※2015年の春に完全改築の上でリニューアルオープンしました。当記事は旧施設の様子を取り上げております。
2012年11月の道南における湯めぐりでは乙部温泉「光林荘」で宿泊しました。
今回通された「松竹の間」は10畳の和室です。北海道の旅館らしく、既に布団が敷かれていたので、着いて早々、その場で倒れるように一寝入りしてしまいました。
こちらのお宿では館内にWi-Fiが飛んでおり、室内まで届くので便利です。なおトイレや洗面台は共用です。
今回は楽天経由で2食付きで一泊8400円のプランを予約。夕食は食堂で17:00~21:00の間でいただきます(チェックイン時に時間を指定)。お刺身、タラバガニ、ブリの味噌煮、イカやイクラの小鉢、そしてウニとキノコのお鍋など、北海道の海の幸を中心に彩られた献立で、ご飯も道産米でした。
この日は私の他にも数組のお客さんがお泊りでしたが、なぜかほとんどは仕事で利用する男性一人客でした。
こちたは朝食。ロールキャベツの他、焼き魚・タコの刺し身・スジコ・卵焼き・小魚の佃煮といったラインナップで、ボリュームたっぷりでした。
さてさてお風呂へ向かいましょう。浴室入口には自販機が何台か並んでおり、またその前の空間にはちょっと草臥れたリクライニングチェアやフットマッサージ機が設置されていました。あまり広くない空間に灰皿が3つも置かれているためか、タバコの苦手な私はちょっと眉を顰めたくなるような臭いが辺りに漂っています。なお脱衣室内にはロッカーが無いので、貴重品は女湯入口前にある貴重品用ロッカーへ預けましょう。
脱衣室は古色蒼然とした昭和の旅館そのもの。洗面台は2台設置されています。ドライヤーは予め備え付けられているコインタイマー式が故障していたので、その代替としてパワーが弱い古い機種(無料)が用意されていました。
お風呂は内湯のみで露天はありません。年季の入った浴室ですが、芒硝臭と湯気が充満する室内はとっても広く、周囲をガラスのサッシが囲っているので、室内とはいえ意外と開放的でした。浴槽は大小2つが窓際に据えられ、いずれも岩によって縁取られています。床に敷かれている鉄平石は表面を流れる温泉のオーバーフローによって赤く染まっていました。
浴室の右側にはシャワー付き混合水栓が7基(うち1箇所はシャワー無し)並んでいる他、なぜか小浴槽の隣にも一つだけ独立して取り付けられており、そのカランの手前には砂利が敷き詰められていました。
画像左(上)は小浴槽です。上述のように隣接してシャワーが1基取り付けられ、その手前に砂利が敷かれているのがわかるかと思います。なぜこんなレイアウトにしたのかは不明。一方、画像右(下)が大きな主浴槽でして、まるでプールを彷彿とさせるような大きさです。両者には同じ源泉のお湯が落とされているはずですが、厳密に区分しますと、小浴槽は小貯湯槽にストックされたお湯が、大浴槽には大貯湯槽のお湯がそれぞれ供給されているんだそうでして、湯使いの違いからか、小浴槽の方が色の赤みが若干強いように私の目には映りました。
両浴槽の間には源泉が落とされる湯口と、そのお湯を一旦受ける湯溜まりがあるのですが、この湯口がちょっとおもしろいのです。源泉温度が高いため、温度調整のために加水しているようですが、極力その加水を避けたいのか、普段はチョロチョロ程度にしかお湯が落とされておらず、もし湯加減を熱めにしたければ、客が自分で操作して投入量を一時的に増加させることができるのです。
まず小さな浴槽の方から実際に操作してみましょう。先っちょに二又の金具がついてる棒を手に持ち、吐出口付近に立っている黒いフロートをその金具でグイッと押し下げると…
リレーが働いてポンプが作動し、直接手で触れないほどアツアツの源泉がドバドバ出てきて、あっという間に湯船の温度が上がってゆきます。
あんまり長い間源泉を吐出させていると、湯船はかなり熱くなっちゃいますから、程々のところで棒をフロートスイッチから外すと、ちょっと間を措いてから吐出も弱まり、元通りのチョロチョロ状態に戻ります。フロートを用いているので、こうして意図的に操作しなくとも、多客時などで湯船の嵩が減った時には自動的にお湯が補充されるのでしょう。こんな操作を客が行う施設って珍しいですね。
