バックリー(サム・クラフリン)。時はまさに第二次世界大戦下、プロパガンダ映画ばかり作らされているからだ。

 1940年、ドイツの激しい空爆が続くロンドン。男は徴兵されて残されているのは、女、子供と老人ばかり。また一本、プロパガンダ映画の制作を命じられた。

 同じ1940年5月24日から6月4日に起こったイギリス軍大撤退作戦で、双子の姉妹が激しい戦闘の中、兵士救出に全力で行ったと言うダンケルクの戦いがメイン・テーマとなった。

 徴兵されたコピーライターの秘書だったカトリン・コール(ジェマ・アタートン)が代わりに作った広告コピーがバックリーの目にとまり、脚本を書かないかと声をかけられた。
 カトリンには画家を志す正式な夫ではないがエリス(ジャック・ヒューストン)がいて、給料は安いがその仕事を始める。

 始めてみるとなかなか大変で軍部からの注文も多く、脚本の書き直しもざらにある。それにテレビ・ドラマで有名だが落ちぶれ始めた俳優アンプローズ・ヒリアード(ビル・ナイ)の高慢な態度にも対応しなければならない。カトリンは持ち前の機転でクリアしていき、脚本にもそれが反映されるようになる。このころにはバックリーに「脚本を書く能力はカトリンが一番だ」と言うこともある。
同じ部屋で同じ仕事に向かい映画について語る二人がどうなっていくかは火を見るよりも明らか。

 一方エリスも成功の端緒を掴みかけ個展で地方に出かけている。一緒に行こうと言われたが、多忙を極める脚本の仕事で「個展の最終日に行く」ことで妥協。しかし、その最終日にも多忙で行けなかった。撮影現場からカトリンがアパートに帰った日、エリスは女を連れ込んでいた。踵を返してカトリンは、エリスから去って行った。

 関係者が楽しく集いヒリアードが歌っているところへ戻って来たカトリンを不審に思ったバックリーは、問いただそうとし「結婚しよう」とまで言う。これはバックリーの勇み足。
「私は既婚者よ」カトリン
「いいや、違う」バックリー
「ミス・ムーアとの秘密だったのに」カトリン
「自分で指輪を買ったんだろう。生活苦で君を帰そうとした男に気を遣うな。クソマヌケな男だ。君ほどじゃないが。名前まで変えられて自尊心はないのか?」バックリー
「言い過ぎよ。恋人もいないくせに」カトリン
「男を選べ」バックリー
「あなたとか? そう?」カトリン
「君の魅力はその切れ味だ」バックリー
「あなたも酔って威張り散らす男だわ」カトリンは言って立ち去る。

 バックリーはこんな展開は予想もしなかっただろうし、カトリンも売り言葉に買い言葉で本心ではなかった。そして和解の日が来て熱いキス。ところが運命は皮肉だった。撮影現場の鉄の足場が倒れて下敷きになったバックリーは帰らぬ人となった。

 バクリーの映画についての哲学「なぜ人は映画が好きなのか? 構成されているからだ。ストーリーには形、目的、意味がある。不幸な展開も作為的で意味がある。人生とは違う。たまには価値ある映画を作りたい。人生の1時間半を捧げたくなる映画を」

 目の前でバックリーを失ったカトリンの傷心の日々も、完成した映画を観て、彼の心が宿っているのを確信するカトリンだった。2016年制作 劇場公開2017年11月

監督
ロネ・シェルフィグ1959年5月デンマーク、コペンハーゲン生まれ。

キャスト
ジェマ・アタートン1986年1月イギリス、イングランド生まれ。
サム・クラフリン1986年6月イギリス、イングランド生まれ。
ビル・ナイ1949年12月イギリス、イングランド生まれ。2003年「ラヴ・アクチュアリー」でアカデミー賞助演男優賞受賞。
ジャック・ヒューストン1982年12月イギリス、ロンドン生まれ。
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