温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

水沢温泉露天風呂

2013年07月06日 | 秋田県

先日5年ぶりに秋田県の水沢温泉を訪れました。この先の乳頭温泉郷(や秋田駒ケ岳)には何度か足を運んでいますが、その途中に位置する水沢温泉はどうしても通過してしまい、毎年のように仙北地方を訪れていながら、当地にはすっかりご無沙汰でした。しかも、恥ずかしながら前回訪問時の記憶がすっかり飛んでしまい、内部やお湯の様子をほとんど憶えていないため、今回は初訪問のつもりで利用させていただくことにしました。


 
温泉施設というよりちょっとしたリゾート施設やイベントホールのような、立派で広々とした館内。明るくて清潔感が漲り、高原という爽快な立地にふさわしい造りです。券売機で料金を支払い、カウンターに券を差し出します。浴場へ向かう通路には、なぜかスタイリッシュな館内の雰囲気とは似つかわしくない、婆さん向けの地味な服がハンガーに掛けられてたくさん販売されていました。


 
ギョギョギョ! 浴室入口手前に飾られているこの絵は、かの有名なさかなクンが描いた幻の魚クニマスですね。元々棲息していた田沢湖からは姿を消してしまいましたが、2010年12月にここから遠く離れた富士五湖の西湖で、さかなクンの手に発見されたことは皆様ご案内の通り。絵の日付は2010年12月24日となっていますから、さかなクンが西湖で奇跡の発見をした2週間後に描かれたことになります。田沢湖ではクニマスの里帰りプロジェクトがすすめられているそうですから、いずれの日にか田沢湖でクニマスが再び銀鱗を煌めかせられることを祈るばかりです。


 
2つの大浴場をつなげたような、とっても広い脱衣室。中央のトイレエリアを挟んで手前と奥に脱衣室が分散されていて、それぞれに棚やロッカーがたくさん設置されています。これだけ広くてロッカーや洗面台の数もしっかり確保されていれば、繁忙期にも混雑を感じることはないでしょうし、広いばかりでなくきちんと清掃も隅々まで行き届いている点も大いに評価したいところです、
浴室にはお風呂に関する説明も掲示されていますが、詳しくは後述して参ります。


 
シンメトリな構造の浴室が2つ接続している内湯。それぞれの洗い場にはシャワー付き混合水栓が6基ずつ計12基設置されています。露天風呂が売りの施設ですが、内湯も天井が高くて湯船も大きく、かなり開放的な造りですから、万一悪天候等で露天に入りにくい状況だったとしても、内湯だけでも十分に満足できるかと思います(あくまで私の個人的な感覚ですが)。


 
シンメトリな造りなのですが、部分的に異なる箇所があり、脱衣室から見て左側の洗い場には1本の打たせ湯が隣接している一方、右側には「しょうがい者の方でもご利用出来る」小さな浴槽が据え付けられていました。



湯口も中央の仕切りを挟んで両方に対して設けられており、それぞれ白濁した温泉を吐出しています。脱衣室側から見て右側の浴室の浴槽はやや熱め(43℃位)、左側はややぬるめ(41℃位)の設定になっていました。両者には投入量に違いがあるので、お湯の投入量で温度調整しているのかもしれません。


 
竹の湯口を接写してみました。筒の内側には白い湯の花がビッシリとこびりついています。また筒の根元に当たる石にも析出が現れていますね。



加水用の水栓金具は硫化して黒く変色していました。硫黄の温泉らしい光景ですね。


  
露天風呂も2つあって、内湯と異なり若干の角度がつけられた上で据え付けられています。両方とも思わず泳ぎたくなっちゃうほど大きなもので、形状としては小判型、深さは1m近く、耐食のためか槽内は水色の樹脂のようなものでコーティングされており、その大きさや見た目、色合いなどによって、お風呂というよりプールのようにも見えます。お風呂の手前側半分には庇が架かっているので、多少の雨ならその下で凌げるかと思います。


 
緑に抱かれた爽快な露天風呂。空の広大さを実感できて爽快この上ありません。お風呂の周りには石灯籠などが配置されており、日本庭園のような趣きが醸し出されています。


 
内湯同様、露天の湯口も中央から両方に向かって注がれていました。その投入量は左右で明らかに異なり、これまた内湯同様に脱衣室から見て右側の方は源泉投入量が多くて湯加減もやや熱く、左側は投入量がいくらか絞り気味ですが入りやすい温度に調整されていました。


 
露天の湯口も接写しちゃいました。筒から迸る大量のお湯にはついつい見惚れてしまいます。さて肝心のお湯に関するインプレッションですが、見た目は内湯では灰白色を帯びて底が見えないほど強く濁っている一方、外光が燦燦と降り注ぐ露天風呂では明るい白濁に見え、底の様子も確認できるほどの透明度がありました。浴室に入った途端、何かが焦げたような香ばしい硫黄臭と石膏臭が鼻孔をくすぐり、鼻を湯口に近づけると明瞭な硫黄臭とともに刺激を有するアブラのような匂いや弱いアンモニア臭なども嗅ぎ取れます。また口に含むと弱い酸味と燻されたような苦味・渋味、石灰のような粉っぽい味、そして口腔に残るえぐ味が感じられました。入浴中はギシギシと引っかかる浴感とパウダリーな感触が肌に伝わりました。
浴室は綺麗でお湯も豊富という実に素晴らしい施設ですが、乳頭温泉郷という圧倒的な知名度の陰に隠れているためか、相対的に存在感が薄くなってしまうのが悲しい性。でもスキーシーズンには混雑が集中するんでしょうね。ネット上でも皆さんこちらの温泉を高く評価なさっているようですが、なるほど納得です。


水沢(混合)温泉
含硫黄-カルシウム・マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩温泉(硫化水素型)
58.6℃ pH6.6 1850L/min(自然湧出) 溶存物質2.27g/kg 成分総計2.64g/kg
Na+:151.9mg(23.86mval%), NH4+:14.3mg(2.85mval%), Mg++:106.5mg(31.62mval%), Ca++:207.5mg(37.36mval%),
Cl-:182.3mg(17.45mval%), HS-:5.9mg(0.61mval%), S2O3:3.0mg(0.17mval%), SO4--:805.1mg(56.89mval%), HCO3-:446.0mg(24.81mval%),
H2SiO3:278.6mg, CO2:358.0mg, H2S:16.7mg,

秋田県仙北市田沢湖生保内字下高野73-15
0187-46-2111
ホームページ

9:00~21:00 定休日あり(HP等で要確認)
500円
ロッカー(100円リターン式)・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (4)
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