「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)2月14日(日曜日)
通巻第6798号
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バイデン、不法移民にも寛大な措置へ舵取り
メキシコ国境に2万5000人が列を作り始めた
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バイデン大統領は就任以来、つぎつぎとトランプ時代の政策を変更する大統領命令に署名しているが、不法移民の大量流入を防御するためだったメキシコとの国境における「壁」の建設もやめる。
具体的にはトランプが実施した国防予算を転用してのメキシコ国境の壁建設だったが、「納税者のカネをこのような方向には遣わない」とするもの。
すでにメキシコ国境には2・5万人のメキシコ人が国境検問所に待機し始め、大統領令が有効となる2月19日を前に列を作り始めている。
またテキサス州では、国境警備隊が、トランプ時代とは異なって不法移民を発見しても逮捕せず、その場で送り返している。
そのイタチごっこに疲れ、警備が緩むとどっと不法移民はテキサス州へ流れ込む。これはオバマ時代の繰り返された現象である。
このままではニューメキシコ州からアリゾナ、カリフフォルニア州にかけて、またまた移民の摘発にまわせる警備隊不足に陥るだろう。
アメリカにはすでに1100万人の不法移民がいるが、このうち800万人が就労している。安い賃金のため、不景気になるとまっさきに不法移民の批判の矛先が行くが、景気がよいときは不法移民を安く雇えるので、じつは歓迎なのである。
しかし慎重論、反対論も渦巻くのがアメリカで、「治安が悪化するばかりか、移民コミュニティの安全も脅かされるだろう。コロナが蔓延しているときに国境の警備を弛緩させるとは狂っている」とする意見も多い。
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