続いて大きな浴槽でも実践してみました。こちらも基本的な原理は同じなのですが、強く濁った湯面下にフロートがあるため位置がわかりにくく、しかも構造も小さな方とは異なっているため、ちょっと面倒かもしれません。こちらでは先に細い針金がついた棒を使い、図に従って手探りでフロートが収まっている塩ビ管の穴を探しつつ、その穴に棒を突っ込んで管の中のフロートをクイっと下げると、電磁弁が作動して激熱の源泉が大量に吐き出されます。
肝心のお湯に関してですが、見た目は赤銅色というべきか、赤みを帯びた橙色に強く濁り、透明度は20~25cm程度で浴槽の底は全く見えません。口に含むと甘めながら明瞭な塩味、芒硝味、そして金気味やホウ酸味が感じられ、芒硝臭や金気臭の他、微かにアンモニア臭も湯面から漂っていました。この手のお湯から想像されるようなギシギシ感ではなく、むしろツルスベ浴感が得られ、良好な鮮度感が肌に伝わってきます。とてもよく温まり、保温効果も長く持続するので、寒い冬にはもってこいです。
なお夜9時以降になると俄然外来入浴客(主に地元客)が増える傾向にあるようです。隣接する公営入浴施設「いこいの湯」は営業時間が夜9時までなのですが、こちらは10時まで対応してるので、「いこいの湯」の営業時間に間に合わなかったお客さんがやってくるわけですね。
リーズナブルなお値段でボリューム満点の料理と濃厚な掛け流しのお湯が堪能できる、旅行者の懐にやさしいお宿でした。
乙部町館浦源泉2号井
ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 74.5℃ pH7.2 320L/min(動力揚湯) 溶存物質5.794g/kg 成分総計5.839g/kg
Na+:1808mg(94.20mval%),
Cl-:956.6mg(32.51mval%), SO4--:2205mg(55.31mval%), HCO3--:604.3mg(11.93mval%),
H2SiO3:66.6mg, HBO2:35.1mg, CO2:44.7mg,
温度調整のため井戸水を加水
北海道爾志郡乙部町館浦527-2 地図
0139-62-3347
ホームページ
日帰り入浴11:00~22:00
400円
貴重品用ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★
2012年11月の道南における湯めぐりでは乙部温泉「光林荘」で宿泊しました。
今回通された「松竹の間」は10畳の和室です。北海道の旅館らしく、既に布団が敷かれていたので、着いて早々、その場で倒れるように一寝入りしてしまいました。
こちらのお宿では館内にWi-Fiが飛んでおり、室内まで届くので便利です。なおトイレや洗面台は共用です。
今回は楽天経由で2食付きで一泊8400円のプランを予約。夕食は食堂で17:00~21:00の間でいただきます(チェックイン時に時間を指定)。お刺身、タラバガニ、ブリの味噌煮、イカやイクラの小鉢、そしてウニとキノコのお鍋など、北海道の海の幸を中心に彩られた献立で、ご飯も道産米でした。
この日は私の他にも数組のお客さんがお泊りでしたが、なぜかほとんどは仕事で利用する男性一人客でした。
こちたは朝食。ロールキャベツの他、焼き魚・タコの刺し身・スジコ・卵焼き・小魚の佃煮といったラインナップで、ボリュームたっぷりでした。
さてさてお風呂へ向かいましょう。浴室入口には自販機が何台か並んでおり、またその前の空間にはちょっと草臥れたリクライニングチェアやフットマッサージ機が設置されていました。あまり広くない空間に灰皿が3つも置かれているためか、タバコの苦手な私はちょっと眉を顰めたくなるような臭いが辺りに漂っています。なお脱衣室内にはロッカーが無いので、貴重品は女湯入口前にある貴重品用ロッカーへ預けましょう。
脱衣室は古色蒼然とした昭和の旅館そのもの。洗面台は2台設置されています。ドライヤーは予め備え付けられているコインタイマー式が故障していたので、その代替としてパワーが弱い古い機種(無料)が用意されていました。
お風呂は内湯のみで露天はありません。年季の入った浴室ですが、芒硝臭と湯気が充満する室内はとっても広く、周囲をガラスのサッシが囲っているので、室内とはいえ意外と開放的でした。浴槽は大小2つが窓際に据えられ、いずれも岩によって縁取られています。床に敷かれている鉄平石は表面を流れる温泉のオーバーフローによって赤く染まっていました。
