「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)2月27日(土曜日)弐
通巻第6814号
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「えっ、正気か」と思わず問いかける中国経済投資拡大の狂気
新幹線は二倍、空港はあたらしく162、景気刺激策で6%成長
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三月の全人代に用意している次の十五年計画の概要がわかった。
中国政府は、2035年までに鉄道営業キロ数を20万キロに延長する。これは地球を五周する距離。とくに新幹線を7万キロに拡大する。
中国新幹線が2020年末までに開業した営業キロは3・7万キロと推定されているが、さらに十五年後に新幹線だけでも、およそ二倍、7万キロを目標とする。中国では「新幹線」とは呼称せず、「高速鉄道」という。
2020年末の時点で、中国の新幹線の累積赤字は84兆円である。
倍加すると言うのだから、2035年までの累積赤字は最低でも160兆円に達する。凄いなぁ、こんな前代未聞、人類史未踏の大暴走だもの。
そして2035年までにあたらしく162の空港をひらく予定があり、すべて民間企業となる。
こうした暴走的な景気刺激は破天荒の予算が必要となり、歳入の裏付けがないのだから必然的に中国の債務は膨張して行く。
ということは、いずれミンスキー・モメントがやってくる。
すなわち景気循環において、投資家が投機によって生じた債務スパイラルによりキャッシュ・フロー問題を抱える。
株の投げ売りが始まる。その結果、資産価格が突然崩壊し、経済崩壊に至るという仮説がミンスキー・モメントだ。長い繁栄と借金による投機を促す投資価値の増大の後にやって来るとされている。
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