フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

4月18日(土) 雨のち曇り

2020-04-19 13:29:27 | Weblog

8時、起床。

いつもであれば、私が寝室から出て居間に行くと、ハルが「ニャー」と鳴いて、私に付いて洗面所に来て、私が手のひらで受けた蛇口の水を洗面台に上がって飲むのだが、今朝はハルの姿が見えない。探すと、台所の隅っこに伏せていてこっちを見ている。居間の低いテーブルの下というのが彼の定住場所なのだが、そこを離れて伏せているということ自体が普通のことではない。触ると体温が下がっているのがわかった。猫は人間より体温が高いのだが、いまは明らかに人間より低い。妻がかかりつけの動物病院に電話すして状況を説明すると、すぐに連れて来て下さい(予約の方がいるので少し待っていただくことになると思いますが)とのことだった。

トースト、サラダ、牛乳の朝食(紅茶を飲んでいる時間はない)。

雨の降る中を、ハルをキャリーバッグに入れて、妻と二人で動物病院に連れて行く。先日、確定申告を出しに行った蒲田税務署より少し先だが、あのときほどの強い雨ではない。体重がずいぶん軽くなってしまったので、家から動物病院までの20分ほどの道のりを、キャリーバックを提げた右手を左手に持ちかえることもなく、ましてや妻に代わってもらうこともなく、歩き通せた。

診察室中の患者(ワンちゃんだった)と家族が一組いるだけで、待合所にはわれわれだけだった。ほどなくして名前を呼ばれる。診察室には医師が二人、助手さんが一人いたので、妻だけが入り、私は外で待った。診察が終わり今度の対処の仕方についての説明・相談のときは私も診察室に入った。腎臓が機能しなくなっているので回復は難しいこと、水分の補給は必要だが、血管への点滴だと一日かかるので預かり(入院)ということになってしまうので、皮下注射で行い(これはいますぐできる)、自宅に連れて帰ることにした。普段と違う場所に伏しているのは、床暖房の入っていない、床の冷たい場所の方がいくらかは気持ちがよいためでしょうと説明された。そういうことか(体温が下がっているから、温かい場所の方がいいのかと思ったが、違うようである)。

帰宅して、キャリーバッグから出してやると、ハルは居間の隅の床暖房のない場所に行って横になった。写真は顔を上げているところを撮ったものだが、大方は横になっていた。

昼食はインスタントラーメンに玉子とベーコンとキャベツを入れて。

2時から卒業生のレイナさん(論系ゼミ8期生)とオンラインカフェ。

まり

始める前は、そんなにたくさん話すことがあるかなと思ったが、結局、2時間近く話をした。普通のカフェでの滞在時間としても長いほうである。前半は近況報告的なプライベートトークで、後半は「先生が社会学者としていまの社会状況をどうご覧になっているか知りたいです」というリクエストに応えて、春学期の講義「日常生活の社会学」のイントロダクションに相当する内容を彼女を受講生に想定して対話的に語ることになった。これは私自身の頭の整理(講義ノートの準備)になってよかった。彼女も「オンラインカフェ、楽しかったです! 先生の最新の社会学の講義を受けられて、贅沢な時間でした。また開催しましょう」と感想を送ってきてくれた。

下の写真はあとから彼女がお母様に撮っていただいたもの。一種のスタジオ風景である。ちなみにオンライン「カフェ」と銘打っているので、私は手元に紅茶とアーモンドチョコレートを置いていた。彼女はカフェオレとマリービスケットを準備していたが、おしゃべりに夢中で、ビスケットには手が伸びなかったそうだ。「本棚が少々淋しくはないですか?」と質問したら、「ここは、本棚からあふれた本の置き場所なのでご安心下さい(笑)」と返ってきた。

オンラインカフェを終えて、ハルの側に行く。呼吸がだんだん弱くなっている。「ハル、ハル」と名前を呼んで、体をさすってやる。意識レベルも下がって来ているが、ときおり、苦しそうな(息が十分にできないからだろう)動きをする。胸の辺りを人工呼吸をするときの要領で強く押してやるといくらかは呼吸が楽になるようである。そんなことを1時間半ほど続けて、午後5時半、ハルは息を引き取った。17年10カ月の生涯だった。妻と二人で最期を看取れてやれたことはよかった。

ハルが家にやってきたのは2002年の夏だった。知人の家の猫が生んだ子猫(2、3ヵ月)をもらったのだ。母猫やきょうだいから引き離されてかわいそうな気もしたが、すぐに我が家に馴れてくれた。

下の写真は当時のもの。私が仕事をしていると、机の上に乗ってきて、キーボードを枕に眠ってしまった。鼠(マウス)には興味を示さなかった。

下の写真は2013年7月30日のブログからの転載。私が答案の採点で「猫の手も借りたい」ほど忙しい時は、そばで作業を見守ってくれた。ある答案を前に、A評価かB評価で迷った時は、彼に相談し、右目を閉じればA、左目を閉じればBとした。

晩年はずいぶんやせ細ってしまったので、写真をブログに載せることは少なかった。下の2枚は去年のブログから。

なかなかのイケメンであったと思う。

さようなら、ハル。

夕食のおかずは「マーボ屋」からテイクアウト。

海老のサクサクフリッター。

ホタテガイの貝柱のバター炒め(塩)。

酢豚(黒酢)。

深夜、近所をウォーキング&ジョギング(4キロほど)。

2時15分、就寝。