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日本独立は近い。

2021年02月16日 06時41分07秒 | 第三次大戦

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日高義樹『バイデン大混乱──日本の戦略は』(かや書房)
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 著者である日高氏の強みはアメリカに於ける太い人脈。それもワシントンの裏事情に詳しい人からの内部情報を得る立場にいることだろう。
 政権中枢に近いアメリカ人脈と内部情報を通してバイデンのアメリカの「危険がいっぱい」すぎる状況を本書ではぐいぐいと抉り出している。
日本のジャーナリストには珍しく日高氏は軍事方面に明るいことである。なにしろアメリカの戦艦、飛行機に何度も乗り込んだ経験から、国防の現場の軍事感覚も鋭い。すなわち国防に関しての指摘は適切であり、日本人が理解するべき事柄を多く含んでいる。

 過去五十年に亘って日高氏はアメリカ政治を見つけてきただけに『何の戦略もないバイデンは危ない存在であり、世界をおかしくさせる』と見通すのだ。
 そのうえ日本の管首相も問題である。
 首相たるや、「國際戦略と外交についてまったく疎く、これまで日本の安全を助けてきたアメリカの新大統領が、同様に、外交、軍事戦略について利害がなく、関心も薄い。この危機的な状況のなかで、いかにして日本の安全を図ることが」可能なのか。本書の随所で考え、提言している
 たとえば、こういう提言がある。

 「日本の管首相がバイデンの政治的立場を助けるために出来るのは、日本国内の中国寄りの政治勢力を切ることである。つまり二階俊博幹事長など中国寄りの政治家達を更迭引退させて、アメリカ寄りの姿勢をはっきりさせることである」(21p)
ズバリ一刀両断。

 安倍首相がトランプを巻き込んでつくりあげた日米軍事同盟が、バイデンでおかしくなりつつあり、新政権は「アメリカのことを考えるだけでよいという戦略のもとでアメリカの安全がたもたれるわけはないという状況を、バイデンは理解できない」。
この欠陥だらけのバイデン政権幹部と言えば、オバマのお友達ばかり、とりわけ危険なのはスーザン・ライスらだが、日高氏は新国防長官オースティン退役大将に大いなる問題があるという。

 「かれはアメリカの中東作戦の失敗の責任者であった」。
当時、トランプの命令に逆らって「中東のアメリカ軍引き上げを遅らせたのがアメリカ中央軍の幹部であることだ。このいわば頭目とも言えるオースティン大将をあたらしい国防長官にしたのでは、中東戦争の整理が進むはずがない」(36p)。
 「とりわけオースティン国防長官はオバマ大統領が二年で終わらせると豪語したアフガニスタン戦争で失敗を繰り返した」(198p)。

 経済についてはNYとカリフォルニアから、所得税のないテキサスなどへ人口移動がおきていることに注目し、住宅市場の激変はいずれ問題を引き起こし、現在のところ、ワクチンとEV効果で上昇を続けるウォール街の株価が暴落する危険性を警告している。ただし、中国のハッカー攻撃による市場崩落の危険性が高いとも指摘している。

 結論的に「豊かで金持ちであるアメリカが世界のことなどまったく関わりがないと主張し、自分たちの利益のためだけに動くと(バイデンは)言っているのである。そしてジョー・バイデンを選んだアメリカの人々はそういった、自分たちのことだけに関心」を持つ層である。
ということは、日本はもはや、「同盟国としてアメリカの庇護を受けることが出来ない。自らの手で護る以外に、安全を維持する方法はない」(225p)。 

こういう岐路に日本は立たされることになった。
コロナ禍は、もとより劣化していた日本同様に、アメリカにも政治の貧困という災禍を随伴してきた。ほどなく深刻な情勢を迎える。
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全ては・第三次内戦型世界大戦に向けての・色分け。

2021年02月16日 06時39分07秒 | 第三次大戦



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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月16日(火曜日)
通巻第6801号 
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 コソボがイスラエルのエルサレムに大使館を開設する
  中東から南欧にかけての地政学、地殻変動の予兆か?
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 イスラエルがイスラム国家のコソボと国交を開いたのは、2020年8月4日だった。それまで12年間、イスラエルはコソボを独立国としては認めていなかった。急転直下、コソボはイスラエル大使館をエルサレムに開設する。日本のメディアが報じたのは僅か数行。殆どの新聞は無視した。
 ところが、このニュース、重要な意味を持つのである。

 2020年、中東の政治に地殻変動が起こり、UAE、カタールなどがイスラエルと国交を結んだ。トランプ政権がイスラエルに梃子入れした結果である。
 バイデンとなって、イランとの核合意を復活すると言い出したので、イスラエルと米国の蜜月はまもなく終幕することになる可能性がある。ネタニヤフ首相はバイデンとは馬が合わないのだ。

 トランプ前大統領は米国大使館をテルアビブからエルサレムへ移転した。アラブ諸国の反応を注視していたが、激烈な反対も報復措置もなかった。
しかしながら主要国家の多くは、米国にならってエルサレムへの大使館移転をなさなかった。その状況下、いきなりエルサレムにコソボが大使館を開設するというのは異例と言って良く、イスラエル外交の勝利ともとれるだろう。

 バイデンはエルサレムへの大使館移転を覆さなかった。
 そこでエルサレムの米国大使館は大増設工事を開始し、2026年の完成を目指して突貫工事、700人の建設労働者が10階建てのメインビルを含む複合施設の建設に励んでいる。
敷地面積は5万平方メートル。場所はヘブロン通りの住宅地の高台。

 さてイスラム国家は、これまでイスラエルの国家の生存を認めて来なかった。コソボはイスラム教徒の国となっており、旧宗主国セルビアは、東ローマ政教系のセルビア正教。筆者がユーゴスラビア時代に取材した折、教会の一つに入って、土産にペンダントを買おうとしたら、「貴方は何教徒か?」「仏教徒です」「異教徒には売れない」と言われた。

 ましてコソボを独立国として認めていないのが中国、ロシア、スペイン、キプロス、ギリシア、ルーマニア、南ア、インドネシア。もちろん嘗ての宗主国セルビア、ブルガリアなど80ヶ国前後は認めていない。


 ▲コソボは何故、独立できたのか?

