文化逍遥。

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真継伸彦氏を悼んで

2016年08月26日 | 日記・エッセイ・コラム
 真継伸彦(まつぎ・のぶひこ)氏が、22日急性肺炎で亡くなった。84歳だった。

 基本的には小説家ということになるだろうが、わたしは氏の小説は残念ながら読んでいない。読んだのは、1982年法蔵館刊行の『真継伸彦現代語訳―親鸞全集』全5巻で、思い切った平易な訳で読みやすく、親鸞の全体像に少しでも近づくことが出来たと今でも考えている。また、1980年代の終わり頃だったか、NHKの「市民大学講座」で宗教論の講座を担当されて、絞り出すような話し方で真摯に講義されていたのが記憶に残っている。あれから30年か。
 少し調べてみたが、氏の著作は多く絶版になっており、古書の親鸞全集などは全巻揃いで3万円を超える値が付いている。価値あるものが消えてゆくのを見るのは寂しきものだ。ひとつの時代の終焉を感じざるを得ない。合掌。

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