温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

乙部温泉 光林荘

2012年12月26日 | 北海道
※2015年の春に完全改築の上でリニューアルオープンしました。当記事は旧施設の様子を取り上げております。

 
2012年11月の道南における湯めぐりでは乙部温泉「光林荘」で宿泊しました。


 
今回通された「松竹の間」は10畳の和室です。北海道の旅館らしく、既に布団が敷かれていたので、着いて早々、その場で倒れるように一寝入りしてしまいました。
こちらのお宿では館内にWi-Fiが飛んでおり、室内まで届くので便利です。なおトイレや洗面台は共用です。


 
今回は楽天経由で2食付きで一泊8400円のプランを予約。夕食は食堂で17:00~21:00の間でいただきます(チェックイン時に時間を指定)。お刺身、タラバガニ、ブリの味噌煮、イカやイクラの小鉢、そしてウニとキノコのお鍋など、北海道の海の幸を中心に彩られた献立で、ご飯も道産米でした。
この日は私の他にも数組のお客さんがお泊りでしたが、なぜかほとんどは仕事で利用する男性一人客でした。



こちたは朝食。ロールキャベツの他、焼き魚・タコの刺し身・スジコ・卵焼き・小魚の佃煮といったラインナップで、ボリュームたっぷりでした。


 
さてさてお風呂へ向かいましょう。浴室入口には自販機が何台か並んでおり、またその前の空間にはちょっと草臥れたリクライニングチェアやフットマッサージ機が設置されていました。あまり広くない空間に灰皿が3つも置かれているためか、タバコの苦手な私はちょっと眉を顰めたくなるような臭いが辺りに漂っています。なお脱衣室内にはロッカーが無いので、貴重品は女湯入口前にある貴重品用ロッカーへ預けましょう。


 
脱衣室は古色蒼然とした昭和の旅館そのもの。洗面台は2台設置されています。ドライヤーは予め備え付けられているコインタイマー式が故障していたので、その代替としてパワーが弱い古い機種(無料)が用意されていました。


 
お風呂は内湯のみで露天はありません。年季の入った浴室ですが、芒硝臭と湯気が充満する室内はとっても広く、周囲をガラスのサッシが囲っているので、室内とはいえ意外と開放的でした。浴槽は大小2つが窓際に据えられ、いずれも岩によって縁取られています。床に敷かれている鉄平石は表面を流れる温泉のオーバーフローによって赤く染まっていました。
浴室の右側にはシャワー付き混合水栓が7基(うち1箇所はシャワー無し)並んでいる他、なぜか小浴槽の隣にも一つだけ独立して取り付けられており、そのカランの手前には砂利が敷き詰められていました。


 
画像左(上)は小浴槽です。上述のように隣接してシャワーが1基取り付けられ、その手前に砂利が敷かれているのがわかるかと思います。なぜこんなレイアウトにしたのかは不明。一方、画像右(下)が大きな主浴槽でして、まるでプールを彷彿とさせるような大きさです。両者には同じ源泉のお湯が落とされているはずですが、厳密に区分しますと、小浴槽は小貯湯槽にストックされたお湯が、大浴槽には大貯湯槽のお湯がそれぞれ供給されているんだそうでして、湯使いの違いからか、小浴槽の方が色の赤みが若干強いように私の目には映りました。



両浴槽の間には源泉が落とされる湯口と、そのお湯を一旦受ける湯溜まりがあるのですが、この湯口がちょっとおもしろいのです。源泉温度が高いため、温度調整のために加水しているようですが、極力その加水を避けたいのか、普段はチョロチョロ程度にしかお湯が落とされておらず、もし湯加減を熱めにしたければ、客が自分で操作して投入量を一時的に増加させることができるのです。


 
まず小さな浴槽の方から実際に操作してみましょう。先っちょに二又の金具がついてる棒を手に持ち、吐出口付近に立っている黒いフロートをその金具でグイッと押し下げると…



リレーが働いてポンプが作動し、直接手で触れないほどアツアツの源泉がドバドバ出てきて、あっという間に湯船の温度が上がってゆきます。



あんまり長い間源泉を吐出させていると、湯船はかなり熱くなっちゃいますから、程々のところで棒をフロートスイッチから外すと、ちょっと間を措いてから吐出も弱まり、元通りのチョロチョロ状態に戻ります。フロートを用いているので、こうして意図的に操作しなくとも、多客時などで湯船の嵩が減った時には自動的にお湯が補充されるのでしょう。こんな操作を客が行う施設って珍しいですね。


