温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

平小城温泉 城山公衆浴場

2013年07月18日 | 熊本県
 
前回ではリゾート的なアジアンテイストの温泉施設を取り上げましたが、その近所にありながらも全く逆のベクトルを示してる、伝統的な日本の田舎の小さな共同浴場が今回の主役です。その名は「平小城温泉 城山公衆浴場」。九州の温泉ファンにはお馴染みの浴場のようですね。平山阿蘇神社の辻向かいに位置しており、建物こそ各旅館や入浴施設へアクセスする道路に面しているのですが、戸口はその裏路地に向いているため、意外と見つけにくいかもしれませんね。まるで地域の公民館のような小さな建物が、長閑な田園風景の中にちょこんと佇んでいました。



周囲には「これぞ日本の田園」と言うべき、実に長閑な景色が広がっており、この時はちょうどヒバリが囀りながら辺りを飛び回っていました。こんなのんびりとした風景の木々に隠れるようにポツンポツンと多種多様な施設が点在しているのが、平山温泉の特徴であります。


 
敷地内には2つの小屋があるのですが、これは単なる倉庫なのでしょうか。あるいは源泉関係の施設なのでしょうか。湯屋の外壁には施設名が書かれた看板が立てかけられていました。かつてはこれで外来客を集めていたのかもしれませんが、今では知る人ぞ知る温泉として自己主張することなくひっそりとしています。



小屋の傍に赤く錆びきった金属の箱のような物体が放置されていたのですが、その物体に貼り付けられている丸っこいツバメのマークは、懐かしの丸善石油(※)ではありませんか!
(※)大協石油と丸善石油が合併したのが現在のコスモ石油です。


 
玄関の上がり框には手作り感溢れるダンボール製の料金箱が置かれていました。ここへ各自で料金を納めるわけですね。ワンコインのリーズナブルな温泉です。玄関の奥には休憩用のお座敷があり、ロッカーも設置されていました。



館内の流し台では源泉が汲めるんだそうです(料金100円要)。


 
浴室は男女別の内湯が一室ずつ。玄関を上がって右側が男湯で、ちょっと手前へ戻る感じで右側の廊下を進むと女湯になります。脱衣室は至ってシンプルでとてもコンパクト。ホームセンターで売っているようなアングル架台に、摘みとった果物を載せるような農業用のプラ籠が置かれています。
浴室のドアノブは外れており、代わりにタオルが巻きつけられていました。こうしたチープな雰囲気は、鄙びた温泉を好む我々マニアの心を思いっきりくすぐってくれますね。



浴室は実用本位の白いタイル貼りで、二分割された浴槽が据えられており、小さな浴槽の隅に湯口が設けられています。


 
実用的な公衆浴場ながらも、男女両浴室を仕切る塀の上には瓦が載せられており、単調な浴室にさりげないアクセントを加えています。これは地域のための小さな浴場ができる範囲内で頑張った精一杯のおめかしなのかもしれません。
洗い場にはシャワー付き混合水栓が2基設置されており、お湯のハンドルを捻ると源泉のお湯が出てきます。なお後述するようなお湯の特徴により、床がとても滑りやすく、私も2~3度バランスを崩しましたので、ご利用の際は足元にご注意を。


 
上述のように浴槽は大小に2分割されており、湯口からお湯が直接注がれる小さな方は2人サイズ、大きな方は4~5人サイズとなっています。お湯は湯口からまず小さな槽へ注がれ、そこからちょっと低い位置にある大きな方へと流れて、大きな槽の縁から洗い場の床へと溢れ出るように、一方通行の流れが出来上がっているのですが、小槽と大槽との高低差が僅かであるため、私が大槽へ入ったら大槽のお湯が小槽へ逆流することもありました。尤もそんな逆流はたまにしか発生しないわけでして、原則的には小から大へと流れてゆくため、小さな方はやや熱めである一方、大きな方はややぬるめで入りやすい湯加減になっていました。大きな浴槽は脱衣室側へ食い込むように配置されており、限られたスペースを有効に活用しようとした設計者の努力が垣間見れます。


 
お湯は無色透明で湯の花などは見受けられず、とても清らかに澄み切っていました。湯口に置かれているコップで飲泉してみますと、上品でまろやかながら芳醇で明瞭なタマゴ味が口腔内で転がるとともにふんわりとしたタマゴ臭が鼻へ抜け、清涼感のあるほろ苦みやアルカリ性単純泉によくある微収斂も感じられました。もちろんお湯を直接嗅いでもタマゴ臭が確認できます。お湯に体を沈めると、まるでローションの中に入っているかのような、ヌルヌルを伴う気持ち良いツルスベ浴感がはっきりと感じられ、小槽では肌へしっかりと気泡が付着してくれました。タマゴ感・ヌルツルスベ・アワアワという、私好みのお湯に出会えて、終始感激しながらの素晴らしい湯浴みを堪能することができました。佇まいのみならずお湯もブリリアントなのですから、九州の温泉ファンから熱い支持を受けているのも納得出来ますね。



帰りしなに館内に掲示されているレジオネラ属菌および大腸菌の検査報告書を一瞥したところ、ちょっと気になる記載を発見しました。温泉水の採取場所に注目。男性浴槽は「源泉ポンプ出口」と書かれていますが、女性浴槽は「第2号泉 ポンプ出口」となっていますね。ということは男湯と女湯では別個の源泉を浸かっているということなのでしょうか? となれば女湯のお湯も気になるところです。


アルカリ性単純硫黄温泉 42.1℃ 
(詳細なデータの掲示見当たらず)

山鹿バスセンターより産交バスの南関線(平山経由)で「平小城」バス停下車、徒歩9分(700m)
(山鹿バスセンターまでは熊本駅・玉名駅・肥後大津駅などから路線バスに乗車)
熊本県山鹿市平山5084-4  地図

13:00~21:00
100円
ロッカーあり、他備品類なし

私の好み:★★★
コメント
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