 2008年の独立時点で欧米主要国とともに日本はコソボ独立を承認した。
 この時点でじつは台湾もコソボ独立を承認した。この頃の台湾メディアはコソボ独立こそ台湾独立のモデルになりうると連日大きく報道していた。

 しかしながら、独立国とは言っても、コソボは軍隊もなければ、独立国の体をなしていないのである。欧米の地政学的な身勝手な論理が独立を支援したのだ。
 失業率30%、ひとり当たりのGDPは僅かに4400ドル内外。それでいてコソボの通貨がユーロ、つまりはEUの保護国である。若者の多くは外国へ出稼ぎにでた。

 コソボの人口は減ったり増えたり、戦闘があれば数十万の難民がすぐに発生する。面積が岐阜県くらいしかなく、人口は180万人、(岐阜県は200万人)。コソボの人口構成と言えば、或る日、気がつけばセルビア人が出て行ったため、殆どがアルバニア人となっていた。これこそ「静かなる侵略」の典型だろう。

 アルバニア人はオスマントルコ帝国の時にいち早くイスラム教徒に改宗した。
セルビア正教を頑なに護るセルビア人が、ユーゴスラビア連邦時代は政治の主導権をもっていたので、コソボは自治州だった。いまもセルビアは「コソボ・メトヒア自治州」と呼んでいる。

 チトーが死ぬと、それまで潜在化していた民族対立、宗教対立のマグマが大噴火し、殺戮、強姦、民族浄化、強盗、暗殺等々。何でもござれ、セルビアはボスニアやクロアチアとも戦闘を続けていたため、コソボにエネルギーを割けず、アルバニア系の武装集団が乗っ取ろうとしていた。

 ところがEUはセルビアを敵視し、ベオクラードなどへ空爆を拡大したため、コソボから30万近いセルビア人が逃げだした。
クリントン時代の米国も、空爆に参加した。そしてベオグラードにあった「中国大使館」(隣は日本大使館だ)を「誤爆」(クリントン政権の言い訳)したのだった。(セルビアとなって以後、中国大使館は旧市内に移転)

 この西側の空爆介入がなければセルビアが負けることはなかった。詮無きことを言っても意味がないので、それは置く。
セルビアは外交が下手だったのだ。ところがボスニアやクロアチアはいち早く米国に世論工作隊を派遣し、ロビィストと契約し、広告代理店を駆使し、セルビアをまんまと「悪人」に仕立て上げた。米国は敵と味方を間違える天才だから、このときも誤断した。


 ▲農地も住宅も空き地、空屋が目立つ

 コソボへ行ったことがある。あちこちに農地が空いており、空き家が目立った。この国は農業国家である。
 セルビア系が逃げ出したからだ。セルビアに限らず、あの空爆時代、欧米はユーゴに同情的だったから、米国への移民が急増していた。この頃、NYでタクシーに乗って、運転手が道を知らない。きくと「三日前、ユーゴから移民できたんだ」と驚くほどたどたどしい英語で答えた。

 コソボにはセルビア正教会の四つの修道院を「コソボ中世建造物群」として「世界遺産」としたが、いずれも修道院(デヂャー、プイズレン、グラチャニツァ、ペーチ各修道院)である。ここにだけセルビア人の修道女がいる。中世の宗教画は荘厳華麗、緑の公園のなかにある修道院を見たときは、悠然とした環境に優雅さを感じたものだったが。

 イスラム系のアルバニア人は教会を破壊しかねないので、EU軍隊が駐留している。筆者が見学したときは、イタリア兵が機関銃で武装して護っていた。
 
 首都のプリシュティナは、人口が60万人に膨れあがり、外国の出稼ぎ組みからの仕送りもあって綺麗な街づくりが進展した。
マザーテレサ・カテドラルがあり、彼女の銅像も立っているが、傑作なのはクリントン大統領の銅像が目抜き通りにあること! そう、彼の誤爆があってこそ、独立が出来たんだから。 

 日本はさっきも見たようにコソボ独立と同時に承認したが、その後、13年間、ウィーンの日本大使館が業務を代行した。ようやく首都のプリシュティナに大使館代理事務所を開設したのは2020年1月、コソボ在住の日本人は七名しかいない。
 
 悪名高かったのは独立を武装闘争で戦ったハシム・サキ前大統領だ。
 彼が解放戦争時代の武装セクトをまとめた指導者だったために虐殺、強姦、暗殺、誘拐、民族浄化の煽動者だった疑いがあるとし、2020年11月5日にハーグの国際裁判所は有罪を認めた。
サキは直ちに大統領を辞め、収監された。

ミロセビッチ、カラジッチというセルビアの嘗ての民族闘争の英雄とされた政治指導者が国際裁判所で有罪判決を受けたように、ようやくにして喧嘩両成敗となった。 

 このコソボがイスラエルのエルサレムに大使館を開設するという意味は、中東から南欧にかけての地政学に地殻変動がおこる予兆かも知れない。
      ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎ 

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