  

続いて大きな浴槽でも実践してみました。こちらも基本的な原理は同じなのですが、強く濁った湯面下にフロートがあるため位置がわかりにくく、しかも構造も小さな方とは異なっているため、ちょっと面倒かもしれません。こちらでは先に細い針金がついた棒を使い、図に従って手探りでフロートが収まっている塩ビ管の穴を探しつつ、その穴に棒を突っ込んで管の中のフロートをクイっと下げると、電磁弁が作動して激熱の源泉が大量に吐き出されます。

肝心のお湯に関してですが、見た目は赤銅色というべきか、赤みを帯びた橙色に強く濁り、透明度は20~25cm程度で浴槽の底は全く見えません。口に含むと甘めながら明瞭な塩味、芒硝味、そして金気味やホウ酸味が感じられ、芒硝臭や金気臭の他、微かにアンモニア臭も湯面から漂っていました。この手のお湯から想像されるようなギシギシ感ではなく、むしろツルスベ浴感が得られ、良好な鮮度感が肌に伝わってきます。とてもよく温まり、保温効果も長く持続するので、寒い冬にはもってこいです。
なお夜9時以降になると俄然外来入浴客(主に地元客)が増える傾向にあるようです。隣接する公営入浴施設「いこいの湯」は営業時間が夜9時までなのですが、こちらは10時まで対応してるので、「いこいの湯」の営業時間に間に合わなかったお客さんがやってくるわけですね。

リーズナブルなお値段でボリューム満点の料理と濃厚な掛け流しのお湯が堪能できる、旅行者の懐にやさしいお宿でした。


乙部町館浦源泉2号井
ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 74.5℃ pH7.2 320L/min(動力揚湯) 溶存物質5.794g/kg 成分総計5.839g/kg
Na+:1808mg(94.20mval%),
Cl-:956.6mg(32.51mval%), SO4--:2205mg(55.31mval%), HCO3--:604.3mg(11.93mval%),
H2SiO3:66.6mg, HBO2:35.1mg, CO2:44.7mg,
温度調整のため井戸水を加水

北海道爾志郡乙部町館浦527-2  地図
0139-62-3347
ホームページ

日帰り入浴11:00~22:00
400円
貴重品用ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
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江差町 みどりヶ丘の湯っこ

2012年12月25日 | 北海道
 
江差町民の憩いの場である「みどりヶ丘の湯っこ」を利用してまいりました。市街地のセブンイレブン向かいに立つ看板に従って狭い路地へ入り、丘へ上がる住宅街の登り坂を進んでいった突き当たりが今回の目的地です。この施設は15時からの営業ですが、それ以前の時間帯ですと駐車場へ上がる手前の坂にあるゲートが固く閉ざされているため、構内に入ることはできません。


 
駐車場の収容台数はかなり多く、満車で困るようなことはなさそうです。一方、建物の外観は仮設を思わせるような簡素な佇まいですね。施設前はちょっとした展望台になっていて、江差の町を見晴らすことができました。特に私が訪れた夕刻には夕陽がとっても綺麗でしたよ。



入口前に建てられたこのプレハブ小屋は喫煙室のようです。公共施設なので分煙化が徹底されているのでしょうね。私は全くタバコとは無縁の生活を送っているので無問題ですが、せっかく気持ち良い高台にもかかわらず紫煙を燻らせたければこの狭い小屋に入らなきゃいけないようで、愛煙家の方がちょっと気の毒…。



本棟の山側にはアクリル波板で囲われた飾り気ない頑丈そうなコンクリ造の建造物が隣接しているのですが、これって源泉施設でしょうか?


