不動産投資をはじめ、「レバレッジ」が金融の基本で、投資利回りが低くなったため、利回りが大幅にマイナスになったから投資銀行などが破綻しているとの記事をよく見る。半分くらいしか正しくない。<o:p></o:p>
レバレッジの意味は「借入金による投資や投機」とある。要は低い金利のOPM(other people's money :他人からの(借入)金の利用)を投資に使い、投資物件の利回りとの鞘を抜くところにある。<o:p></o:p>
事例で100億円の投資で年間5億円の利益があると5%の利回りである。これに80億円を2.5%で借りて(Debt)くると利払いは2億円だから、収益は残りの3億円で残りの投資額(エクイティ Equity)20億円(=100-20)に対し15%iの利回りとなる。(と書くと、なら借入金を100%にするといいじゃないかと思うだろうが、Equityが0になり、理論がたたない:でも日本では。。)これは、見かけの利回りであり、あくまで5億円の「果実」を借入金と投資額で分け合っているだけである。このような仕組みで借入金を活用すると、見かけは高い利回りで、OPM利用により投資額の数倍(この場合は5倍)の投資が出来る旨味がある。<o:p></o:p>
しかし、この投資で利益が1億円と「果実」が少なくなる場合を考えよう。<o:p></o:p>
① 投資額の利回りがマイナスに:借入金の金利に1億円の不足(=1-2)、投資額20億円に対し▲5%となる。<o:p></o:p>
② 借入れの困難さと金利上昇:利回り低下によりリスクが大きいとみなされ借入金の金利も上がり、金利が3.5%となると金利だけで2.8億円となり1.8億円の不足、▲9%と赤字が拡大するか、リファイナンスできないので動けなくなるか、<o:p></o:p>
③ 損失の拡大:利回りの低くなった、投資額の5倍にあたる投資案件の面倒も見る必要がある。<o:p></o:p>
つまりはレバレッジによるマイナスの利回りより怖いのはOPMのリファイナンスと金利上昇、その結果の更なる損失拡大の進行である。(低利資金がだぶついているときは良いが、リスク・アドヴァースになると一気に反対になる。一種の「オセロ」と同じ効果である。) <o:p></o:p>
レバレッジとはなんと言うことはない一種の信用取引であり「魔法の杖」ではない。巨視的にみると果実が増える訳でもなんでもない、ゼロサムである。これはデリバティヴも同じだ。<o:p></o:p>