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ドキュメンタリー「フリント・タウン」NETFLIX 2018年

2020-01-03 15:34:23 | 映画

 ミシガン州デトロイト近郊の州内で規模が四番目の町、「フリント市」の暴力犯罪率が2011年のFBIの統計によれば、人口1000人当たり23.4%という全米で危険な都市の一つに数えられる。

 デトロイトは自動車産業で発展してきた都市で、フリント市もゼネラルモーターズの城下町だった。ゼネラルモーターズはキャデラックという有名ブランドを持っていたが、時代の流れと輸入車攻勢で2009年に倒産した。

 フリント市の当時の人口が約13万人、そのうちゼネラルモータズの従業員が3万人といわれ、家族も含めると殆どがゼネラルモーターズに頼っていたことになる。

 倒産はすべてを変えた。市の財政破綻、治安悪化、人口減少、社会基盤の崩壊に見舞われた。社会基盤崩壊の最たるもには、水道水汚染問題だ。古い水道管から鉛が溶け出して飲料には出来ず、市は水のペットボトルを無料配布でしのいでいる。

 失業率(18.9%)の増加は、白人約42%、黒人約53%という人口割合を反映してより多くの影響を黒人層に与えた。治安の悪化にもかかわらず、パトロール警察官の人員削減を余儀なくされた。約500人から約100人に減少した。

 このドキュメンタリー映画は、そのパトロール警官たちの実態を追っている。人々、特に黒人層からは問題が発生しても警察は2時間経っても来てくれないと不満を言う。かつては裕福な町であったクリント市も廃屋が目立ち、ハローウィンの前にはこれらの廃屋の火事が頻発する。

 就職難は、人々の心がすさむことになり、麻薬や犯罪に手を染める。そんな環境は、いたずら心も放火という犯罪を犯すことになる。それを取り締まる警官が少ない。

 人口構成を反映して黒人警察官が多が、その黒人警察官の悩みは、警察官になったとたん友人や親せきが離れて行くことだ。口もきいてくれないというではないか。

 それでも街を良くしようと日夜戦場のような地域をパトロールする。車の中で、のんびりとサンドイッチも食べられない。背後にも注意しないと撃ち殺されることもある。

 そんな中で特殊部隊の成果もあって、全米のワーストタウン・ベスト10からなんとか抜け出した。警察官の充実やパトカーの更新、機材の充実など予算がいくらあっても足りない。そこで「公共安全税」の導入を市民に提示した。

 2016年の大統領選投票日に、この税の賛否を問うた。この税を否決されたら、現役警察官の人員整理は必定といわれる。固唾をのんでテレビ画面を凝視する警察官。ヒラリー優勢を覆しトランプ政権の誕生、「公共安全税」の成立という結果になった。それにしても警察官が解雇されることもあるのがアメリカという国なのだ。

 トランプ誕生は分断を助長したといわれる。確かにこの時点では、白人警察官が共和党を支持し、黒人警察官は民主党を支持したのは確かのようだ。それは警察官のインタビューで明らか。

 常在戦場を呈している街区に乗り出す警察官。日本と比べものにならない環境で職務を遂行する警察官にエールを送りたくなる。

 

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