フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

2月14日(土) 晴れ

2009-02-15 11:03:12 | Weblog
  「春を思わせる」を通り越して「初夏のような」陽気の一日だった。フィールドノートの更新をすませて、散歩に出る。コートもセーターもマフラーもいらない。とても身軽である。「鈴文」で昼食(ランチのとんかつ定食)をとってから、下北沢の本多劇場でやっているパラダイス一座の公演「続々オールド・パンチ カルメン戦場に帰る」を観に行く。

              

  昨年は小さなスズナリ劇場の、それもかぶりつきで観たのだが、今回は本多系列では一番大きな劇場の後ろの方の席で観た。その分、舞台と客席との一体感は薄まった感じがした。こういう洒落というか、勢いというか、役者を本業としない人たち(後期高齢者)のサービス満点の演芸会を楽しむにはやはりスズナリ劇場のような親密な空間の方がよい。去年なら爆笑し喚声をあげたであろう場面で、今年はただ拍手をした。この違いは大きい。脚本に関しても昨年の「続オールド・バンチ 復讐のヒットパレード」はしっかりと作りこまれていたが、今回は凡庸で散漫な印象を受けた。半分素人の役者たちがきちんとした芝居に取組むことから生まれる緊張と弛緩の面白さというものが今回は弱かった。今日の公演を観た方たちのブログを読むと、「元気をもらいました」という類の感想が散見されるが、こういうのは褒め言葉としては安易だと思う。「元気な老人たち」という印象を私も受けたけれど、私は元気な老人たちを観たくて、彼らから元気をもらいたくて、芝居を観に行ったわけではない。・・・もう少し社交辞令的な感想を書くべきなのかもしれないが、それができないのは、前夜、NHK教育TVの「芸術劇場」で平幹二朗主演の『山の巨人たち』という芝居(ルイジ・ピランデルロ作、ジョルジュ・ラボーダン演出、2008年11月、新国立劇場)を観てしまったせいである。もちろん比較する方が無茶で、それは重々承知の上で言うのだが、大衆演劇には大衆演劇なりの意地や矜持というものがあってしかるべきで、去年のパラダイス一座にはそれがあった。しかし、今年はそれが薄れている。それが残念。でも、1つだけ、去年よりもよかったのは、スクリーンの映像で登場したドイツ文学者の岩淵達治、彼と彼の孫娘役の女優のデュエットは味わいがあってとてもよかった。3月24日の現代人間論系のオリエンテーションでは、これにならって、歌謡ショースタイルでいってみようかしら。
  芝居が終わり、一緒に観劇をした助手のAさんと彼女の夫のH君と3人で近くのパブでおしゃべりをした。最初、飲み物だけのつもりだったが、途中からピザや何ならを注文し、2時間近くも話し込んでしまった。H君とは初対面であったが、大学では美術史(とくに建築)を専攻し、卒論はル・コルビュジェを取り上げ、現在は広告代理店で働いているそうで、興味深い話をたくさん聞けた。別れ際にAさんから、バレンタインデーということで、手作りのケーキを頂戴した。