 
仮設っぽい外観とは裏腹に、館内はとっても綺麗で明るくしっかりとした造りです。玄関を入って券売機で支払い、受付のおばちゃんに券を渡して浴室へと向かいます。なお受付を挟んで浴室と反対側には、ちょっとした休憩用の小上がりが設けられています。


 
脱衣室は公衆浴場そのもので実用本位ですが、ロッカーが見当たらなかったので、貴重品は受付に預けた方がいいのかしら?
室内にはドライヤーが一台用意されていましたが、こちらでは使用ごとにコンセントを抜くのが暗黙のマナーとなっているようです。


 
内湯はタイル材の他に木材も多用されており、浴槽の縁や男女両浴室を仕切る塀にはヒバ材が用いられています。アクセント程度でも良いので浴室に木材を組み込むと、柔らかな印象とぬくもりがもたらされますね。浴槽は10人前後のサイズで、上述のように縁はヒバですが内部はタイル貼りです。木組みの湯口から源泉が注がれ、縁に繰り抜かれた細長い穴から絶え間なくオーバーフローしていました。湯温は42~43℃といったところ。主浴槽の隣には浅い造りの小浴槽があり、訪問時にはぬるいお湯だったのですが、普段は熱いお湯が張られているようです。

室内の右側にはシャワー付きの水栓が8基並んでいます。水栓からは源泉のお湯が出てくるのですが、シャワー・スパウトともにボタンを押すオートストップ式で、温度や吐出量の調整はできず、お湯オンリーです。



露天風呂は床も壁も柱も梁も全てがヒバ材使用という贅沢で造りで、公衆浴場らしからぬ立派な風格が漂っていました。この日は冬支度なのか周囲をサッシで囲んでおり、露天というよりも第二内湯といった状態でしたが、ちゃんと外気が流れこむようになっていますし、浴槽のまわりには腰掛けも設置されているので、私はお湯でのぼせたら腰掛けに座って冷たい外気でクールダウンするという入浴法を繰り返しました。


 
浴槽も縁はヒバ材ですが槽内はタイル貼りです。内湯と同じく鮮度感良好なキリリとしたお湯が掛け流されています。含芒硝・重曹泉のお湯はややモスグリーンを帯びつつも赤みを有した黄土色に濁っており、その濁りは底が見えないほどです。大して熱いお湯でもないおに入りしなは脛がピリピリしたのですが、これは泉質由来かもしれません。土気と金気が混じりあうこの手のお湯らしい味や匂いが感じられますが、あまり酸化が進んでいない新鮮なお湯だからか、意外と金気味は弱かったように記憶しています。ツルスベとキシキシが拮抗する浴感でして、露天風呂は外気の影響を受けるために適温の内湯より若干低く、体感では41~42℃くらいでしたが、この湯加減のお陰でゆっくり全身浴することができました。

木の床はちょっと滑りやすいのですが、タイルや石とは違う、木材ならではの優しくソフトな肌触りがとても心地よく、お湯と木材のぬくもりが相乗効果をもたらして、良い一層の寛ぎが得られるようでした。やっぱり総木造のお風呂は快適ですね。感触はもちろんのこと、その空間に居るだけでリラックスできますし、お湯まで風格を帯びているように感じられます。
ヒバならではの優しさに包まれながらかけ流しのお湯が堪能できちゃう素敵なお風呂でした。


ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩温泉 51.3℃ pH7.8 180L/min(動力揚湯) 溶存物質1.381g/kg 成分総計1.394g/kg
Na+:363.2mg(89.42mval%),
Cl-:72.3mg(11.49mval%), SO4--:331.6mg(38.85mval%), HCO3-:525.1mg(48.48mval%),

JR江差線・江差駅より徒歩20~25分(1.6km)
北海道檜山郡江差町字緑丘172  地図
0139-52-6310

15:00~21:00 第一金曜日定休
390円
ドライヤーあり、入浴道具販売あり、ロッカー見当たらず

私の好み:★★★


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湯ノ岱 河原の露天風呂と神社の手水

2012年12月24日 | 北海道
今回は小ネタです。あしからず。

 
北海道上ノ国町の湯ノ岱地区を流れる清流天野川(天の川)。何ともメルヘンチックな名前ですね。


 
天野川に架かる湯ノ岱大橋の上からは、以前取り上げたことがある湯ノ岱温泉「上ノ国町国民温泉保養センター」が臨めます。何度思い出してもいいお湯です。また入りたいなぁ。



