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ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、3歳でハープシコードを弾き始め5歳のときには作曲したといわれる天才。
その彼が1786年、オペラ「フィガロの結婚」をオーストリアのウィーンにあるブルグ劇場で初演、翌年プラハで大ヒットした。1787年、モーツァルト(アナイリン・バーナード)はプラハの上流階級から招かれて、ヨゼッファ夫人の邸宅に逗留しながらフィガロの結婚のリハーサルと新作の作曲に情熱を傾ける。
情熱は作曲ばかりではなかった。フィガロの結婚のケルビーノ役の若手オペラ歌手スザンナ(モーフィッド・クラーク)に妻のある身でありながら心惹かれる。
もう一人スザンナを狙う男がいた。地元の劇場運営に資金援助もしているサロカ男爵(ジェームズ・ビュアフォイ)だった。いわゆるマスカレード、仮面舞踏会でスザンナと親しく話していて、それを見ていたのがサロカ男爵。モーツァルトが友人に男爵への紹介を依頼したが、男爵はモーツァルトを無視した。男爵は「貧乏人の能なし」とモーツァルトを馬鹿にする。
上流階級に属するスザンナの父は、男爵からの“スザンナを妻に迎えたい”との申し入れを受けてスザンナに対し強い口調で説得する。スザンナの拒否反応は、モーツァルトの妻帯を承知しながらすべてを捧げる。
モーツァルト指揮「フィガロの結婚」の舞台を務めた後のスザンナの楽屋に男爵が現れる。有無を言わせぬ口調で馬車に乗せ、自分の屋敷に連れ込んだ。ワインを勧めたがスザンナが飲まないので激昂、頸に指をかけて犯そうとする。セックスの絶頂近く指に力が入ったのか、気がつけばスザンナが死んでいた。駆け付けた父親に「事故だった」との言い訳。
スザンナの葬儀の日、ドン・ジョヴァンニの銅像の前でモーツァルトは楽想を得た。スペインの伝説上の放蕩児ドン・ファンは、プレイボーイの代名詞であり、イタリア語でドン・ジョヴァンニと呼ぶ。夜を徹しで出来たのがオペラ「ドン・ジョヴァンニ」だった。
モーツァルトの体験をもとにした喜劇性と悲劇性を併せ持つ作品となったとするのがこの映画。創作だから真実ではない。
天才と言われたモーツァルトだが、猥談や下品な冗談を多発していたというから並みの男の部分もあった。となれば着想を詮索したくなる。美しい景色を見たり、悲しい出来事にあったりしてヒントが生まれるかもしれない。つまり高尚な次元ばかりでなく低俗なヒントのきっかけもあったかもしれない。この映画を観ていてそんなことを考えていた。あくまでも着想や楽想については、本人以外本当のところは知りえる筈もない。2017年制作 劇場公開2017年12月
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監督
ジョン・スティーヴンソン出自未詳
キャスト
アナイリン・バーナード1987年5月イギリス、ウェールズ生まれ。
ジェームズ・ビュアフォイ1964年6月イギリス生まれ。
モーフィット・クラーク スェーデン生まれ。