文化逍遥。

良質な文化の紹介。

2016年アメリカ映画『ムーンライト』

2017年07月07日 | 映画
 7/6(木)、千葉劇場にて。 
 監督はバリー・ジェンキンス。制作総指揮ブラッド・ピット。出演者、青年期のシャロン役にトレバンテ・ローズ、母親役にナオミ・ハリス、フアン役にマハーシャラ・アリ、他。悲しい映画だった。

 アメリカ合衆国東南部、マイアミの海岸近くの貧困地域で暮らす少年シャロン。同性愛的な傾向を持ち、学校ではいじめられ、家に帰れば母親は自宅で売春をしていて麻薬中毒、父親はどこにいるかもわからない。ただ一人、フアンという近所の中年男が父親代わりに助言をしてくれる。が、フアンもまた麻薬の密売で生計を立てている裏社会に生きる男だった。そして、シャロンがティーン・エイジャーになる頃にはフアンも死に、学校である事件が起き・・・。

 公式サイトには「自分の居場所を探し求める主人公の姿を、少年期、ティーン・エイジャー期、成人期の3つの時代構成で描き、第89回アカデミー賞で作品賞・脚色賞・助演男優賞(マハーシャラ・アリ)の3部門を受賞したヒューマンドラマ。」となっている。しかし、この作品を観て感じたのは、これがGDP世界一を誇るアメリカの現実か?ということだった。生産手段も資源も豊富なはずなのに、貧しい地区の嵐のような負のスパイラル。わずかに、唯一の友達の同級生ケヴィンとの交流が救いとして描かれているが、それも現実を超えられる程のものでない。むしろ、大人になった主人公の危うさのように観えた。

 それにしても、英語が聞き取れなかった。聞き取れたのは、ごく基本的な言葉だけで、まるで他の言語のように聞こえた。それは、方言というよりは、地域の符牒のようなものなのかもしれず、そのあたりにもアメリカの特殊性が表れているのかもしれない。

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