文化逍遥。

良質な文化の紹介。

映画『パプーシャの黒い瞳』2013年、ポーランド映画、

2015年05月01日 | 映画
 4/26(日)、岩波ホール。『パプーシャの黒い瞳』2013年、ポーランド映画。ポーランド語、ロマニ語。





 モノクロの映像詩、といえる傑作。よくあんなリアルな映像が撮れたものだ。正直、舌を巻いた。
 かつて、ジプシーと云われた漂泊の人々。独自の文化・生活様式を持つがゆえに差別と迫害の対象になり、あるいは芸能などでは特異な力を発揮して、その神秘性と超越性が畏れられもした民族。その守られてきた呪術に近い民族の言葉が外の世界に触れようとするとき、エネルギーは内に向かい、あるいは外に向かって暴発する。ジプシーの詩を書き送った女性を除けものにし、それを本にして紹介した研究者に向かい「ロマニ語を喋るな、豚語(ポーランド語の意)でしゃべれ」とさげすむ。希望は見出せないが、そこにしか現実は無く、森と平原の中で続けられる旅の遠景映像で映画は終わる。キャストの字がスクリーンに出始めても、立つ人はほとんどいなかった。余韻が残っていたのだった。モデルとなったのは、実在したジプシーの女性詩人ブロニスワヴァ・ヴァイス(1910-1987)で、パプーシャは「人形」を意味する愛称だという。


 日曜の岩波ホールは、予想していたより空いていた。午後1時45分からの上映で埋まっていた席は3分の1ほど。ゆっくり見られた。この映画は、人によっては退屈に感じるのかもしれない。眠っているらしい人も見受けられた。余談だが、今回はローソン・チケットで前売り券を買って、それを受け付けに見せて整理券をもらって入った。こうすると、300円のお得。
 古本街も、以前は日曜に休む店が多かったが、今はほとんどが開店していて、人通りが少ない分ゆっくり歩く事ができた。いくつになっても、発見があるものだ。

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