ニュージーランド移住記録:日記「さいらん日和」

2004年に香港からニュージーランドに移住した西蘭(さいらん)一家。子育て終了、仕事もリタイア。好きに生きる記録です。

旅立ちに間に合って

2010-07-30 | 移住生活
年上の友人のお母さまが他界され、今日はお葬式へ。
享年90歳。大往生でした。
友人自身もう孫がいるので、お母さまのご健在すら知りませんでした。


曾孫たちがチョロチョロし、それを追う孫たちの姿が自然に様になる、
アットホームな雰囲気のお葬式。

教会という広々とした明るい場所ということもあるのでしょうが、
「人生の終わり」という、先が見えない沈鬱なものではなく、
「新たな旅立ち」という、まさにこれからを祝福する場でした。


初めて目にしたお母さまの写真は、ワインレッドのイブニングドレスを纏った美しいもので、60代頃の写真のようでした。正装が絵になる大人の気品がなんとも美しく、若過ぎたらああはいかないでしょう。


友人がスピーチの中で披露した故人の経歴によると・・・・・
ポルトガル人の末裔としてマレーシアのマラッカで生を受け、シンガポールで暮らしているときに第2次世界大戦となり、当時ではとても珍しかったであろう女性諜報部員として、日本の侵略に抗戦。

戦後は結婚してインドで仕事をしていたものの、戦時中のキャリアを買われて、後に米軍での仕事に就き、その後、NZに移住。

仕事を続けながらも一男二女をもうけ、仕事と主婦業の傍ら結婚コンサルタントとして、地域のボランティア活動にも長年に取り組んでいたそうです。

「結婚の大切さ」
「どうしたら結婚生活を長く続け、楽しめるか」
「夫婦の破たんを防ぐ方法」
などを説いて周り、問題を抱えてしまった人の相談に乗り、たくさんの婚姻関係を救ってきたそうです。
(でも友人はバツイチ

お料理が得意で、
社交ダンスと歌をこよなく愛し、
子どもたちのベッドタイムには必ず歌を歌ってくれ、
誰もが羨むおしどり夫婦で、たくさんの孫・曾孫に恵まれ、
「70代になるまでシワがなかった」「とにかく肌がキレイ」という美貌。

知性と教養だけでなく、気品と勇気と奉仕の精神を兼ね備えた、
類まれな女傑だったようです。

彼女の人となりを知り、改めて友人の底知れないパワーの源がわかった気がしました。


生前お目にかかれなかったのは残念ですが、激動の時代を生き抜いた、日本で言えば気丈な大正女の旅立ちには、かろうじて間に合いました。
貴重な一期一会でした。


故人の冥福を心よりお祈りいたします。