さて橋から下流側の河原を眺めますと、草むらの真ん中に何やら大きな池らしきものがあるのですが、この画像じゃ藪に隠れてよく判別つきませんね。



ということで、2年前の真冬にJR江差線に乗って当地を訪れた際に、同じ方角で撮影した画像を引っ張りだしてみました。河原の真ん中に瓢箪を横にしたような大小2つの池らしきものが存在していることを確認できるかと思います。既に「あそこには何かあるな」と予感していたのですが、この時は吹雪いていたため調査を断念し、今回2年越しで再訪問することとなったのです。



橋から土手を歩いて100メートルあるかないかで、すぐに目標物に到達です。土手のすぐ下には大小2つの円形のプールが設けられているのですが、てっきり自然にできた池かと思いきや、周囲は石で護岸され、内部はモルタルで固められており、形状もきれいな真円ですから、明らかに本格的な工事によって建設された人工物だとわかります。


 
土手側に位置している小さなプールが凄い!
中央の底に嵌められているグレーチングからは、ブクブクジュワジュワと音を轟かせながら、アブクとともにすごい勢いで大量のお湯が湧き上がっているのです。つまりこの人工池は露天風呂なんですね。



温度を計測してみると30.3℃でした(外気温8.6℃)。上述の「上ノ国町国民温泉保養センター」の1号井源泉は湧出温度が33.7℃ですから、それに近い温度ですね。泉質も同じような炭酸ガスたっぷりの含土類-食塩泉かと想像されますが、10℃を下回る屋外で30℃のお湯はあまりにぬるすぎますし、槽内には明るいオレンジ色のヌメヌメした泥みたいなものが分厚く覆ってとっても気持ち悪かったので、今回は残念ですが入浴を断念しました。夏に入るとさぞかし爽快なのかもしれませんが、お湯と炭酸ガスという組み合わせはアブをおびき寄せる格好の材料であり、しかも河原という環境ですから、この露天風呂に気持ちよく入れるシーズンにはアブの猛襲に見舞われちゃうんでしょう…。



 
つづいて天野川の左岸、湯ノ岱大橋近くの集落に鎮座する小さな神社へ。


 
鳥居をくぐって境内に入ると、祠の傍には朽ち果てた木枠の手水跡が。


 
落ち葉で埋め尽くされている手水ですが、内部には水が溜まっており、その縁をよく観察してみますと、ブクブクと間断的に泡が上がっていることがわかります。しかも複数箇所でその現象が確認できます。



温度計を突っ込んでみたら14.0℃でした。試しに手水の中に指先を入れて、ちょっと口に含んでテイスティングしてみると、湯ノ岱温泉らしい味、即ち塩味+出汁味+土気味+炭酸味がミックスしたような味がほんのりと舌に残りました。つまり湯ノ岱温泉と同系列の冷鉱泉なのであります。この一帯では、温度の差こそあれ、含土類-食塩泉があちこちで湧出してるんですね。




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知内温泉 ユートピア和楽園 知内温泉旅館 後編

2012年12月23日 | 北海道
前回記事(知内温泉 ユートピア和楽園 知内温泉旅館 前編)の続きです。


旧浴室に続いて、今度は新浴室と露天風呂へと向かいましょう。一旦帳場まで戻り、更にそこを通過して反対側へと廊下を進んでゆきます。突き当たりのクランクを抜けると別棟へと移り、同時に浴室入口が目に入ってきました。1台のマッサージチェアーを挟んで右手が女湯で左手が男湯。


 
こちらの脱衣室は旧浴室と比べてはるかに狭く、旅館というより民宿やジモ専クラスのこじんまりした空間です。室内には昭和4年の分析表の写しが掲示されていまして、その中から主要な数値をピックアップしてみますと、固形物総量2.4860g/kg、クロール(塩化)ナトリウム0.9424、クロールカルシウム0.5546、クロールカリウム0.2392、硫酸カルシウム0.2816、重炭酸カルシウム0.3515などとなっています。現在では溶存物質3.010g/kg(成分総計3.580g/kg)ですから戦前は現在よりも成分が薄かったようですね。


 
脱衣室同様に浴室も旧浴室と比べたら一回りも二回りも小さく、そんな室内には浴槽が大小2つに分かれて据えられています。大きな方は主浴槽で、小さな方は浅い造りの寝湯になっています。丸太を積み上げたような意匠の男女仕切りの上には、旧浴室と同じく木を模した飾りが立っていました。洗い場にはシャワー付き混合水栓が3基設置されており、シャンプーなどはありませんが石鹸でしたら備え付けが用意されていました。


