10月も半ばになり、秋も深まってきた。下は色付いてきた公園のイチョウ。
食べるものがおいしい季節になったが、それにつけ想うのはこの春に亡くなった母の食事を介護していた頃のことだ。
加齢により歯を失えば硬いものが食べられなくなり、さらに寝たきりになれば飲み込みが難しくなってゆく。特に水様性のサラサラのものが飲み込みづらくなる。これは、飲み込む時に食道と気管の切り替がうまくいかなくなってくるためで「誤嚥(ゴエン)」しやすく、つまりはムセやすくなってくる。さらに食べたものや唾液が気管から肺に入ると肺炎になってしまう。「誤嚥性肺炎」と言われているが、人は体を動かせなくなると内部の機能まで失われていくものなのだ。背中をさすり、顎をマッサージしながらゆっくりとゼリー飲料や介護食でなんとか一日の栄養を摂取して命を保ってゆく。それが、ときには何年も続く先の見えない状態になるので介護者は時に苛立ち疲れてしまうことも多い。
母の場合は一回の食事にかかる時間は20分から30分くらいだったので比較的短い方だったと言える。5年間介護ベットの人だった母。食事やその他の介護で、わたしは疲れはしたがそれが辛いとは思わなかった。死を前にした母との時間はゆっくりと時が流れているように感じられた。不思議なことだが、今は何かおいしいものを食べたいとは思わない。普通に食べられることに、ただただ感謝。
普段は何気なく水や食べ物を飲み込んでいるが、それがいかに大変で大切なことなのか、介護を経験した人には良く分かることでもある。
それが実感できるだけでも長い介護生活は無駄ではなかった、と今は思っている。
食べるものがおいしい季節になったが、それにつけ想うのはこの春に亡くなった母の食事を介護していた頃のことだ。
加齢により歯を失えば硬いものが食べられなくなり、さらに寝たきりになれば飲み込みが難しくなってゆく。特に水様性のサラサラのものが飲み込みづらくなる。これは、飲み込む時に食道と気管の切り替がうまくいかなくなってくるためで「誤嚥(ゴエン)」しやすく、つまりはムセやすくなってくる。さらに食べたものや唾液が気管から肺に入ると肺炎になってしまう。「誤嚥性肺炎」と言われているが、人は体を動かせなくなると内部の機能まで失われていくものなのだ。背中をさすり、顎をマッサージしながらゆっくりとゼリー飲料や介護食でなんとか一日の栄養を摂取して命を保ってゆく。それが、ときには何年も続く先の見えない状態になるので介護者は時に苛立ち疲れてしまうことも多い。
母の場合は一回の食事にかかる時間は20分から30分くらいだったので比較的短い方だったと言える。5年間介護ベットの人だった母。食事やその他の介護で、わたしは疲れはしたがそれが辛いとは思わなかった。死を前にした母との時間はゆっくりと時が流れているように感じられた。不思議なことだが、今は何かおいしいものを食べたいとは思わない。普通に食べられることに、ただただ感謝。
普段は何気なく水や食べ物を飲み込んでいるが、それがいかに大変で大切なことなのか、介護を経験した人には良く分かることでもある。
それが実感できるだけでも長い介護生活は無駄ではなかった、と今は思っている。