米国疾病予防管理センター(CDC)が新型コロナのワクチンと心筋炎に関する注意喚起を送らなかった理由は、パニックを引き起こすことを懸念したからだということが、エポックタイムズが入手した電子メールにより明らかになった。
CDCは2021年、心筋炎とファイザー・バイオンテック社およびモデルナ社のコロナワクチンに関する注意喚起の草案を作成した。内部文書によれば、局長への文言確認などの手順を踏み、一般公表する準備をした。
この警報はCDCの健康警報ネットワーク(HAN)を通じて全国の州および地方自治体の職員、医師に送信されるはずだった。
しかし、警報は送信されることはなかった。
エポックタイムズが入手した2021年5月25日の電子メールでは、CDCの職員が、なぜ一部の職員が警報の送信に反対したかを明らかにしている。
当局者のサラ・オリバー氏はメールで「このHANを使用して警告を発表するかどうかが議論になっている。HANはCDCの臨床医や公衆衛生局への主要な連絡手段であるが、警告を出して人を心配させるようなことも避けたい」と述べた。
これはオリバー氏のファイザーまたはモデルナの従業員とのやり取りだ。エポックタイムズが入手したコピーでは、その従業員の名前とメールアドレスは黒塗りされている。
エポックタイムズはオリバー氏にコメントを求めたが、返答は得られなかった。CDCにも電子メールについて問い合わせたが、同センターはオリバー氏の声明には言及しなかった。
こうしたCDCの対応について、議員や専門家は国民の健康よりも自らの社会的評価を優先する許されざる行為だと指摘している。
国土安全保障・政府問題委員会の共和党トップであるロン・ジョンソン上院議員は「ワクチン接種者における心筋炎と心膜炎のリスク増加について臨床医に通知する正式な警告を直ちに発しなかったCDCの決定は、許しがたいだけでなく、医療過誤だ」とエポックタイムズの取材に答えた。
「CDCは、国民の健康よりも自らの社会的認知を優先すべきではない。そのような決断を下した者は責任を負わなければならない」
一方、全米で心筋炎患者が胸痛などを訴えて救急外来を受診していた時期に、どの職員が警告を送らないことを決定したのかは、いまだに不明だ。
抗うつ剤に自殺警告を追加するよう規制当局に促した医薬品安全性擁護者のキム・ウィツァック氏は、心筋炎を軽視するCDCの動きは、当局と製薬会社の透明性に関する問題が長年にわたって存在していることを示していると語った。
「CDCが『人々を不安にさせたくない』というような議論をしたこと自体が信じられない。これは実際に起こり得る潜在的な問題であることを人々に認識してもらう必要がある」
ウィツァック氏はこうした選択が、公衆衛生に対する消費者の信頼を損なう一因になっていると述べている。
元CDC所長で現在は世界保健プロジェクト「Resolve to Save Lives」の社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるトム・フリーデン博士も電子メールの内容を指摘した。
フリーデン博士は「新型コロナウイルス感染症のリスクと、ワクチンを含むあらゆる治療法のリスクとベネフィット(利益)を慎重に比較検討することが重要だ。ワクチンの安全システムは機能し、青少年に投与するワクチンを配布した直後に、非常にまれではあるが本物の心筋炎の兆候を発見した」
「公衆衛生当局は安全シグナルを見つけた場合、それが『真実』なのか『ランダム』なのかを調査しなければならない。データを複数の角度から検討し、臨床医を含む現場のパートナーから証拠を収集することが重要だ。これは迅速かつ慎重かつ徹底的に行う必要がある」と語った。