文化逍遥。

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2016年オーストラリア映画『ライオン』

2017年07月02日 | 映画
 6/30(金)千葉劇場にて。原作はサルー・ブライアリーで、自身の経験を基にした『25年目の「ただいま」5歳で迷子になった僕と家族の物語』。監督はガース・デイビス(豪)。主人公のサルーを演じたのは、少年期サニー・パワール(印)、青年期デーブ・パテール(英)。少年期の兄役にアビシェーク・バラト(印)。
 5歳のサルーはインド西部の片田舎で暮らしていたが、ある日兄と出かけた駅で、兄を待つ間に乗り込んだ回送列車で眠ってしまいコルカタまで行ってしまう。迷子として保護されたものの遠く離れた家族の元へは帰れず、養子を望むオーストラリアの夫婦の元へと旅立つことになる。そして、20年後成人したサルーは、グーグル・アースを使い自らの故郷を見つけ出し、アイデンティティを取り戻そうとするが・・・。

 養父母になるオーストラリアの夫婦は後にもう一人、サルーの弟になる養子を迎え入れることになる。しかし、この子は精神に深い傷を負っていて自傷行為が激しく、夫婦は養育に苦しむことになる。映画としては、故郷への回帰という視点よりも、傷ついた子ども、あるいは養父母の苦しみに重点を置いて観たいところだ。特に、養母役の二コール・キッドマンの演技は印象的だった。映画の題名は、サルーという名が正確にはベンガル語の「シャルー」で、「ライオン」を意味しているところから取ったという。

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