 
左側の浴槽(画像左または上)は寝湯で、右側の浴槽(画像右または下)が主浴槽です。主浴槽は6~7人サイズなのですが、槽内では男女間の仕切りが無く、両浴室で一体型となっていました。一方寝湯には丸太が2本横たえられており、これを枕にして入浴するもの思われます。


 
主浴槽の隅の石組みから源泉が主浴槽へと注がれており、お湯は一旦主浴槽を満たしてから隣の寝湯へと流れ、寝湯から排水口へと落とされています。旧浴室と同じく床には千枚田のような石灰華が形成されていますが、湯口→主浴槽→排水口という流れができており、旧浴室と比べ浴槽から床へ流れるオーバーフロー量が少ないためか、こちらの千枚田はボリュームが少なく、析出がタイルにこびりついている程度です。

お湯はやや橙色を帯びた山吹色に笹濁り、赤みが強い橙色の湯華が湯中で沢山浮遊しています。また寝湯には温泉成分による粉状の膜が浮かんでいました。こうした浮遊物は浴槽内にも多く沈殿しているのか、槽内に触れた足裏や手のひらはオレンジ色に染まっていました。湯口に置かれているコップで飲泉してみると、薄い塩味+石灰味+赤錆系新鮮金気味+重炭酸土類泉的な味覚+炭酸味といったように、旧浴室よりも複雑な味が舌に残り、特に炭酸味については口腔内にしぶとく残って独特の酸味を主張していました。ツルスベとキシキシが混在する浴感ですが、旧浴室のお湯よりもキシキシが強いように感じられました。



最後に露天風呂へ。


 
客室が並ぶ廊下を歩くと途中で露天風呂へ出る扉があるので、そこから屋外に出てアクリル板に囲まれた専用通路を進みます。



すると旅館の裏手に出てきました。この立方体のコンクリの塔は温泉の源泉井でしょうか。


 
アクリル波板の囲いが無くなると、その正面に露天風呂の東屋が目に入ってきました。一応囲いはあるもののかなりオープンな造りになっており、脱衣もこの東屋にて行うんですね。露天はこのひとつしかないので混浴になるわけですが、女性にはちょっとハードルが高いかもしれません。


 
露天の湯船には新浴室と同じ源泉が注がれており、お湯は橙色を帯びた山吹色に濁っています。実際に入ってみますと、とっても心地よい湯加減でした。湯船の上は屋根に覆われていますから、多少の雨や雪でしたら支障なく入浴できるかと思います。



日本庭園風の露天風呂。湯船の傍では紅葉が燃え盛るような真紅に色づいていました。



湯ノ里4号井(甲)
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 49.6℃ pH6.7 370L/min(動力揚湯) 溶存物質3.010g/kg 成分総計3.580g/kg 
Na+:675.0mg(69.00mval%), Mg++:53.5mg(10.34mval%), Ca++:115.4mg(13.54mval%),
Cl-:855.9mg(56.61mval%), HCO3-:1067mg(41.02mval%),
H2SiO3:55.0mg, HBO2:26.2mg, CO2:569.9mg,


北海道上磯郡知内町湯の里284  地図
01392-6-2341

7:00~21:00
430円
ロッカー有料(100円)・石鹸あり・ドライヤーなし

私の好み:★★
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知内温泉 ユートピア和楽園 知内温泉旅館 前編

2012年12月22日 | 北海道

前回取り上げた野湯「展望台の湯」から戻った後、きちんとしたお風呂に入って衛生的になりたく、その近くにある「知内温泉旅館」で日帰り入浴してまいりました。秘湯を守る会に属する一軒宿のこちらは北海道で最も古い温泉らしく、源頼家の家来一団が金山を見つけるべく、宝治元年に労働者数百名を引率しながら津軽海峡を渡って知内へやってきた際に、その鉱夫たちが打身や切傷に効能のある温泉の湧出を発見したんだそうです。宝治年間ですと既に頼家はあの世に逝っちゃってますので話の整合性には首を傾げたくなりますが、元号の方を基準にして計算してみますと765年前に開湯されたことになりますね。といっても、この歴史はあくまで大和民族(和人)の目線で語ったものであり、入浴利用の有無はともかく、アイヌの方々ははるか以前から道内各地で温泉の恵みを享受していたはずですから、本当の歴史は更に遡るのでしょう。

