文化逍遥。

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木山捷平の詩

2016年08月20日 | 本と雑誌
 このところ詩人であり小説家でもあった木山捷平(1904-1968)の詩集を蔵書の中から引っ張り出して読み返していた。

 平易な言葉で、独り言のような、それでいて語りかけてくるような独特のスタイルを持った詩人だった。あまり知られていない存在だが、日本の現代詩の中で重要な詩人のひとりと個人的には考えている。
 かつて、「詩の時代」というものが、確かにあった。大正から昭和の終わり、金子光晴が亡くなる昭和50(1975)年頃までだろうか、多くの詩人が出て、詩の同人誌なども多く発行されていた。わたしが大学生の頃にはそんな時代も終わりをむかえようとしていた。ちなみに、詩の次の文芸では「評論の時代」といわれた。思い返すと、たくさんの詩、多くの詩人が出たが、時代を越えて読み続けられる質の高いものは少ない。詩である以上、言葉を弄ぶこと無く、地から湧き出るような普遍性を持っていなくては読み継がれることは難しいのだろう。

 思い入れかもしれないが、木山捷平の作品は読み継がれていくだけの価値があると思う。幸いにも、今では講談社文芸文庫からその作品の多くが発行されている。多くの人に手にしてもらいたいものである。

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