温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

はげの湯温泉共同浴場

2013年07月07日 | 熊本県
 
初夏の某日、久しぶりに熊本県のはげの湯温泉へ出かけました。涌蓋山麓のあちこちから湯煙が上がっている光景を目にすると、フツフツと噴出する地熱の如く私の気分も思いっきり高揚します。


 
「蒸気に注意 点灯せよ」という看板がいかにも当地らしいですね。スクールバスの停留所には地名が漢字で記されていたのですが、はげの湯の「はげ」は、「峐(※)」と書くのですね。初めて知りました。
(※)環境依存文字ですので文字化けしちゃうかも。山偏に亥。



地熱資源が豊富な当地にはいくつもの温泉施設が営業していますが、今回ははげの湯温泉の共同浴場で入浴することにしました。三角屋根の現代的なデザインで、コンクリ造の2階建て。建物の前には車2台分の駐車場が確保されています。
上層階は地域の集会場となっており、地熱発電所開発業者の詰所も兼ねているようでした。地熱資源が豊かな当地には以前から地熱発電所の建設計画がありましたが、一旦は頓挫したものの、近年地元住民の手によって再び計画が具体化し、実現に向けて実際に動き始めているんだそうです。これと並行して千葉県や兵庫県の民間業者も当地での発電を計画しており、地元有志の団体はそれらの業者に対する掘削井戸用の土地も提供(賃貸)しているんだとか。集会所に掲示されていた表札を見たところ、ここを詰所にしているのは千葉県の業者のようです。なお地元住民が事業主になる地熱発電所は全国初なんだとか(参考記事はこちら


 
浴場がある1階部分はコンクリ打ちっぱなしの外観。男女別の浴室入口には金属の料金箱が取り付けられており、この施設は常時無人ですので、正直に100円玉を3枚投入して扉の向こうへとお邪魔します。入ってすぐのところにはなぜか洗濯機が設置されているのですが、これって地元の方が使うのかしら。あるいは、もしかしたらここに発電所関係業者の方が常駐していて、そうした方が毎日の湯浴みがてらに作業着等を洗ったりするのかしら。


 
館内もコンクリ打ちっぱなしで、ところどころにガラスブロックが埋め込まれていたりして、共同浴場とは思えないモダンで小洒落た造りなのですが、レイアウトとしては浴室と脱衣室が一体化した伝統的な浴場のスタイルを踏襲しており、水道蛇口以外のカランも無かったりして、新旧が混在した面白い空間となっていました。すのこ敷きの脱衣ゾーンは棚が置かれているだけで至ってシンプル。入浴ゾーンにはひょうたんを半分に割ったような形状の浴槽がひとつ据えられています。


 

ひょうたんの頭にあたる部分にはお湯が噴き上がっている塔のような湯口があり、上がりたてのお湯に温度計を突っ込んでみたところ、52.8℃という数字が表示されました。その塔から噴き出たお湯は小さな真円形の槽へと落とされ、そこで一旦冷まされてから主浴槽へと流れてゆきます。小さな槽のお湯は熱すぎて入れませんし、掛け湯もできませんから、あくまでお湯を冷ますための湯溜まりであると考えたほうがよさそうです。自然冷却だけでは適温まで下がらないため、この時は水道のホースによる加水も行われていました。


 
丸い浴槽は3人サイズで、この時の湯温は44℃。お湯は薄い灰色に弱く濁り、粉っぽい沈殿が底に溜まっていました。薄いタマゴ臭や噴気孔的な刺激のある硫化水素臭、そして微かな塩気と硫黄の存在が確認できる味、石灰のような粉っぽい味が感じられるのですが、匂い味ともにかなりマイルドであり、屋外に漂う湯煙の硫黄臭のほうがはるかに強く臭っていました。館内には泉質に関する説明表示が無いので断言はできませんが、はげの湯や岳の湯エリアでは造成泉が多く、お湯の特徴から察するにおそらくこのお湯も典型的な造成泉かと思われます。なお当然ながら掛け流しの湯使いです。共同浴場のわりにはちょっと高めの料金設定ですが、界隈の他施設と比べれば安めですから、当地で少しでもお安く入浴したい方にはよろしいお風呂かと思います。尤も、館内でも注意喚起されていることなのですが、ここは観光目的の温泉ではなく、地域生活のための浴場ですから、利用の際には十分にその点を留意しないといけませんね。


分析表掲示なし

熊本県阿蘇郡小国町大字西里

利用可能時間調査忘れ
300円
備品類なし

私の好み:★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする