久しぶりに十和田大湯温泉で湯めぐりしてみることにしました。1湯目は足元湧出で有名な「荒瀬共同浴場」です。入口の手前に置かれているカラフルな腰掛けは、元々観光バスのシートなのかな?
小さな券売機で料金を支払い、座敷の右側のこれまたコンパクトな窓口で座っているおばちゃんに券を手渡します。
窓口の傍には料金値上がりのお知らせが掲示されていました。値上げといっても150円から180円へ30円アップする程度なのですが、利用回数の多い方には影響が大きいのでしょう。なお値上げの理由は「利用者の著しい減少等」とのこと。御多分にもれず高齢化が進んで常連は次々にお星様となり、数少ない若年層は家風呂を使うため、共同浴場を使う人は年々減っているんでしょうね。利用者が減るということは、料金面で苦しくなるのは当然のこと、どの共同浴場も当番制で管理しているわけですから、その当番を担う人間も減少してしまうとなれば、管理運営面でも浴場そのものの存亡に関わる大きな問題となってしまいますね。
浴室のドアのガラスには「風呂場でねるな」とストレートな表現の注意書きが貼りだされていました。トド好きの皆さん、要注意です。脱衣室は棚と洗面台があるだけの、実用本位な造りですが、うちわが5個くらい用意されていて、湯上りにはこれがとても重宝します。
脱衣室からステップを数段下りて浴室へ。この日も利用客減少という現象が信じられないほど多くの入浴客で賑わっていました。室内の床や浴槽の底には十和田石と思しき緑色の凝灰岩系石材が敷き詰められており、多孔質ゆえに滑りにくく、歩いた時に足裏に伝わる柔らかなフィーリングも快適です。室内の洗い場には水道の蛇口が2~3箇所あるだけですから、お湯は湯船から直接桶で汲むことになります。なお浴槽内側面の一部には細長い貫通穴があいているので、湯船のお湯は女湯とつながっています。
浴槽底に敷かれている石材の隙間からは、当浴場名物である足元湧出のお湯が気泡と共にポコポコと上がってきます。一応、足元からの自然湧出ということになっていますが、実際には湯船の手前にある湯溜まりに一旦源泉が落とされ、それから浴槽の底へと供給されているようです。とはいえ、湯使いはお客さんにより加水されますが、純然たる放流式であり、縁からしっかりとオーバーフローしています。加水されているとはいえ湯加減は44~7℃という高温でセッティングされていることが多く、全身入浴ですとせいぜい1~2分がいいところ。前回訪問時は47℃くらいでして、頑張って30秒でしたが、今回は先客がしっかり加水してくれたため(体感で)45℃まで下がっており、2分は入り続けることができました。とはいえ熱いことには変わらず、あっという間に全身が真っ赤っ赤になっちゃいます。とにかくここの風呂はいつ入っても熱い。もしかしたらこの熱湯風呂が地元の年寄りの寿命を縮めているんじゃないかと疑いたくなります。
さて肝心のお湯に関してですが、見た目は無色澄明、弱い芒硝味と薄い食塩味を有し、芒硝系の香りがわずかに感じられました。大湯温泉は源泉によって特徴が微妙に異なり、特に硫黄感に関しては源泉による差異が大きいのですが、荒瀬の湯源泉の場合は、硫黄的知覚にかかわる物質の量がいずれも0.1mg以下であることから明らかなように、硫黄的な味や匂いがあまり感じられません。でも無駄な個性や主張が無いため後腐れなくスッキリサッパリ入れるのが良いところ。熱さといい浴感といい、秋田県なのになぜか江戸っ子気質に近いものを感じるお風呂であります。
荒瀬の湯
ナトリウム-塩化物温泉 53.8℃ pH7.9 湧出量不明(自然湧出) 溶存物質1.31g/kg 成分総計1.31g/kg
Na+:382.3mg(85.28mval%), Ca++:46.7mg(11.95mval%),
Cl-:617.2mg(91.30mval%), SO4--:75.3mg(8.23mval%),
H2SiO3:94.4mg, HBO2:70.4mg,
(Cf, HS-:<0.1mg, S-:0.1mg, S2O3--:<0.1mg, H2S:<0.1mg)
花輪線・鹿角花輪駅より秋北バスの大湯温泉行で「大湯温泉」バス停下車、徒歩10分(850m)
(期間運行ですが鹿角花輪駅および十和田南駅から<a href="http://www.oodate.or.jp/shuhoku/bus/">秋北バスの十和田湖行、もしくは鹿角花輪駅から十和田タクシーが運行する路線バス(といってもハイエースで運行)の十和田湖行を利用すれば、「新橋」バス停下車徒歩1~2分)
秋田県鹿角市十和田大湯字荒瀬25 地図
大湯温泉観光協会HP
6:00~21:00
180円
備品類なし
私の好み:★★★