「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)2月25日(木曜日)
通巻第6811号
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アップル株主総会「2030 カーボン・ニュートラル」
リサイクル材料にすべてを切り替え、コンゴの児童労働問題にも対処
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2月23日、スマホの王者アップルがオンラインで年次総会を開催した。
とくにティム・クックCEOが強調したのは「2030年までに素材のすべてをリサイクルに切り替える目標に邁進する」と述べたことに注目が集まった。
GMが2030年までに全種モデルをEVに切り替えると発表したが、米国でも、「2030 脱炭素」(カーボン・ニュートラル)の流れは止まらなくなった。これは集団自殺に似ていないか。
アルミニュームはボーキサイト鉱を精錬するが、大量の電力を使う。リチウムイオン電池は、コバルトなどのレアメタルや、中国産のレアアースを使用する。これらの鉱山では児童労働の問題が起きている。
コバルトの最大鉱山はコンゴの奥地で、部族紛争が絶えず、旧宗主国ベルギーと米国の鉱山開発会社も株式を中国に譲渡した経緯がある。
レアアースは世界生産の80%を中国が生産するが、これも大難題を抱えている。精錬過程で毒性の強い化学剤を使用するため、現場労働者の健康問題があり、加えて労働者のなかに誘拐してきた児童を使っているのではとの疑いがある。
これらに米国の政治は敏感でかならず過剰な介入をする。世界最大のレアアース鉱山を米国内に抱えながらも、開発できないのはその為である。テッド・クルーズ上院議員などは法改正し、国防予算からでも国内レアアース鉱山の開発を目指すべきとしているが、民主党多数の議会ではクルーズ議員の提案など歯牙にも掛けられていない。
リサイクル産業にとっては「活躍」の時期がきた?
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