館内に入るとご主人が快く日帰り入浴を受付けてくださいました。玄関左手の帳場にて料金を支払います。こちらには旧浴室・新浴室・露天という3つのお風呂がありますが、まずは帳場左側の旧浴室へ向かうことにしました。



旧浴室へ向かう途中の廊下やそれに面する客室は、改装されていてとっても綺麗です。


 
鍵が開いていた客室があったので、ちょっと覗かせてもらいました。広いお部屋は和洋折衷といった造りで、ベッドとお座敷が用意されており、畳の上の布団が苦手な方も、旅館といえば和室に限るというこだわりを持つお客さんも、幅広く受け入れることができるハードが用意されていました。当地は北海道新幹線の開業を控えていますから、いろんなニーズに答えられる体制が求められているわけですね。


 
通路の突き当たりには旧来の建物が未改修のまま利用されており、左手は休憩スペース、右手は旧浴室の入口となっています。


 
僻地の鄙びた旅館らしい風情を強く漂わせる古色蒼然とした脱衣室。


 
浴室に入って驚いたのが、床をびっしりと覆い尽くす千枚田状態の石灰華です。山を越えたお隣の上ノ国町にある湯ノ岱温泉を思い出してしまいますが、この辺りはこうした石灰華を生成しやすい温泉が多い地域なのかもしれませんね。


 
洗い場にはシャワー付き混合水栓が3基取り付けられており、コックを捻ると沸かし湯が出てきます。男女両浴室を仕切る塀は石積みのような造りでやや低めですが、かといって向こう側のお風呂が見えちゃうわけではありませんから、殿方は下手な期待を抱かないように…。この仕切り塀の上には木を模した飾りが立っており、無機質なコンクリの浴室にアクセントを加えていました。


 
浴室の右隅には打たせ湯状の湯口があって、大きな浴槽へ絶え間なく源泉を落としているのですが、この湯口周りに付着した析出がなかなか立派でして、石積みの壁にベージュの石灰析出がコンモリと大きく盛り上がっており、温泉ファンでなくともその姿には目を奪われること必至です。



床や湯口周りのみならず、上画像のように浴槽の底も爬虫類の鱗みたいに石灰がボコボコとこびりついて、底一面に細かな起伏を作り出していました。
お湯はほぼ無色透明ですが僅かにベージュ色を帯びているように見えます。打たせ湯のそばに置かれているコップで飲んでみますと、薄い塩味と石灰味が感じられ、粉っぽく且つ重い感じの味わいです。重炭酸土類泉的なキシキシとした浴感も伴っているものの、基本的には食塩泉や重曹泉らしいツルスベ浴感が勝っており、湯上りはとてもよく温まります。脱衣室には3つの源泉の分析表が掲示されており、どの源泉をいかに使用しているのかはよくわかりませんが、ネット上の情報によれば、男湯と女湯では使用源泉が異なっているんだそうです(どうやら女湯では1号井の源泉が使われているらしい)。



浴室の外には湯倉神社という小さなお社があり、窓を開けると鳥居の傍に立っている紅葉が鮮明な真紅に染まっていました。

続いて新浴室と露天風呂を取り上げますが、文章が長くなってしまうので、それらについては次回(後編)にまわします。


湯ノ里1号井(乙)
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 65.0℃ (自然湧出)

湯ノ里2号井(丙)
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 60.4℃ pH6.6 湧出量不明(自然湧出) 溶存物質3.148g/kg 成分総計3.426g/kg 
Na+:735.5mg(69.69mval%), Mg++:55.9mg(10.02mval%), Ca++:122.4mg(13.31mval%),
Cl-:900.3mg(57.56mval%), HCO3-:1078mg(40.06mval%),
H2SiO3:57.3mg, HBO2:27.1mg, CO2:278.3mg,

湯ノ里3号井(丁)
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉 54.1℃ pH7.0 61L/min(自然湧出)


所在地や営業時間・料金などに関しては次回(後編)記事にて掲載します。

次回に続く
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