前回から大変離れてしまいましたが、マンガ雑誌 COM からの記事です。今回は初めてCOMの中の 萩尾氏 を出してきました。といっても萩尾氏は COM にはこれともう一つ短編を発表されているだけですが。
萩尾氏出すと、とたんにアクセス数やコメント数が増えるもんで…。時々出さないとマンガブログ読みさんたちに見放されちゃう ?
萩尾氏の作品は、COM1971年1月号に初出掲載された「ポーチで少女が子犬と」に続いて、10月号には初出でこの作品が掲載されています。COMでの初出作品はこの二つだけだと思います。
その後COMと虫プロ商事㈱が文字通り虫の息にならず、もっとちゃんと続いていれば萩尾氏はCOM誌上に実験的な作品をたくさん発表していただろうに…と思うのは私だけではないはず。
この作品は24ページながら3つのオムニバスになっている佳作です。
Ⅰ. 可愛い巻き毛のトゥラ。日本でいえば小学生の3~4年生くらいかな。隣家のロビーは幼馴染で単なるお隣さん。たげど彼は最近つんけんして変だわ。
学校では女の子の間でキスが話題になっている。ロビーと宿題をしているとき、彼ならお試しにいいか、と軽い気持ちで
「キスしていいわよ、」
というが…。
初めて男と女の違いをはっきり意識する時、と言うのがテーマかな。
Ⅱ. 恋愛小説に夢中な夢見がちの高校生真知子。突然父親の知人の息子 行 (こう) が家に下宿することに。年頃の女の子がいる家になんて乱暴な男の子が来たのかしら…。しかも学校も同じところに転校してきた。クラスメイトはサッカー上手な 行 のことをカッコイイと騒ぐが真知子は下着姿を見られておかんむり !
しかし、行の複雑な家庭事情を知り、また突然に家から出ることになると真知子の胸にはさびしい風が吹く。しかし学校は変わらないと思いいたってほっとするのだった。
読む本も趣味も違うけれど、やっぱり男と女は惹かれあうようにできている。
Ⅲ.18歳のフラィシー。専門学校に通い、デザイナーになれたらと思っている。4週間付き合っているジェフに突然のプロポーズを受け、びっくり。
「そんな大事なこと、一人じゃ決められないわ」
母親もまだ早いと反対。妹は賛成。ジェフはいい人よ、そうよいい人だわ。だけど…。彼女の決めた結論は ?
まだまだ子供でいたい年頃。今まで人生全部が自分の時間だったものが他の者の占める割合が増える事に戸惑いを感じてる。
年齢の違う3人の少女たちの意識の転換期を鮮やかに切り取って見せるこの作品、40年近く前の作品とは思えません。これがちょうどデビューして3年目、20作目なんですよ。
この3作前には、高橋留美子氏が大絶賛したという名作、「小夜の縫うゆかた」 初出誌「週刊少女コミック」1971年夏の増刊 が発表されています。繰り返しコミックスにも収録されているのでこれは読んだ方も多いのでは。私も大好きな作品です。
勘違いしていて、COMで読んだとばかり思ってましたが、違ったんですよ。「トーマの心臓」フラワーコミックス版の3巻に収録されていたのでこちらで読んだようです。
この1971年頃はまだ短編ばかりですが、「11月のギムナジウム」 が「別冊少女コミック」1971年11月号に掲載されるなど、萩尾氏の世界が確立して行き、しかもそれを商業誌で発表出来るようになった大事な年ともいえます。そしていよいよ翌年1972年には 「すきとおった銀の髪」 で「ポーの一族」 が始まっていくのです。
萩尾 望都作品の過去記事 ↓
11月のギムナジウム
ゴールデンライラックで朝ドラを
イラスト詩集 少年よ
山へ行くシリーズ ここではないどこか
トーマの心臓
トーマの心臓 その②
訪問者
あぶない丘の家
恐るべき子どもたち
イグアナの娘
イラストアルバム 萩尾 望都の世界
銀の三角 何で知名度低いの?
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