ドナルド・ジョン・トランプ第45代アメリカ合衆国大統領はどんな男か? このドキュメンタリーを観ると、今のトランプとさして変わりはない。
負けず嫌いで自己顕示欲が非常に強く、相手の立場をあまり考慮することなく発言する。「あいつはクソだ」とか「奴は能力がない」を平気で言う。インタビューアーから「そんな悪口は相手に失礼でしょ」トランプは平然と答える「思ったことを言ったまでだ」
20代から映像が残っているようで、若きトランプは長身で細身、スーツの配色や着こなしも文句なし。この頃から赤いネクタイをしていた。そして能弁に加えハンサム。口元がエルビス・プレスリーに似ているように思えてならない。周囲に集まる女性は、美人ばかり。そりゃ金もあるからね。
ホテルを買収したり建設したり、カジノに手を出したり、自家用大型ジェット機や大型ボート(映像で見ると、ボートというより300トンくらいの船に見える)を持つ富豪の息子。自宅をニューヨークの一等地5番街にトランプ・タワーとして建設。
しかし、順調に資産が増えた訳でもない。ホテルやカジノを手放したりしたが、運も味方した。「ビジネスに必要なものは何ですか?」と聞かれ「運だ」と言う。それはこのことを指しているのかもしれない。それに成功するために勇気と強さの胆力もあったのだろう。
存続の危機的な状況のとき、ニューヨーク証券取引所に上場したことだ。誰かの助言を得てのことだろうが、決断は彼トランプにほかならない。これで起死回生したらしい。生活の糧のために一度も他人に頭を下げたことがない今のトランプには敵も多い。当然の成り行き。
このドキュメンタリーは、褒めたり腐したり、まあ生身の人間を描いてはいる。ドナルド・トランプの資産約3千億円、フォーブスの世界長者番付ではベスト10には顔を出せない。最近アメリカ民主党から2020年大統領選に候補として名乗りを上げたマイケル・ブルームバーグの資産は約5兆円、長者番付では10位から11位につけている。ニューヨーク市長の実績もあるから、果たして民主党大統領候補になれるか見ものだ。
トランプは若い頃から一貫して毒舌の冴えは衰えていない。民主党はトランプ憎しで弾劾裁判と声高に騒いでいる。日本の野党そっくりだ。しかし、日本の野党と違うところは、中国の新疆ウイグル自治区の人権問題には、民主党多数の下院で「ウイグル人権法案」が12月3日賛成407、反対1で可決した。国家の人権尊重や防衛問題について基本的姿勢は与野党ともに共有している姿勢がみられる。
香港やウイグルの問題に日本の与野党が何かのメッセージを発したか。沈黙を決め込んでいる。中国は臓器ビジネスでも世界をリードしているが、その内実に疑惑を持たれている。こういう人権無視の習近平国家主席を国賓として招くのは世界への反逆と言える。ちなみに私は保守派。
日本の野党の存在感のなさにはあきれるが、与党も褒めたものではない。国民は消去法で辛うじて今の与党を支持せざるを得ないのが現状ではないか。二大政党の実現を切に期待する。