有能な刑事弁護士ミッキー・ハラーが殺人容疑で逮捕される。検察側とどのような駆け引きを展開するのか、興味津々で読み進む。
ミッキー・ハラーは明確に「第三者有責性を狙う」と言った。この第三者有責性というのは、ほかの誰かがやった犯行であり、私は意図的にはめられたか、あるいは警察が無能極まりなく、ろくな論証ができず、その過程で私に濡れ衣着せたという法律的表現という。したがってほとんど法廷場面で推移する。
アメリカの裁判で重要視されるのが陪審員選びだ。専門のコンサルタントもいるという。テレビドラマでは「NCIS~ネイビー犯罪捜査班」のトニー役で人気だったマイケル・ウェザリー主演の「BULL/ブル 法廷を操る男」が面白い。
男女、人種、職業、思想などチェック項目が多い。この本のこの部分を引用してみると「陪審員選定はある種の芸術形態である。社会データと文化データの研究と知識が必要であり、最後は直感がものをいう。最終的に望んでいるのは、真実を求めるためにその場にいる注意深い人々の一団だ。見極め、排除したいのは、真実を偏見のプリズムを通してみる人々だ――――人種的、政治的、文化的などなどの偏見プリズムで。そして何かの目的を果たすための隠れた動機を持つ人々だ」
そんな中でミッキー・ハラーの家族思いが顕著になる。最初の妻で検察官のマギー・マクファーソンも休暇を取ってミッキーの共同弁護人を務める。その行為がミッキーの心の琴線に触れ、ミッキーは再びマギーを愛おしく思い始める。二人の間に生まれたヘイリーもロースクールの学生で両親の後を追っている。ミッキーにとって眼に入れても痛くない愛娘なのだ。ミッキーにとっっては、絶対無実を得なければならない。スリルを伴う法廷劇に時間を忘れる。
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