浴室の右側にはシャワー付き混合水栓が7基(うち1箇所はシャワー無し)並んでいる他、なぜか小浴槽の隣にも一つだけ独立して取り付けられており、そのカランの手前には砂利が敷き詰められていました。
画像左(上)は小浴槽です。上述のように隣接してシャワーが1基取り付けられ、その手前に砂利が敷かれているのがわかるかと思います。なぜこんなレイアウトにしたのかは不明。一方、画像右(下)が大きな主浴槽でして、まるでプールを彷彿とさせるような大きさです。両者には同じ源泉のお湯が落とされているはずですが、厳密に区分しますと、小浴槽は小貯湯槽にストックされたお湯が、大浴槽には大貯湯槽のお湯がそれぞれ供給されているんだそうでして、湯使いの違いからか、小浴槽の方が色の赤みが若干強いように私の目には映りました。
両浴槽の間には源泉が落とされる湯口と、そのお湯を一旦受ける湯溜まりがあるのですが、この湯口がちょっとおもしろいのです。源泉温度が高いため、温度調整のために加水しているようですが、極力その加水を避けたいのか、普段はチョロチョロ程度にしかお湯が落とされておらず、もし湯加減を熱めにしたければ、客が自分で操作して投入量を一時的に増加させることができるのです。
まず小さな浴槽の方から実際に操作してみましょう。先っちょに二又の金具がついてる棒を手に持ち、吐出口付近に立っている黒いフロートをその金具でグイッと押し下げると…
リレーが働いてポンプが作動し、直接手で触れないほどアツアツの源泉がドバドバ出てきて、あっという間に湯船の温度が上がってゆきます。
あんまり長い間源泉を吐出させていると、湯船はかなり熱くなっちゃいますから、程々のところで棒をフロートスイッチから外すと、ちょっと間を措いてから吐出も弱まり、元通りのチョロチョロ状態に戻ります。フロートを用いているので、こうして意図的に操作しなくとも、多客時などで湯船の嵩が減った時には自動的にお湯が補充されるのでしょう。こんな操作を客が行う施設って珍しいですね。
続いて大きな浴槽でも実践してみました。こちらも基本的な原理は同じなのですが、強く濁った湯面下にフロートがあるため位置がわかりにくく、しかも構造も小さな方とは異なっているため、ちょっと面倒かもしれません。こちらでは先に細い針金がついた棒を使い、図に従って手探りでフロートが収まっている塩ビ管の穴を探しつつ、その穴に棒を突っ込んで管の中のフロートをクイっと下げると、電磁弁が作動して激熱の源泉が大量に吐き出されます。
肝心のお湯に関してですが、見た目は赤銅色というべきか、赤みを帯びた橙色に強く濁り、透明度は20~25cm程度で浴槽の底は全く見えません。口に含むと甘めながら明瞭な塩味、芒硝味、そして金気味やホウ酸味が感じられ、芒硝臭や金気臭の他、微かにアンモニア臭も湯面から漂っていました。この手のお湯から想像されるようなギシギシ感ではなく、むしろツルスベ浴感が得られ、良好な鮮度感が肌に伝わってきます。とてもよく温まり、保温効果も長く持続するので、寒い冬にはもってこいです。
なお夜9時以降になると俄然外来入浴客(主に地元客)が増える傾向にあるようです。隣接する公営入浴施設「いこいの湯」は営業時間が夜9時までなのですが、こちらは10時まで対応してるので、「いこいの湯」の営業時間に間に合わなかったお客さんがやってくるわけですね。
リーズナブルなお値段でボリューム満点の料理と濃厚な掛け流しのお湯が堪能できる、旅行者の懐にやさしいお宿でした。
乙部町館浦源泉2号井
ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉 74.5℃ pH7.2 320L/min(動力揚湯) 溶存物質5.794g/kg 成分総計5.839g/kg
Na+:1808mg(94.20mval%),
Cl-:956.6mg(32.51mval%), SO4--:2205mg(55.31mval%), HCO3--:604.3mg(11.93mval%),
H2SiO3:66.6mg, HBO2:35.1mg, CO2:44.7mg,
温度調整のため井戸水を加水
北海道爾志郡乙部町館浦527-2 地図
0139-62-3347
ホームページ
日帰り入浴11:00~22:00
400円
貴重品用ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★