わざわざ時代設定を1950年代に置いて、当時の曲を16曲も挿入し人妻の不倫を描くとは、どんな考えだったのだろう。唯一、公衆電話の時代でないとストーリーに合わないかもという私の推測。
騒々しいコニーアイランドの中のカフェを改造した住宅に住み、ウェイトレスのジニー(ケイト・ウィンスレット)とメリーゴーラウンドを管理する夫のハンプティ(ジム・ベルーシ)の夫婦は決してしっくりとはいっていない。息子はなにかにつけ学校をさぼり、ひと気のない場所で火をつけているという按配。
そんなとき、夫の娘キャロライナ(ジュノー・テンプル)がギャングの夫から逃げ帰ってくる。釣りから帰ったハンプティは、怒り心頭に発したが追いだしたりはしない。実の娘にそんなことは出来ない。
季節は夏真っ盛り、コニーアイランドの浜辺では海水浴客で一杯。その監視員がミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)。ある日の夕暮れ、曇りで今にも雨が降り出しそうな中、波打ち際を一人歩くジニーを見かけてミッキーが声かけたのがきっかけで不倫関係に落ち込む。ミッキーが大学で劇作を勉強しているのを知って、女優だったジニーの夢が膨らんだ。
キャロライナも徐々にミッキーに近づいていく。気が気でないジニー。ギャングはキャロライナの居所を見つけた気配。ミッキーとデートしているキャロライナに危険が迫る。危険を知らせるために急いで公衆電話を見つけてレストランの支配人を呼び出す。支配人の声が流れた途端、ジニーは受話器を置く。
ジニーに閃いたのは、「ギャングがキャロライナを連れ去ってくれれば私の恋と夢が実現する」と思った筈。恋は非情も連れてくる。
粗野な夫、火をつけて回る息子、腹ちがいの娘、客の顔色を見るウェイトレス、日常は何の変化もなく日が昇り落ちていく。もうすぐ50に手が届くジニーに青春の息吹きが蘇る。そんなのは一瞬の出来ごとだった。ミッキーが尋ねてきて真相の推理を話す。すべてが当たっていたがジニーは否定。結果は喧嘩別れ。ミッキーを失ったジニーには今を生きるしかない。
この映画、批評家の評判が良くない。製作費2500万ドル(約27億5千万円)、興行収入1500万ドル(約16億5千万円)で赤字を計上。
唯一救われるのは、ジニー役のケイト・ウィンスレットの演技が光り2017年のハリウッド映画賞主演女優賞を受賞している。ハリウッド映画賞は、1997年から毎年10月頃に開催される。
余談になるけど、蓼食う虫も好き好きと言われるようにウディ・アレンの現在の嫁さんが韓国系のスン・イーなのだ。何も韓国系だからというわけではないが、写真を見てそう思うだけ。ダイアン:キートンやミア・ファローとも関係を持った過去がある。スン・イーは、ミア・ファーローの養女だったという。ハリウッドには美女が一杯いるのにね。変わった男だね、ウディ・アレンは。私なんかスン・イーは生理的にムリだ。
なお、16曲のオールディズが挿入されているが、繰り返し流れていたのが「Harbar Lights」。ウディ・アレンの思い出の曲なのかな。私にとっても思い出の曲なのです。その曲をSwing and Sway with Summy Kayeで聴いてみてください。ほかにもThe Pratters、Boz Scaggs、Pat Boone、Elvis Presly、Marty Robbinsなどの歌唱がある。
監督
ウディ・アレン1935年12月ニューヨーク、ブルックリン生まれ。1977年「アニー・ホール」でアカデミー賞監督賞と脚本賞を受賞。1985年「ハンナとその姉妹」、2005年「ミッドナイト・イン・パリ」でアカデミー賞脚本賞受賞。
キャスト
ケイト・ウィスレット1975年10月イギリス、イングランド、バークシャーレディング生まれ。2008年「愛を読む人」でアカデミー賞主演女優賞受賞。ノミネートは多数。
ジム・ベルーシ1954年6月イリノイ州シカゴ生まれ。
ジュノー・テンプル1989年7月イギリス・ロンドン生まれ。
ジャスティン・ティンバーっレイク1981年1月テネシー州メンフィス生まれ。